
すべての入力にEQ/コンプを装備
全16種類のマルチエフェクトを内蔵
ProDXシリーズは、すべての入力チャンネルに3バンド+ローカットのEQとコンプを装備しています。内蔵の“ReadyFX”にはリバーブやディレイ、コーラスといった16種類のエフェクトがスタンバイ。6つのモノラル・インはXLRとフォーンのコンボ端子で、すべてハイインピーダンス対応のため、マイクだけでなく楽器も直接つなげられます。ステレオ・チャンネルはステレオ・ミニのライン・インを備えるほか、Bluetoothワイアレス・ストリーミングもサポートし、iOS/Androidデバイスに入った音楽を無線で立ち上げることが可能。これは便利ですね!
出力に関しては、メイン・スピーカーに接続するためのフォーンのメイン・アウトのほか、モニター送りなどに使用できるフォーンのAUXアウトを2系統装備。ルーム・チューニングやハウリング防止などに役立つグラフィックEQを内蔵し、メインとAUXの両アウトで使えます。
使用に際してはまず、MixerConnectアプリをiOSもしくはAndroidデバイスにインストール。アプリはApp StoreかGoogle Playで無料ダウンロード可能です。デバイスとProDX本体はBluetooth接続なので、ペアリングを行う必要があります。方法は、一般的なBluetooth製品と同様。フロント・パネル右下のBluetooth/ライン・イン切り替えボタンを長押しするとペアリング・モードに入るので、デバイス上でProDXを選ぶだけです。最初にMixerConnectアプリの操作性を試してみたいと思い、メイン写真にあるiPadではなく、あえてiPhone 5Sにインストールしてみました。皆さんの中には、古いスマートフォンを残している方も多いのではないでしょうか? それをProDXの専用デバイスにすることで有効活用できるのでは?と考えたのです。
GUIがとてもシンプルに設計され
目的の機能へすぐにアクセスできる
MixerConnectアプリは、余計な操作をせずとも各機能にアクセスできるよう設計されています。例えばインプット・チャンネルのゲイン・コントロールが省略されていて、フェーダーを操作するだけでマイク・インの音量調整が行えたりするのです。チャンネルEQは1つの画面で操作でき、スクロールなどをする必要がありません。まさに直感操作ですね。MACKIE.はiPadをコントローラーとして使用するDLシリーズというミキサーを出していますが、そのアプリであるMaster Faderに比べてiPhone 5Sの小型画面でも十分扱いやすいです。タッチへの追従性も良く、遅れるようなことは全くありませんでした。
内蔵プロセッサーに触れておくと、チャンネルEQはミッドが周波数可変になっており便利。コンプに関しては、チャンネルの上方にゲイン・リダクション・メーターを備えているので、どのくらいコンプレッションしているのか常にチェックできます。出力のグラフィックEQは7バンドですが、小規模会場での補正なら十分でしょう。リバーブなどのマルチエフェクトは、細かいエディットができないものの、比較的スッキリとした音質で好印象です。
ProDXシリーズは、簡易PAミキサーとしては十分な機能を備えているので、あらゆる小規模現場に対応できるでしょうし、中〜大規模なイベントではサブミキサーとしても有用だと思います。そして、何といっても超コンパクトでセットアップも非常に簡単。リュックでProDXシリーズを運んで、ポケットからスマートフォンを取り出して操作。そんな機動力抜群の製品です。


(サウンド&レコーディング・マガジン 2016年10月号より)