「BLUE Mo-Fi & Lola」製品レビュー:最先端のデザインで装着感と音質を追求したヘッドフォン2機種

BLUEMo-Fi & Lola
1995年に設立され、米国のマイク・メーカーとして大成功を収めているBLUEがヘッドフォンを発売しました。アンプを本体に内蔵したアクティブ・タイプのMo-Fiとパッシブ・タイプのLolaの2機種をレビューしていきたいと思います。

FIマシンから着想を得たヘッド・バンド
アンプ・モードを切り替えられるMo-Fi

今回の2機種の大きな違いは、本体にアンプを内蔵しているかどうかで、ぱっと見た外見上の違いもMo-Fi本体のケーブル差し込み口にアンプのON/OFF切り替えスイッチと充電用のMicro USB端子があるぐらいです。

では共通の部分を見ていきましょう。特徴点はマルチジョイント・パラレル・リンク・ヘッド・バンドで、F1レーシング・カーのサスペンションにヒントを得たデザインになっており、左右のイア・カップは常に耳と平行を保つようになっています。さらにダイアフラムが50mmという大径のファイバー強化ダイナミック・ドライバーを搭載。一見密閉型に見えるハウジングは、BLUEのブランド・ロゴの周りがゴム製の膜で作られていて、ユニット背面が開放されているオープン・エア型と密閉型の中間の位置付けになる半密閉型の構造をしています。イア・カップはソフトな肌触りがする高級感のある合皮製で厚みも十分。ヘッドフォンで重要なファクターの、ドライバーと耳の距離を一定にすることができるという、しっかりした構造の製品となっています。

それではMo-Fiから深く見ていきましょう。ヘッド・バンド上部には左右から押し付ける力を調整できるダイアルが付いているので、頭の大きさによる装着感の差異がありません。

アナログ構成のアンプ部は出力が240mW、SN比が105dB以上、ひずみ率が0.004%です。アンプ・モードは3つあり、スマートフォンや小型のモバイル・プレーヤーなどでも最大限の音質を引き出す“ON”、アナログ増強回路を使って低域をエンハンスする“ON+”、内蔵アンプを使わないパッシブの“OFF”です。“OFF”は接続する機器などが高出力の場合に選択しましょう。またバッテリーが完全に切れてもこの“OFF”モードでMo-Fiを使い続けることが可能です。

内蔵バッテリーは、側面のMicro USB端子から3〜4時間の充電で約12時間の使用ができます。またアンプがONのままでも、Mo-Fiを頭から外して左右のイア・カップが合わさった場合にはオートでパワー・オフされる機能が付いているので、電源のオン/オフにはあまり気を使わなくても大丈夫です。

インピーダンスは42Ωと、スタジオで使用するヘッドフォンとして標準的な数値。また、ケーブルは着脱式で、スマートフォン用の1.2mインライン・リモコン付き4極ケーブルと3mのオーディオ機器用ケーブルが付属しています。

次にパッシブ・タイプのLolaを見ていくと、ユニット背面のゴム膜の形状がMo-Fiと異なることに気づきます。また、軽量化のためヘッド・バンドの調整ダイアルが省略されていますが、そのほかインピーダンスなどのドライバー部のスペックはMo-Fiと同じです。

ハイファイ・オーディオにも通じる音質
レコーディングからリスニングまで活躍

では、肝心の音を聴いてみましょう。まずはLolaから。非常にバランスが良く、脚色の少ない音をしています。業務用マイク・メーカーなので、スタジオでのモニターを主眼において開発をしていると思いますが、ハイファイ・オーディオにも通じる音質だと感じました。メーカー公表の周波数特性は15Hz〜20kHzと、特段広いわけではないが、数値よりも音質を取ったのではないかと思われ、これ一台でレコーディングの際の演奏用モニターからミックスのサウンド確認、そして音楽を鑑賞するためのリスニング用途まで、すべてのケースでハイレベルな音を聴かせてくれます。

Mo-Fiはアンプ・モードが“OFF”の状態だと、Lolaと同じ印象の音がします。そこからアンプのスイッチを1段階ひねり“ON”にすると、レベルがドンと大きくなり、全体的に派手な音色に。2段階目の“ON+”にすると低域がかなりブーストされます。この“ON+”は、スタジオや屋内の静かな環境で使うことは無いと思いますが、周囲の雑音などで低域がマスキングされる電車の中や、航空機の中で音楽を聴く際に役に立つでしょう。

アンプをONにするモードは、ヘッドフォン・アンプ部が弱い機器で使う場合や、音を単純に楽しむ分にはいいと思いますが、少し派手めに脚色されるので、正確な音を聴くにはパッシブ・モードの方がいいでしょう。それであればパッシブ・タイプのLolaの方が良いのでは?と思われるかもしれませんが、筆者の好みとしては、Mo-Fiのパッシブ・モードの方が、音の解像度が高いように感じられました。また、アンプをONにしたくなる状況も多々あると思うので、予算的に余裕があるのであれば、Mo-Fiがお薦め。とはいえ、ヘッドフォンはスピーカー以上に個人の好みが大きいと思うので、ぜひお店に行って、好みの機種を選んでほしいです。どちらの機種も最高の音楽を奏でてくれることでしょう。

▲Mo-Fiのアンプ・モード切り替えスイッチ。ON+/ON/OFFの3種類から選べる ▲Mo-Fiのアンプ・モード切り替えスイッチ。ON+/ON/OFFの3種類から選べる
▲Lolaのカラーはチャコール・ブラック以外にホワイトが用意されている ▲Lolaのカラーはチャコール・ブラック以外にホワイトが用意されている

製品サイト:http://biforce.jp/blue/products/Mo-Fi/

サウンド&レコーディング・マガジン 2016年9月号より)

BLUE
Mo-Fi & Lola
Mo-Fi:49,750円、Lola:37,250円
Mo-Fi ▪アンプ出力:240mW(ひずみ率:0.004%、SN比:105dB以上) ▪重量:466g Lola ▪重量:397g 共通 ▪型式:半密閉型 ▪周波数特性:15Hz〜20kHz ▪インピーダンス:42Ω