
本体のボタンを押すだけでワイアレス接続
設置状況に合わせて左右を決められる
CR4BTは、2014年にリリースされたCR4へ新たにBluetoothオーディオ機能を搭載したモデル。スピーカーやアンプの基本的な性能はCR4と同様です。0.75インチのツィーターと4インチのウーファーで構成され、パワーは合計50W。Bluetooth以外にもTRSフォーン、RCAピン、ステレオ・ミニ入力があり、制作時にはケーブルで入力、スマートフォンからサッと音楽を流したいときにはBluetoothでワイアレス接続するといった使い方ができそうです。1サイズ大きなCR5BT(オープン・プライス:市場予想価格29,800円前後/ペア)もあります。
特にココが良いなと感じたのは、アンプとボリューム・ノブを内蔵した方のスピーカーがL/Rどちらにも設置が可能な点。背面に切り替えスイッチが付いております。手近な場所に置く場合、利き手に合わせてボリューム・ノブ側をどちらに置くか決められるのは、結構気の利いた仕様だなと思いました。このノブは電源スイッチを兼ねていて、背面のメイン・スイッチを入れておけばこのノブでオン/オフできます。セッティングさえ済ませてしまえば、後は手元で大体のことができるがうれしいですね。
Bluetooth機能も接続は簡単で、Bluetoothボタンを2秒以上押すだけでスマートフォンともすぐに接続できました(画面①)。ケーブルにわずらわされることなく音楽を楽しめるのはとても良いことだと思います。
自然で聴きやすい音質と十分な音量
ステレオ感や奥行きもしっかりと再現
ここからが肝心な音質チェック。まずはオーディオ・インターフェースからTRSフォーン入力へ。インターフェースの出力はフルにしてCR4BTのボリュームで調整したのですが、コンパクトなボディにもかかわらず音量はかなり出ます。ボリューム・ノブが10時くらいの位置でもう十分鳴っています。自宅で鳴らす際にはもう少し下げめになるだろうと思う音量です。
自分はリファレンス用に必ず流す楽曲があり、その曲のハイハットの鳴り方でモニター・スピーカーの良し悪し(好き嫌い)を決定するのですが、本機の第一印象はなかなかのモノで、これまでに試したコンパクト・モニターと比べても明らかに鳴りが良かったです。高域の再現性が自然で、そのほかの帯域にも無駄に味付けした感じが無く、とても聴きやすいと感じました。ボーカルもののスピード感も良く、歌の存在感がきちんと聴こえます。
特に感じたのはこのサイズにしてステレオ感が素晴らしいこと。もちろん“無理に広げている感“はありません。さらには奥行きさえ見えるというか、立体的な部分もしっかりと再現されていると感じました。リファレンス曲以外にもいろいろな曲を再生してみましたが、どれも自分がイメージしている鳴りに近い再現性で、満足度は高めでした。聴いていた音量も関係してか耳も疲れません。
さらに、制作中の音源なども再生してみたのですが、制作時のイメージと遜色無い鳴り具合で再現されていました。各トラックでのEQ処理なども、結構細かいところまでいじってみましたがどの帯域でも変化が見えやすく、“スタジオ・モニター並みのクオリティを”というキャッチ・コピーは結構アテにしても良いんじゃないかと思います。
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一点だけ気になったのがケーブル使用時とBluetooth使用時の音量差が結構あることです。切り替えながら同時に使うことはまずないとは思いますがご注意を。個人的に制作中はスタジオでもあまり音量を上げて作業する方ではないので、ある程度小さめの音量でもきちんと全体が把握できるモノが欲しいと考えていただけに、一度CR4BTを使って仕上げまで作業してみたいなと思いました。何より、音を鳴らすのが楽しくなりそうな一品だと思います。


製品サイト:http://mackie-jp.com/enews/?p=4577
(サウンド&レコーディング・マガジン 2016年7月号より)