SEIDE PC-ME MK2 / EC-ME MK2 レビュー:宅録&配信に向けたコスト・パフォーマンス重視のコンデンサー・マイク

左からPC-ME MK2、EC-ME MK2(バーミリオン・レッド)、EC-ME MK2(エメラルド・ブルー)

左からPC-ME MK2、EC-ME MK2(バーミリオン・レッド)、EC-ME MK2(エメラルド・ブルー)

 SEIDE(ザイド)といえば20年くらい前から目にするようになった低価格帯のコンデンサー・マイクのブランドというイメージで、筆者もブランド初号機のPC-M1を使用したことがあります。今も変わることなくコスト・パフォーマンスに優れた製品をリリースし続けているSEIDEから、コンパクトなコンデンサー・マイク、PC-ME MK2とEC-ME MK2が登場しました。それではチェックしていきたいと思います。

PC-ME MK2は自然な伸びのある高域〜しっかりした中低域でナチュラルなサウンド

 実機を手に取ってまず感じるのは、とてもコンパクトだということです。PC-ME MK2は34mmのラージ・ダイアフラムを搭載しており、EC-ME MK2は16mmのフル・アルミニウム・コーティングの小型振動カートリッジを搭載しておりますが、本体は共に48(φ)×154(H)mmという手の平に収まるほどの小ささになっています。

 PC-ME MK2はサラサラした質感のマット・ブラックのボディにカッパー系のグリル。EC-ME MK2はバーミリオン・レッドとエメラルド・ブルーの2色展開で、つや消しのボディにシルバー系のグリルです。かなりポップなカラーリングですが、落ち着いた質感なので安っぽい感じはしません。重量はPC-ME MK2が282g、EC-ME MK2が198gでした。

 PC-ME MK2にはショック・マウント、EC-ME MK2にはスイベル・アダプターとミニ・スタンド、両モデルともXLRケーブルとポップ・フィルターが付属しているため、購入したらすぐに録音が始められるようになっています。

PC-ME MK2に付属するポップ・フィルターとショック・マウント。このほかXLRケーブルが付属する

PC-ME MK2に付属するポップ・フィルターとショック・マウント。このほかXLRケーブルが付属する

EC-ME MK2に付属するポップ・フィルターとスイベル・アダプター+ミニ・スタンド。PC-ME MK2同様XLRケーブルも付属

EC-ME MK2に付属するポップ・フィルターとスイベル・アダプター+ミニ・スタンド。PC-ME MK2同様XLRケーブルも付属

 PC-ME MK2は、前述の通り34mmのラージ・ダイアフラムを搭載し、トランスレス回路を採用。なお、マニュアルに記載はありませんが、本体下部を手で回すことで胴体のカバーを外すことができ、その中の基板中央にはローカット・スイッチが搭載されています。

 今回は主に声とアコギを録音してチェックしたところ、聴き慣れたコンデンサー・マイクらしいサウンドでした。トランスレス回路ということもあって自然な伸びのある高域で、低価格帯のコンデンサー・マイクにありがちな不自然なギラつきはなく、このサイズのマイクにしては大きめなダイアフラムを搭載しているため、中低域もしっかりしていて非常にナチュラルなサウンドです。ボーカルやアコギはもちろん、ピアノや管楽器などにも使えるでしょう。最大SPLは130dBとなっているので、音がひずんでしまうことはあまりないと思います。

 ソースとの距離によっては少しローが太過ぎてボワついてしまうときもあるので、セッティングの際は距離を少し離してみるなどの工夫をすると、より自然な響きが得られると思います。今回は試すことができなかったのですが、ドラムのオーバーヘッドにぜひ使ってみたいと思いました。

ゲーム実況や配信にお薦めのEC-ME MK2〜ダイナミックとコンデンサーの間のような質感

 EC-ME MK2は、16mmのフルアルミニウム・コーティングの小型振動カートリッジを搭載したエレクトレット・コンデンサー・マイク。照明に透かしてみても丸いダイアフラムは見当たりません。エレクトレットは一般的なコンデンサー・マイクと違い、ヘッドセットのマイクなどに使われている方式です。

 実際に声とアコギでチェックしたところ、EC-ME MK2はダイナミック・マイクとコンデンサー・マイクの中間のような質感。本体のカラーリングや付属のミニ・スタンドから察するに、主に声の録音や配信のナレーション収録を目的としていると思うのですが、まさにぴったりだと思います。

 カートリッジが16mmという小型のものだからか、低域のボワつきはありません。超高域もあまり拾っていない感じなので、シンバル類などには向きませんが、普通の住宅でコンピューターの前でしゃべる声を拾うには余計な環境音も入りにくく、すぐゲーム実況や配信に使えそうです。アコギの音は独特なキュッとまとまった音になり、これはこれで面白いと思います。トイ・ピアノやパーカッションの小物などにも向いていそうなイメージです。

 PC-ME MK2とEC-ME MK2はどちらもコンデンサー・マイクですので、手で持って使うとハンドリング・ノイズは避けられません。スタンドに立てて使用しましょう。

 また、両モデル共に付属しているポップ・フィルターは、ゴムで直接本体に固定するタイプ。メッシュとスポンジの二重構造になっており、しっかりと吹かれを防ぐことができます。

 これらのマイクの特筆すべきところは、以上のようなクオリティを保っていながら市場予想価格がPC-ME MK2は11,000円前後、EC-ME MK2は6,600円前後というコスト・パフォーマンスの良さにあります。

 初めてのコンデンサー・マイクとしてPC-ME MK2は宅録でいろいろな楽器や歌を録ってみたい方、EC-ME MK2はヘッドセット・マイクでの配信やリモート会議の音質をワンランク良くしたい方にお薦めです。もちろん見た目が気に入ったのであれば、それを理由に購入するのも良いと思いますよ!

 

濱本洋平
【Profile】 フリーランスでPAやレコーディングを手掛けるエンジニア。これまでに赤い公園や集団行動、GARLICBOYS、あっぱ、Vampillia、Kroiなど、多くのアーティストのライブや作品に携わる。

 

SEIDE PC-ME MK2/EC-ME MK2

オープン・プライス

(市場予想価格:PC-ME MK2/11,000円前後、EC-ME MK2/6,600円前後)

SEIDE PC-ME MK2/EC-ME MK2

SPECIFICATIONS
●PC-ME MK2
▪形式:コンデンサー ▪周波数特性:20Hz〜20kHz ▪感度:−34dB±2dB ▪最大SPL:130dB ▪重量:282g(実測値) ▪付属品:ショック・マウント、XLRケーブル、ポップ・フィルター

●EC-ME MK2
▪形式:エレクトレット・コンデンサー ▪周波数特性:40Hz〜18kHz ▪感度:−35dB±2dB ▪最大SPL:146dB ▪重量:198g(実測値) ▪付属品:スイベル・アダプター、ミニ・スタンド、XLRケーブル、ポップ・フィルター

●共通
▪指向性:単一指向 ▪外形寸法:48(φ)×154(H)mm

製品情報

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