
ボーカルが奇麗に出るアレイ・スピーカー
名古屋駅から電車で10分、今池駅の3番出口を降りてすぐの場所に位置するTHE BOTTOM LINE。レトロな雰囲気のライブ・ハウスで、木目調の床が居心地の良さを感じる造りになっている。ボトムラインジャパンの社長、蔵原郁智氏がオープンの経緯について語ってくれた。
「ニューヨークの名門クラブであるTHE BOTTOM LINEをそのまま日本に建てようというコンセプトで、フランチャイズ契約を結んで1989年にオープンしました。ロゴの上にALLAN PEPPER&STANLEY SNADOWSKYと小さく書いてあるのは、本店オーナーたちの名前なんですよ。その2人がここに来て、店内の色合いなどを決めて造られました。当初はタワー・オブ・パワーやスタッフなどの海外アーティストを中心にライブが行われていまして、それをきっかけに全国的に当店の名前が認知されていきました」

30年近く営業している老舗だが、音響機材は時代に合わせて意欲的にアップデートしているそうだ。その中でも最も新しい機材がBOSE ShowMatch DeltaQアレイ・スピーカー/サブウーファー。メイン・スピーカーにSM5×12、サブウーファーには18インチ・ユニットを搭載したSMS118×12を設置しており、パワー・アンプは同社のDSPを内蔵したPowerMatch PM8500Nを採用している。「BOSEさんとは縁があって導入するに至ったんです」と音響の宮川慧氏が導入の経緯について話す。
「以前BOSE F1 Model 812の試聴会を当店でやっていただいたのがきっかけです。それからShowMatchのデモ機を貸していただいて、実際にライブで鳴らしたときの使用感を確かめることができました。長い期間貸していただき、乗り込みのPAの方々からもポジティブな意見を聞くことができたので、それも加味して導入することになったんです」



経営者視点からも良いスピーカーであると語るのは蔵原氏。導入時の価格とランニング・コストに優れていると語る。
「まず、コスト・パフォーマンスが非常に優れていますね。他社製品で同じクオリティのものをそろえると、あと倍近くはかかると思うんです。また、BOSEのアンプは電源効率が良く作られているので、電気代が安く済むんですよ。これは経営者にとって非常にありがたいことですよね。価格面からのメリットだけではなくサウンドも納得のクオリティで、低域から高域までものすごく滑らかです。導入してからさまざまなジャンルで鳴らしていますが、オールマイティに美しい響きが得られています。アーティストからも“ステージ上に音が回ってこなくて演奏しやすい”と、良い評判をいただいています。それに加えて機材のメインテナンスを考えたときにBOSEは日本法人があるので、パーツ供給や修理を迅速に対応してもらえるという点も大きなポイントでした。導入時の誠実な対応もあり、アフター・ケアに関しても信頼できるメーカーだと思っています。ライブ・ハウスでは機材トラブルはつきものなので、大事なところですよね」


気になる音質の話が出てきたところで、宮川氏が実際に使用した感想を詳細に教えてくれた。
「フルレンジ・モジュールは8インチ・ウーファー×2とコンプレッション・ドライバー×4の2ウェイにもかかわらず、すごくフラットですね。解像度も高く、EQをかけたときに0.5dBくらいの差でも顕著に分かります。会場が真四角でないということもあり、音の反射やカバー・エリアなどの問題を抱えていたのですが、ShowMatchに変更してからはさまざまな点が改善されました。2階席でも音がダイレクトに届くようになりましたし、会場の後ろにいても低域を十分感じられるようになったんです。ウェーブ・ガイドを変えて水平指向性をコントロールできるのもクリアなサウンドに大きく貢献していると思います。中でもShowMatchを導入して一番良かったのは、ボーカルがすごく奇麗に出るようになったことです。“かつてないボーカル・クラリティ”とうたっているだけあります。音質も良いのですが高域から低域までハウリング・マージンが高く、無理なく音量を上げられるんです。近年増えているアイドルのライブでは声の音量を上げることが少なくないので、非常に恩恵を感じています。そういった点で時代にマッチしたスピーカーだと思いますね。PAをする上で歌がしっかり聴こえることが一番大切だと思っているので扱いやすいです」

Danteネットワークで構築されたシステム
コントロール・システムについても宮川氏に話を聞かせてもらった。コンソールのYAMAHA CL5をはじめとした機材は、接続にDanteを採用している。
「ネットワーク接続にすることで、瞬時にどの機材にもアクセスできるようにしています。EQやディレイをトータルでかけるときに、オーディオ・シグナル・プロセッサーのBOSE ControlSpace ESP-4120を使用しています。コンピューター画面上の分かりやすい図を見ながら操作できるので、直感的に処理ができます。CL5は日本でも指折りの導入数を誇るコンソールだと思うので、乗り込みのPAエンジニアも迷わず使えることが一番の利点です。以前はアナログ・コンソールを使用していたのですが、デジタルになったことで細かいところまで聴こえるようになり、ミックスした状態でもチャンネルごとの変化がさらに分かるようになりましたね。内蔵エフェクトの種類がかなり充実していて効きもばっちりなので、アウトボードを使用せずに、内部エフェクトだけで完結できるようになりました。内蔵エフェクトはプレミアム・ラックをよく使うのですが、一番使うのがダイナミックEQです。そのほかにマルチバンド・コンプレッサーやRUPERT NEVE DESIGNS Portico 5043のシミュレーターもよく使用しています」



スタンディング約700人、着席約300人のキャパシティでShowMatchの音を聴けるライブ会場は国内ではまだ無いと思われるので、THE BOTTOM LINEでその音をチェックしてみてほしい。
ALL BOSE PRO SPEAKERS試聴会(名古屋)
6月13日(水)、14日(木)、この名古屋THE BOTTOM LINEにて、BOSEのプロフェッショナル向けスピーカーを体験できる“ALL BOSE PRO SPEAKERS試聴会”が開催される。THE BOTTOM LINE常設のShowMatch DeltaQ Array Loudspeakerから、パーソナルPAのS1 Proまで多くの製品を体験できるチャンス。詳細は下記まで
https://probose.jp/news/allbosepro_nagoya/
■関連リンク
THE BOTTOM LINE
http://www.bottomline.co.jp/
BOSE ShowMatch DeltaQスピーカー
https://probose.jp/cat_product/showmatch/