
1990年代〜2000年代に活躍した伝説的エレクトロニック・ボディ・バンド、SOFT BALLET。彼らのデビュー30周年となった2019年、サウンド&レコーディング・マガジンは代表曲「BODY TO BODY」のリミックス企画を実施した。その後は長らくレア化していたこの音源だが、とうとう封印から解き放たれ、『BODY TO BODY 30th Anniversary Remixes』として待望の配信スタート。このリミックス企画に参加したクリエイターの一人、上田剛士(AA=)へのインタビュー記事(2019年当時)を再掲載する。
彼らの強烈な個性に愛と尊敬を表して(上田剛士)
孤高のデジタル・ハードコア・サウンドを操るクリエイター、上田剛士(AA=)。そんな彼は藤井と交流があり、古くは『INCUBATE』収録の「PILED HIGHER DEEPER」で客演し、2016年のSCHAFT復活時にはyukihiroらとともにレコーディング&ライブ参加。ハードな音を異なる方法で追求し続ける藤井とは、まさに盟友とも言える関係だ。彼が手掛けた「BODY TO BODY TAKESHI UEDA(AA=) remix」は、ひずみの壁の中にSOFT BALLETへの愛と尊敬が垣間見える作品となった。
(本稿はサウンド&レコーディング・マガジン2019年11月号から転載&一部加筆したものです)
──SOFT BALLETとの出会いはいつだったのですか?
上田 何年だったかは覚えてないですが、もともとレコード会社(ビクター)が同じだったので存在は以前から知っていました。
──最初にメンバーに会ったときの印象は?
上田 とにかく不思議な人たちという感じでした。
──自然と仲良くなっていったわけですか?
上田 きっかけが何かは分からないんですけど、藤井君が一番興味を持ってくれていたんじゃないかな。
──音作りについて藤井さんと情報交換をしたり?
上田 音作りの話をまじめにした記憶はあまり無いですね。ただ、制作に呼んでもらったこともあるし、SCHAFTが復活したときも誘ってくれたりして、仲良くさせてもらっている変な先輩みたいな感じです(笑)。
──当時のSOFT BALLETサウンドについての印象は?
上田 見た目通りですよね、サウンドも。ちょっとダンスが入っていてブッ飛んでいるし、当時のレイブで鳴っているものよりも不思議な世界に行っていました。ライブを見せてもらったときに驚いたのが低域。“初めてこんなローエンド聴いた”という印象でした。会場が低域で揺れていた(笑)。それまでは森岡君の派手なイメージが強かったんですけど、攻撃的で半端ない圧に驚きました。
──森岡さんとのエピソードは何かありますか?
上田 まだあまりよく知らないとき、イベントでSOFT BALLETと僕らのバンドが一緒だったことがあって、空き時間に森岡君が歩いているのを見かけて話しかけたんです。“SOFT BALLETの人だ!”って。でも、森岡君は僕らに絡まれたと思ったらしいです(笑)。“鋲ジャン着ていて怖かった”って後で森岡君が言っていました。でも、藤井君も相当でしたけどね。ライブで金属の棒をたたきつけたりして(笑)。
──遠藤さんはいかがでしたか?
上田 一番ジェントルでしたね。落ち着いていて、2人の真ん中で静かに座っている感じ。落ち着いて話を聞いてくれていました。
──藤井さんはSCHAFTやminus(-)でサウンドを進化させていますよね。どのように見ていますか?
上田 ヒリヒリした感じのサウンドは以前からですけど、自分のやりたいことをより実現できているのだろうなと思います。ある意味おっかない感じもあります。実際の人柄はすごく良い人なんですけど、音楽的な意味で表現するなら“バイオレント”という言葉が浮かぶ。ヒリヒリした感じを表現できる稀なアーティストだと思います。
──上田さんとは昔からの盟友でありライバルのような感じですか?
上田 藤井君は僕にできないことをやり続けていて、純粋に尊敬しています。お互いにやっている音楽が全然違うから、面白がって気に入ってもらえているのかもしれません。
──今回のリミックスはどのようなコンセプトで着手したのでしょうか?
上田 藤井君の暴力性、森岡君の耽美性、そんな両極端な彼らの音がぶつかる中心に立つ遠藤君のカリスマ。いつか見た彼らの姿を回想し、自分なりの解釈で、記憶を歪み(ひずみ)の中で昇華することを目指しました。上田剛士からのSOFT BALLETへの賛歌であり、レクイエムであり、尊敬と愛を表したいと思いました。
──このリミックスで注力した点や苦労点も教えてください。
上田 遠藤君の声には慈しみを感じるので、歌ってほしいと思ったんですよね。みんなが知るこの曲を“いかに破壊するか、そして再構築することができるか”がチャレンジでした。彼らの音を破壊しながらも、彼らの姿を感じられるように作り上げることは想像よりも難しくなく、消えることの無い彼らの強烈な個性をあらためて感じました。
本稿はサウンド&レコーディング・マガジン2019年11月号に掲載。続きは、Webプラン(有料)の「サンレコ読み放題」でぜひチェックしていただきたい。遠藤遼一&藤井麻輝への2019年時点でのメール・インタビューをはじめ、制作関係者の取材レポートや名曲「BODY TO BODY」のトラックシートまで堂々開陳。※当時の付録CDは試聴できません