現場で真価を発揮するBOSE F1 System ①映像センターイベント映像事業部

2015年秋に発売されたBOSEのポータブルPAスピーカーF1 System。垂直方向のカバレージ・パターンを4タイプに調整できるフレキシブルアレイ・テクノロジーを搭載したF1 Model 812と、これと完全にマッチするサブウーファーF1 Subwooferを組み合わせたパワード・システムは、瞬く間に話題となった。昨年にはModel 812のパッシブ・モデルも発売。デビューから1年が過ぎたF1 Systemは徐々に現場に浸透しつつある。そんなF1 Systemの導入事例を紹介するレポート、今回は映像機器の販売やイベント向けレンタルと併せて音響にも携わる、映像センター イベント映像事業部に伺い、F1 Systemの活躍について話を聞いた。

BOSEのパワードでセッティング時間を短縮

映像センターではセミナーやイベント、レストランでの催しなどの音響を手掛けることが多く、BOSEスピーカーとしてはL1 Compact(写真右)を長く使ってきたという実績があるそうだ。鈴木武志氏(上写真)が語る。

「レストランやセミナー会場などでL1 Compactを使ってみると、スタイリッシュなので三脚立てのポイントソース・スピーカーに比べてすっきり見える。音も今風なので、使う機会が多くなってきました。ですがL1 Compactではパワーが足りない現場もあるので、F1を導入したという経緯です。L1 Compactとは形状が異なりますが、実際に現場に置いてみるとまた違った独特のスリムさがありますね」

映像センターでは東京の首都圏営業部のみならず、大阪/名古屋の事業所にもF1 Model 812+F1 Subwooferをセットで導入した。

「同じスピーカーでもセッティングやアンプの違いで音が変わりますが、パワードのF1はBOSEがメーカーとして推奨するサウンドを確実に出せる。だからセッティングが速いのも大きなメリットですね。例えば、サブウーファーと合わせて使うときはアラインメントが問題になりますよね。F1は専用スタンドでセットすれば、それだけで位相が奇麗にそろうので、システム的なところに関してはアナライザーで見て補正する必要も特には感じません。後は会場に合わせた調整は各オペレーターがすればいい。調整時間が短縮できる分、より本質的な部分の調整に時間がかけられたり、クライアントとのコミュニケーションが増えるというのは、メリットの一つです。1現場で1分短縮できるなら、1年で360現場あったら6時間違う。そういう時間を重視する感覚は音響業界ではものすごく強くあって、F1はその一つの答えなのかなと思います」

▲左から、映像センターイベント映像事業部の松原英明氏、鈴木氏、山下修二氏 ▲左から、映像センターイベント映像事業部の松原英明氏、鈴木氏、山下修二氏

フレキシブルアレイで現場での要望に対応

F1 Systemをはじめ、近年のBOSEスピーカーはVocal Clarityを重視している。単にボーカルの明りょう度のみならず、ミックス中におけるボーカル・チャンネルのフェーダー追従性までをターゲットとしたコンセプトだ。こうしたF1 Systemの特性は実際の現場でも生きていると鈴木氏は語る。

「都心のデパートでイベントを担当したときの印象ですが、声の帯域がサブウーファーにマスキングされることなくしっかり聴こえてくれました。BGMが良くてもMCの方が話している内容が来場者に聴こえないと、弊社の仕事を全うできていないわけですからね。また、イベント会場では、設置環境も限られてMCがスピーカーの前に立たざるを得ないこともあります。F1 Model 812はラインアレイと同じように中高域ドライバーが縦に並ぶ構造なので、そうした状況でもハウリングを起こしにくいのもメリット。ユニット同士の位相の伝達関数も計算して奇麗にカップリングするように作っているのがよく分かります」

また、ある現場では指向性を変更できるフレキシブルアレイ・システムが役に立ったそうだ。

「外国車の発売記念イベントで、会場が吹き抜けのショールームだったのですが、ロフト部分の商談スペースに音が漏れないようにと要望を頂いていたのでF1を持っていったんです。当初はF1 Model 812をストレート・パターンにしていたんですが、途中でやはりロフトまで音が聴こえていた方がいいとリクエストされました。“やってみます”と言ってリバースJパターンに変えただけでOKをいただきました。普通のスピーカーならシステム的な変更が必要になるところですが、フロント・グリルをガチャっと動かすだけで即座にクライアントの要望に応えられたんです。ちなみに商談は好調だったそうで、少しでも貢献できたのならうれしく思いますね」

狙ったエリアに対して的確に伝達する。そんなPAの基本とも言えることを、どんな現場でも柔軟に対応できるのがF1 Systemの強みと言えるだろう。

▲8基並んだドライバーの角度を会場の形状に合わせて変更し、指向性を調整できるのがF1 Model 812のフレキシブルアレイ・テクノロジー。左が正面に音を飛ばすストレート・パターン、右は正面と斜め上にも飛ばすリバースJパターン ▲8基並んだドライバーの角度を会場の形状に合わせて変更し、指向性を調整できるのがF1 Model 812のフレキシブルアレイ・テクノロジー。左が正面に音を飛ばすストレート・パターン、右は正面と斜め上にも飛ばすリバースJパターン

F1 System

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2.25インチ・ドライバー×8基のアレイを、会場の形状に合わせて4つの指向性パターンに変形させるフレキシブルアレイ・テクノロジーを搭載したパワード・スピーカーF1 Model 812を軸に、そのパッシブ・タイプや10インチ×2基のパワード・サブウーファーをラインナップ。パワード・モデルのアンプ出力は1,000W。F1 Model 812本体のウーファーは12インチで、単体でフルレンジ再生に対応する。専用スタンドをサブウーファーに格納できるのもポイントだ

■パワード・モデル

F1 Model 812 Flexible Array Loudpeaker 230,000円/1本
F1 Subwoofer 230,000円/1本

■パッシブ・モデル

F1 Model 812 Passive Flexible Array Loudpeaker 170,000円/1本

F1 System 製品情報 http://probose.jp/cat_product/f1_system/

Presented by BOSE
問合せ:ボーズ プロシステム事業部 http://probose.jp/

サウンド&レコーディング・マガジン2017年4月号より転載