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Introduction:Cubase Pro 8オーバービュー

サウンド&レコーディング・マガジン2015年1月号 掲載

前身となったPro-16の登場から30年、定評あるMIDIシーケンス機能はもちろんのこと、自由度の高いオーディオ編集やミキシング機能、そしてVST プラグインの総本山としての信頼性も相まって、国内外のアーティストたちに愛用されている老舗DAW=STEINBERG Cubase。その最新バージョンであるCubase 8シリーズが満を持して登場。ポストプロダクションの現場で人気の同社Nuendoの機能を多く盛り込み、新しい音楽を創造するクリエイターから、精密な サウンド・コントロールが求められるエンジニアまで、音楽に携わるすべての人間のニーズに応えるソフトとなった。本企画ではフラッグシップである Cubase Pro 8をクリエイターSUI氏がチェックし、音楽制作の各工程でいかに快適な操作環境を実現しているかを詳細にレポート。従来のユーザーはもちろん、乗り換えを検討している他のDAWユーザーも必見の内容だ。


Text by SUI 作家/プロデューシング・エンジニアとして、トラック・メイクからボーカル・ディレクション、ミックス・ダウンまで手掛ける。ロック~ダンス・ミュージック 全般に精通。もともとは他のDAWユーザーだったが、Cubaseのクリエイティビティに魅せられた乗り換え組の一人。<INDEX>
Introduction:Cubase Pro 8オーバービュー
Check1:充実のMIDI打ち込み & 豊富な付属VSTiラインナップ
Check2:即戦力の作曲アシスト機能
Check3:卓越したオーディオ編集機能
Check4:MixConsoleの進化でプロのミックス・ダウンに対応
Special:Cubaseユーザー・アンケート! 

Introduction:Cubase Pro 8オーバービュー


他のソフトから見たCubaseの利点


筆者が思うCubaseの良さは、音が良いこと、正確であること、トラブルが少ないこと、その上で操作が簡単であること、自由であること、そして制作工程上 “不可能”の文字が見当たらないことです。もっと言えばメーカーがユーザーに対して誠実であること。書き出したらキリがありません。筆者は数年前までエンジニア業務をメインとしていたので、主に他社製のDAWを使用していました。しかし6年ほど前から少しずつプロデューサー/作家/アレンジャーへと転向してきて、現在制作のメインDAWはCubase。いわゆるCubaseへの乗り換え組です。それでも最初の出会いはCubase VST5.0なので、14年ほどの付き合いになります。なぜCubaseに乗り換えたかと言うと、プロデューサー/作家/アレンジャーの仕事はファッションで言うところのデザイナーであり、パタンナーに似ています。アイディアを素早く凝縮し、たくさんの多様な楽曲を仕上げなければなりません。クライアント の発注にも応えます。Cubaseはこれを実現できるソフトであり、周りで一緒に仕事をするようになったクリエイターや劇伴作家の方々の影響も大きいで す。彼らのほとんどがCubaseユーザーでしたので、質問をしたり連携を取るのに一番効率的だったのです。

作業効率が高まったCubase 8


では、待望のCubase 8シリーズについて見ていきたいと思います。フラッグシップのCubas
e Pro 8と、普及版のCubase Artist 8がラインナップされており、本企画ではCubase Pro 8をチェックしていきます。まずはルックスですが(見た目は大事ですからね)、外観上の大きなニ
ュースとしては、VSTインストゥルメント・ラックと ファイル・ブラウザーのMediaBayがプロジェクト・ウィンドウの右側にドックできるようになりました。そうです、個人的にもかねてから切望していた プロジェクト・ウィンドウ上でのファイル・ブラウジングが行えるようになったのです。検索はもちろん、プレビュー、エディットの一連の流れがスピード・ アップするので、自分の制作スタイルが変わるほどの大きな変化でした。また、プロジェクト・ウィンドウからMixConsole(ミキサー 画面)やインストゥルメント・ラックといったウィンドウへの切り替えスピードが大幅にアップしています。これは前バージョンでワンテンポ待たされていた部 分なのですが、サクサク切り替わるようになり、これだけでも作業効率のアップにつながります。一見地味に思えるかもしれませんが、実作業を行うクリエイ ターにとってかなりうれしいアップデートです。プロジェクト・ウィンドウプロジェクト・ウィンドウ▲楽曲全体を見渡すメイン画面。左端には選択トラックの各状況が確認できるインスペクターもレイアウトキー・エディター
キー・エディター▲ピアノロールでノートを打ち込む伝統の画面。クオンタイズやシャッフルなどエディット機能も充実サンプル・エディター
サンプル・エディター▲波形のタイミングや音程を操る。オーディオを元にMIDIノートの抽出もできるコード・アシスタント
コード・アシスタント▲現在のコードを元に、続くコードを提案する機能。転調に便利な五度圏ビューも新搭載VSTi/VSTエフェクト
VSTi/VSTエフェクト▲8種類のVSTiと70種類以上のVSTプラグインを搭載。あらゆる制作作業に対応するMixConsole
MixConsole▲Cubaseのミキサー画面。チャンネル・ストリップを各チャンネルに備え、VCAフェーダーの装備やメーターの波形表示も可能<LINE-UP>
Cubase Pro 8:オープン・プライス(市場予想価格55,000円前後)
Cubase Artist 8:オープン・プライス(市場予想価格30,000円前後)
※動作環境はこちら●問合せ : ヤマハスタインバーグ・コンピューターミュージック・インフォメーションセンター  ナビダイヤル:0570-016-808(IP電話の場合:053-460-5270)  http://japan.steinberg.net