フレンチ・タッチ~EDMを出自としつつ、J-POPからVR音響作品まで、スケールの大きな活動を展開するTeddyLoid。トラック・メイクに加えミックス・ダウン~マスタリングもプライベート・スタジオで自身が手掛けているが、メリハリがありつつコントロールが利いたサウンドは、海外フェスの現場でも高く評価されている。その中核となる機材がApollo Twinだ。
僕にとっては“最強”のオーディオI/Oです
Apollo Twinでプラグインかけ録りを実践
上掲の写真の通り、TeddyLoidはミニマルなスタジオ・セットアップを信条としており、制作時はいわゆる“楽器”をほとんど使わないため、オーディオI/Oがほぼ唯一の制作用ハードウェアとなっている。
「僕はこのスタジオで自分のボーカルをレコーディングしていますし、友人のギタリストに来てもらってギターを録ったり、ミックスやマスタリングも行っています。そう考えると、音の出入りをつかさどるオーディオ・インターフェースはこのスタジオで最も重要な機材になりますから、常に良いものを探しています」
そうした経緯もあり、2014年にApollo Twinがリリースされた際はすぐに購入したそうだ。
「既にApolloの音の良さを知っていたことと、テーブル・トップ・タイプのコンパクトな筐体が気に入ったこと、またちょうどUAD-2プラグインをミックスで使いたいと考えていたこともあり、そのプロセッサーも内蔵したApollo Twinは合理的でした。まず、AD/DAコンバーターの解像度の高さに驚きました。僕はApollo Twinがバス・パワー動作でないところを評価していて、似たようなサイズ/価格帯の製品と比べてもスピード感のあるサウンドが得られました」
Apollo Twinを導入して以降は、Unison対応のマイクプリを活用してUAD-2プラグインのかけ録りを積極的に行ってきたという。
「特に気に入ったプラグインはNeve 1073。僕は外スタジオでビンテージのNEVE 1073を何度か使ったことがありますが、コンディションによって音に個体差があると感じていました。もちろん実機ならではの良さも理解できますが、制作者としては、常に安定した音質で作業したい。その点で、Apollo TwinとUAD-2プラグインの組み合わせは、僕にとって理想的なんです」
Quadモデルのパワーを実感
TeddyLoidはApollo Twin MKIIについて、「まずカラーリングが気に入りました」と評価する。
「もともと黒は好きな色ですし、ちょうど制作のメイン・マシンをスペースグレイのAPPLE MacBook Proに替えたばかりだったので、マッチングもいい。まず、聴き慣れた自分の曲のABLETON Liveセッションを再生し、Apollo Twin MKIIのヘッドフォン・アウトからモニターしてみましたが、より解像度が高く、奥行きが出たように感じました。ADコンバーターも同様で、初代のApollo Twinと並べて録ってみたのですが、よりミックス時にEQしやすい、フラットな音で録れる印象です」
今回はQuadモデルでのテストとなったが、UAD-2プラグインをどんどん立ち上げられるので、ストレスフリーで作業を進められたという。
「初代のApollo TwinはDuoモデルでしたが、ミキシング時に重めプラグインを多く立ち上げると若干動作が不安定になることもあり、使い所を考えなければなりませんでした。その点Quadモデルは、パワーを気にせずに“作りたい”と感じた音が作れます。僕のサウンド・メイクにコンプは重要で、特にUAD-2の1176LNはすべてのトラックに挿したいくらい好きなので、助かります」
ほかにプラグインでは、Realtime Analog Classicsに付属するRealVerb Proも登場機会が多いそうだ。
「質感がチープでもリアル過ぎるわけでもなく、ちょうどいい。ソフト・シンセによく合うリバーブですが、若干動作が重いんですよ。でも、Quadモデルではメーターの振れ方も小さいので、思う存分使えます」
ラップトップ+小型I/Oが現在の主流
TeddyLoidは、Apollo Twin MKIIが前モデルから大きくパワー・アップしており、スタジオ・メインのオーディオI/Oとして使えると評価する。
「その上、コンパクトなので外にも持ち出せます。これまでは、自分の曲をこのスタジオ以外で制作することはあまり無かったのですが、昨年から海外のフェスに参加する機会が増えて、1~2週間ほど日本を離れることが多くなりました。すると、どうしてもその間に制作する必要が出てくるんです。その際MacBook ProとApollo Twin MKIIであれば、このスタジオの環境をそのまま持ち出せて、ホテルでミキシングまでできてしまいます。また、フェスで仲良くなったアーティストと現地でコラボレーションする機会も増えてきており、その際もスタジオにApollo Twin MKIIを持ち込んで、ボーカルをUAD-2プラグインでかけ録りしたりしています」
現在、一線で活躍しているアーティストの多くが、ラップトップとコンパクトなオーディオI/Oを持ち運んで制作を行っている。TeddyLoidも「サンレコで中田ヤスタカさんがモバイル・セットアップを公開していましたが、僕の周りではその影響が大きくて、持ち運べるI/Oに移行する人が増えてきました」と語る。
「Apollo Twin MKIIはコンパクトな上にレイテンシーがとても小さいですし、AD/DAの質が高くてUAD-2プラグインも使える。新搭載のトークバック・マイクも、ヘッドフォンでモニターしているミュージシャンとのコミュニケーションにすごく便利です。そうした仕様も含めて、Apollo Twin MKIIは僕の制作で使用するオーディオI/Oとして“最強”。逆に、ここからどうバージョン・アップするんだろう?と感じるくらいです」
Profile:TeddyLoid
フレンチ・タッチを出自とし、プロデュース・ワークやDJ/ライブ・パフォーマンスで幅広く活躍するクリエイター。中田ヤスタカ、KOHHらを招いた2nd『SILENT PLANET』の制作ではApollo Twinがフル稼働した。
[オフィシャル・サイト] http://www.teddyloid.com/
Recent Work
『SILENT PLANET 2 EP Vol.3 HAL by TeddyLoid』
TeddyLoid
EVIL LINE RECORDS:iTunes Storeほかでダウンロード購入可能
[メーカー・サイト] http://www.evilline.com/teddyloid/
Apollo Twin MKIIのラインナップと価格
Apollo Twin MKII / Solo
オープン・プライス(市場予想価格:79,000円前後)
Apollo Twin MKII / Duo
オープン・プライス(市場予想価格:102,000円前後)
Apollo Twin MKII / Quad
オープン・プライス(市場予想価格:148,000円前後)
なお、Windows専用のApollo Twin USB Duo (Silver)は引き続き販売される。