Inter BEE 2016にてAUDIONAMIXのワークショップが開催

11月16日に幕張メッセで開幕した“Inter BEE 2016”。さまざまな音響機材メーカーがブースを出す中、2ミックスからの音声分離技術で注目を集めるデベロッパーAUDIONAMIXより副社長のリック・シルヴァ氏(写真)とプロダクト・スペシャリストのスティーヴン・オリヴァー氏が来日。ユニークな同社プラグインのワークショップを開催した。

パリ/ロサンゼルスに拠点を置くAUDIONAMIXは、2ミックスからボーカルと伴奏を分離して抽出できる画期的なADXテクノロジーを開発。Trax Pro 3などのプラグイン・エフェクトをリリースする一方、2ミックス音源のボーカルをキャンセルしたり映像作品のセリフを差し換えるB to Bのサービス「APS」を提供している。

シルヴァ氏はまず同社の成り立ちについて簡単に述べた後、Trax Pro 3やVVC 3に続いて、新製品のSVCを紹介した。これはモノラル/ステレオの2ミックスの素材からスピーチ(話し声)を検出/分離して音量を±12dBでコントロールできるプラグイン。Mac/Windowsに対応し、AAX Native/Audio Units/VSTプラグインとして動作する。使用法はシンプルで、当該のオーディオ・トラックにSVCを立ち上げた状態で、ファイルを再生(またはオフライン・バウンス)することで解析が完了。インターフェース上の“SPEECH”“BACKGROUND”のスライダーを左右に動かすことで、スピーチと背景音の音量を自在にコントロールできる。

▲SVCのインターフェース。右の“SPEECH SETTINGS”でmale/female/childを設定。左の“REVERB”をオンにするとリバーブ成分も分離できる ▲SVCのインターフェース。右の“SPEECH SETTINGS”でmale/female/childを設定。左の“REVERB”をオンにするとリバーブ成分も分離できる

シルヴァ氏は「スピーチはボーカルと違って“ピッチ”の成分が無いため、2ミックスからの抽出はより難しくなるのだが、我々が日々開発している新しい解析アルゴリズムで可能になった」と説明。オリヴァー氏によるデモンストレーションでは、古いインタビュー音声を素材に、音声のみの音量を持ち上げつつバックグラウンド・ノイズを下げることで、短時間で非常に聴き取りやすい状態となっていた。

シルヴァ氏はSVCを「映画の吹き替えやドキュメンタリー作品の音声リマスタリングなど、ポストプロダクションに活用してほしい」と語る。一方、音楽的な観点からSVCを見ると、設定によってはリバーブ成分のみを取り除くこともできるため、例えばボーカル・トラックの部屋鳴りが大き過ぎた場合の調整や、S/Nの悪い録音テイクのブラッシュ・アップなどにも役立つだろう。以下にSVCのチュートリアル・ビデオを紹介するが、Inter BEE 2016のクリプトン・フューチャー・メディアのブースでは、期間中SVCのデモを行っている。興味を持たれた方は、ぜひ現場でその効果を確かめていただきたい。

AUDIONAMIX SVC
23,760円(為替相場により変動)

REQUIREMENTS
■Mac:OS X 10.8以降
■Windows:Windows 7以降
■共通項目:INTEL Core Duo 2.3GHz以上のCPU、4GB以上のRAM、光回線などのブロードバンド・インターネット接続(常時)

関連リンク:クリプトン・フューチャー・メディア SONICWIREチーム