11月4日(金)・5日(土)・6日(日)にわたり、東京ビッグサイトにて、日本最大級の楽器見本市“2016年楽器フェア”が開催された。今年はTOKYO GUITAR SHOWや、シンセフェスタ、ポタフェスなどの人気イベントを取り込み、より複合的なイベントとして進化。3日間とも多くの来場者でにぎわいを見せた。ここでは、電子楽器、音響機器を中心にレポートしていこう。
AUDIO-TECHNICA
ヘッドフォンATH-M50Xとマイクのオブジェを設置。ブース内にはマイクやヘッドフォンなどの展示のほか、ヒップホップ・ユニットSANABAGUN.とのコラボレーションによるVRスペシャル・コンテンツを体験することができた。本誌が制作したサウンド&レコーディング・マガジン特別号『AUDIO-TECHNICAのすべて』配布。同社の歴史、工場レポート、アーティスト・インプレッションを掲載したものだ。
▲ブースの前の巨大ATH-M50Mとマイク。多くの人たちが記念撮影していた
▲SANABAGUN.とのコラボレーションによるスペシャルVR映像体験コーナー
▲ブースで配られたサウンド&レコーディング・マガジン特別号『AUDIO-TECHNICAのすべて』
SHURE
ダイナミック・マイクSM58の50周年記念のフィーチャーしたブースに、マイク、ヘッドフォンなどを展示。セミナーやデモ演奏も行われていた。
▲ 50周年を記念したSM58のオブジェが印象的なSHUREブース
▲SM58 50周年記念モデルやiOS、USB対応マイクMOTIVシリーズ
また、別会場のポタフェスでは、同社のイア・モニターが展示。新製品のSE215M+ Special Editionは、ホワイト・カラーのスタイリッシュなデザインが特徴だ。 ▲ SE215M+(中央)は、SE215 Special Editionをベースにし、着脱式で交換可能なリモート+マイク・ケーブルを標準装備したモデル
ヒビノ
ポータブルPA機器JBL PROFESSIONAL Eonシリーズ、AKGのコンデンサー・マイク、iPadやPCでワイアレス・コントロールできるデジタル・ミキサーSOUNDCRAFT UIシリーズ、コンプ/EQ内蔵で4ch入力の小型ミキサーDBX Go Rackなどを展示。
▲Eonシリーズを中心とした展示コーナー。新発売のJBL Eon One(中央)は、高域ユニットと連結パーツを取り外して、本体に収納しコンパクトに持ち運べる
▲SOUNDCRAFT UI12に接続されたAKGのマイクは、iPadで入力チャンネルを選択して試聴ができるようになっていた
ヒビノインターサウンド
DPAの楽器用マイク、D:Voteシリーズを多数出展。来場者が持参の楽器でその音色を確かめられるようなセットが組まれていた。
▲ DPAの楽器用マイクD:Voteクリップの新ラインナップも展示
MACKIE.
ProDXシリーズ、Mix、ProFXv2、DLなどのミキサーや、モニター・スピーカーCRやPA用のReach、FreePlayなどが並んでいた。
▲ ProDXシリーズはすべての入力にEQ/コンプを装備し、全16種類のマルチエフェクトを内蔵。Bluetooth接続したiOS/Androidデバイスを使って操作する
イースペック
NEUのモバイルPAシステムLive Activeや、レコード・プレーヤーDD1200MK3、SEIDEのマイクやリフレクション・フィルター、簡易照明システムE-LITEのLED Power Barシリーズなどを展示。LEDライティングやレーザーによるデモンストレーションで多くの来場者の目を引いた。
▲ LEDライティングやレーザーによる空間演出
ORB
ケーブルやアクセサリーなどを取り扱うORBブースでは、先日発表となったダイナミック・マイクClear Force Microphoneシリーズが初披露。幅広い音楽ジャンルにオールマイティに使えるモデルCF-3と、より繊細なサウンドを目指したCF-A7Fがあり、どちらも特殊なガンメタリック・カラーのメッキが施されている。プラグに同等のメッキ処理をしたマイク・ケーブル「J10-XLR Pro」を使用するとデザインの統一感が増して、ステージ映えする。
▲ ORBブースのマイク試聴コーナー。ステージ用ヘッドフォン・アンプJade Stage Model Jを通して試聴することができた
▲ ダイナミック・マイクClear Force Microphone CF-3
YAMAHA
MontageやRefaceシリーズ(CS/DX/CP/YC)のほかに、MXシリーズのホワイト・カラー・モデルMX49WH、MX61WHが初公開された。発売は12月1日とのこと。
▲YAMAHAブース
▲ホワイト・カラーのMX49WH
STEINBERG
Cubaseシリーズを中心とした展示で、オーディオI/OのUR22MKIIマイク、ヘッドフォン、Cubase AIなどのソフトを1つにパッケージ化したUR22MKII Recording Pack、楽譜制作ソフトウェアDoricoなどが紹介されていた。
▲UR22mkII展示コーナー
NORD
11月1日よりヤマハミュージックジャパンでの取り扱いが開始されたNORD。発売は12月ごろになる見込み。
▲NORDブース
ROLAND
同社が取り扱う製品が集められた巨大ブース内には、8月、9月に発表された新製品を中心に並べられていた。そんな中、オーディオ・インターフェースUA-4FXIIが初披露。前バージョンよりアナログ段の音質向上、DSPもパワフルに、そしてコンパクトなデザインに一新された。またインターネット生配信において便利な、BGMを自分の声と同時に配信できるはループバック・スイッチや、マイクの音をオン/オフできるオン・エア・スイッチ、声を劇的に変化させるボイス・エフェクト、カラオケのようなエコー効果が得られるリバーブなど番組を盛り上げるエフェクトも搭載し、ネット配信/音楽制作と共に活用できる。
▲ROLANDブースの入口の様子
▲UA-4FXII。オートゲイン機能やヘッドセット・マイク対応の入力端子も搭載
▲ AIRA&Boutiqueシリーズ・コーナーには話題のTR-08、TB-03、VP-03も並んでいた
KORG/ARTURIA/MOOG
サブステージ以外は黒く覆われたKORGブース。中に入るとステージとハンズオン・コーナーが設置され、先日発表となったモノフォニック・シンセMonologueを中心に多くの人が試奏を楽しんでいた。オリジナルを忠実に再現しフル・サイズ鍵盤を採用したArp Odyssey FS Rev1と、ライトなタッチのLS鍵盤を採用したKORG Kronos LSが、現在開発中のオリジナル・キーボード・スタンドに乗せられていた。これらは参考出品のため発売は未定とのこと。
▲本邦初公開のMonologue(上段手前一列)
▲Arp Odyssey FS Rev1(上段左)、Kronos LS(下段)が開発中のキーボード・スタンドに展示 (すべて参考出品)
KORGブース内の一画に設置されたARTURIAコーナーには今年1月に発表されたアナログ・シンセMatrixBruteやアナログ・リズム・マシンDrumBruteが日本初公開。
▲ MartixBrute
▲ DrumBrute
同じくKORGブース内に設けられたMOOGコーナーにはMinimoog Model Dの復刻モデルが展示。発売日は未定だが国内販売は決定している。 ▲Minimoog Model Dの復刻版
ZOOM
楽器フェアの開催同時期に発表されたハンディ・ビデオ・レコーダーQ2N。Q4N相当の画質と音質を保ったままコンパクト・サイズを実現し、単三電池×2本でも動作、ステレオ・マイクを内蔵している。またQ4Nで好評だったシーン・プリセットも実装し、環境に合わせた撮影が可能だ。
▲ ARQ AR-96コーナーでは常駐スタッフが使い方をレクチャーしてくれた
▲Q2N。既に発売中で、実売2万円を切る価格
ATV
電子パーカッションaFrameが一般初公開。竹製のオーガニックなフレーム、ポリカーボネートを採用した打面、裏側にメカニックな部分が収められているユニークな電子楽器だ。たたく、こする、押すことで音色やエフェクトをコントロールすることができる。このほかにもサンレコ2016年12月号で取り上げた電子ドラムaD5も試奏展示されていた。
▲ aFrame
TOMITA Memorial Museum
シンセ・フェスタ16の入口に設けられたTOMITA Memorial Museum。ステージには冨田勲が使用した機材に囲まれながら、氏にまつわるさまざまなトーク・ショーを展開。ステージ左奥にそびえ立つのは立体音響を使った壮大な野外イベント「トミタ・サウンドクラウド」で使用したコスモ・シンセサイザーだ。
▲藤井丈司(左手前)、篠田元一(中央)、松武秀樹(右奥)
フックアップ
UADソフトウェアV9にてUADドライバーがWindows Thunderboltに対応。それを受けてUNIVERSAL AUDIOコーナーではUAD製品をWindows PCとThunderboltで接続して展示されていた。また、NEKTAR Panorama P4、Impact LX49+、ユーロラック+キーボード・コントローラーWALDORF KB37などの新製品が並んでいた。
▲Apollo Twin(上段左)、UAD-2 Satellite(上段右)、Apollo 8(下段)
▲UNIVERSAL AUDIO Apollo Twin(上段左)、WALDORF KB37(上段右)、NEKTAR Panorama P4(下段右)。MacBook ProにはIK MULTIMEDIAのモデリング・ベース音源Modo Bassが立ち上がっていた
IK MULTIMEDIA
モデリング・ベース音源Modo Bassや、iPadアプリSample Tank、IRig Keysシリーズなどを試すことができた。シンセフェスタ16デモ・ステージにて行われた田辺恵二によるModo Bassのデモンストレーションでは、リアルなベース・サウンドを体感できた。
▲ IK MULTIMEDIAブース。モニター・スピーカーとして使用されていたのはエンジニアの間でも評価の高い同社のILoud Micro Monitor
メディア・インテグレーション
貴重なビンテージ・キーボードを収録したソフト音源SPECTRASONICS Keyscapeを中心に、DIGIGRID Desktop Series、TEENAGE ENGINEERING Pocket Operator PO-20シリーズ、APOGEE Elementシリーズ、POSITIVE GRID Bias Headなどを展示。
▲ メディア・インテグレーション・ブース。ディスクを兼ねたキーボードはZAOR Klavidesk
▲POSITIVE GRID Bias Head
エムアイセブンジャパン
TOM OBERHEIM SEMシリーズ、SOFTUBE Modular、そしてグッドデザイン金賞を受賞したROLI Seaboardを展示。
▲エムアイセブンジャパン・ブース
ELEKTRON
ELEKTRONブースの目玉は、話題のエフェクターAnalog Heat HFX-1。8種類のステレオ・アナログ・ディストーションとフィルター、EQを装備している。また、アナログ・ディストーション・ストンプ・ボックスAnalog Drive PFX-1が本邦初公開となり話題を呼んだ。
▲Analog Heat(写真左)、Analog Drive(写真右)
REON
Driftboxシリーズを中心に独創的な製品を世に送り出している大阪発のハンドメイド・シンセ・メーカー。今回初披露となったのがプログラマブル・ミキサーDriftbox C、Driftbox Sの上位機種となるDriftbox W。Driftbox Cは、4Ch、2Bus仕様のオーディオ/CVミキサーで、8つのメモリー・バンクをGate信号で切り替えが可能。Driftbox Wは、2VCOのピッチとゲイン、VCFのパラメータをジョイスティックで操作し、より過激なサウンドを作ることができる。
▲ Drift Box C(写真左)、Drift Box W(写真右)
福産起業
TOM OBERHEIMとのコラボにより生まれたDAVE SMITH INSTRUMENTS OB-6/OB-6 Moduleや、MELLOTRON M4000D、Mini、SOLARISなどのシンセ、キーボード。そしてDOEPPFERや、MAKE NOISE、TIPTOP AUDIO、MUTABLE INSTRUMENTSなどのモジュラー・シンセなどを豊富に展示。
▲福産起業ブース。DAVE SMITH INSTRUMENTS Tempest、JOHN BOWEN SYNTH DESIGN Solaris、ACIDLABのグルーブ・ボックス(左写真)、MAKE NOISE、DOEPPERなどのモジュラー・シンセ(右写真)
ディリゲント
同社が扱うU-HE、SUGAR BYTES、FABFILTER、ROB PAPENなどのソフト音源/プラグイン、STUDIOLOGICやXkey、DECKSAVER製品などを展示。STUDIOLOGIC Sledge Black Editionや、ポタフェス・ブースにて子供のための防音用イア・マフ「Baby Banana Muffs」が初公開された。
▲STUDIOLOGIC Sledge Black Edition(左写真)。本体の強度を体感できるように展示された楽器保護用カバー・ブランドDECKSAVER(右写真)
▲ポタフェス・ブースに展示されたTHUNDERPLUGS製品
DOT RED
浜松を拠点とする国産ブランドで、Eurorackケースや電源モジュールなどを取り扱う。ピアノ塗装を施したサイド・ウッドのEurorackケースが特徴的だ。
▲Eurorackケースを取り扱うDOT REDブース
QUICCO SOUND
Mi.leは、Bluetooth MIDIをCV/Gateへ信号を変換するユーロラック・モジュール。同社開発のiPadのステップ・シーケンサー・アプリからBluetooth MIDIをCV/Gateへ変換しアナログ・シンセを演奏するデモが行われていた。
▲EurorackケースにはMi.leが3台マウントされていた
以上のほかにもサウンド&レコーディング・マガジンTwitterにて楽器フェアの模様を紹介しているので、そちらもご覧いただきたい。
2016年楽器フェア・サンレコ・レポート