
電子機器同士のやりとりをスムーズにするための世界共通規格であるMIDI(ミディ)をテーマにしたイベントThink MIDI 2015 ~MIDIがつなぐ時代と音楽〜が、12月12日(土)・13日(日)にラフォーレ・ミュージアム六本木にて開催され、多くの来場者が集まった。その模様についてレポートする。
1983年、アメリカで開催された世界最大の楽器見本市"NAMM SHOW"にて、MIDIケーブルでつながれたROLAND Jupiter-6とSEQUENTIAL CIRCUITS Prophet-600の、どちらか一方を弾くことで同時にそれぞれの楽器が鳴るかという実証実験が行われた。
それはメーカーの垣根を越えて電子楽器をつなぎ、演奏情報をやりとりできることが証明された瞬間だった。

その後MIDI規格が正式に発表されMIDI対応機種が次々と誕生。電子楽器市場は大きく発展していった。現在のDAW中心の音楽環境においても、内部でMIDIが重要な役割を担っている。さらには照明やDJソフトなどの制御などにもMIDIが使用されており、誕生して30余年経過しているMIDIというプロトコルはいまだ色あせることはなく、さらに身近な存在になっているのだ。MIDI規格の制定に携わったローランドの創業者、梯郁太郎氏がSEQENTIALの創業者デイヴ・スミス氏と共に2013年にテクニカル・グラミーを受賞したことからも、いかに世界の音楽シーンに定着し影響を与えたかその貢献度の大きさがわかる。

このイベントではMIDIの素晴らしさを学び、若い世代のアーティスト達がこれからMIDIとのかかわり方を見通していくためのさまざまなコンテンツが用意されておりそれぞれ来場者の関心を集めていた。
MIDI前夜までの歴代のシンセサイザーがずらり並ぶ展示ブース
入り口を入ってすぐに目に入るのは、"創世記" "サンプリングの幕開け" "MIDI前夜"というテーマに沿ってシンセサイザーの歴史を追える展示ブース。普段あまり見ることができない歴史的貴重価値の高いビンテージ・シンセサイザーが鎮座していた。
















MIDI誕生後を代表する名機を体験、MIDI HISTORY
MIDI規格が発表されて以降のデジタル・シンセサイザーは"MIDI HISTORY"コーナーと銘打たれた中央の丸テーブルに集められ、Webアプリ経由で制御することで一つのMIDIキーボードから自由に演奏できるようになっていた。またシンセサイザーがMIDI信号を受信するとライトが点灯し、来場者の好奇心をそそる工夫が施されていた。













MIDIの将来を見通せる"FUTURE MIDIコーナー"
そして、今後のMIDIの可能性について体験できる"FUTURE MIDI"コーナーではWebやBluetoothなどMIDIを使用したアプリケーションが展示されていた。




さらに企業ブースでは、オーディオ・インターフェース、ソフト・シンセサイザーや、MIDIを使用したユニークなオリジナル楽器が体験できた。
▼ZOOM

▼TASCAM

▼SRIC(スリック)

MIDIの先駆者や豪華アーティストが集結したイベント・ステージ
イベント・ホールでは1日目、2日目で異なるテーマで構成されたスケジュールになっており、1日目はMIDI's LEGEND DAYと題し、富田勲、服部勝久、千住明らによるパネル・ディスカッションなど、先駆者へのリスペクトを示す内容、2日目はCREATE MUSIC DAYと題し、学生達の作品発表や、大橋ミチルによるトーク、豪華アーティストによるスペシャル・パフォーマンスなど、MIDIを使う音楽表現を広く扱う企画となっていた。

12月12日(土)MIDI's LEGEND DAY




12月13日(日)CREATE MUSIC DAY




イベント・ホールの一角にはイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)が1980年当時使用していたライブ機材が展示。今回はプレイヤー目線で機材を眺めることができるようなマニア心をくすぐる演出に多くの来場者の目をひいていた。






また、サブ・ステージでは、インターネット、ディリゲント、クリプトン、コルグ、スリック、NATIVE INSTRUMENTS Japan、ティアック、AMEIによる製品・技術のデモンストレーションが行われた。
このようにさまざまなコンテンツが凝縮された刺激的な2日間であった。これまでMIDIについて多く触れてきた人もそうでない人も、いま一度MIDIについて知識を深めてみてはいかがだろうか。ほかの人とは違った新しい表現力を手に入れられるかもしれない。