iPadから始まるミュージック・クリエイション in Apple Store表参道レポート

Text : Taisuke Ichihara

先日Apple Store 表参道にてインストア・イベント「iPadから始まるミュージック・クリエイション」が開催された。メディア・インテグレーション畑澤崇氏のナビゲートのもと、ゲストにシンガー・ソングライター/ギタリストのヒラマ ミキオ氏を迎え、デモ演奏を交えながらiPadを使用した音楽制作ワークフローについて紹介された。多くのAPPLEファンや音楽ファンが集い、イベントは大いに盛り上がった。

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iOSデバイス対応オーディオ・インターフェースAPOGEE One

今回のデモンストレーションではギターの音をiPadへ入力するために、ヒラマ氏も愛用しているAPOGEE Oneが使用された。モノラル1系統入力、ステレオ1系統出力とシンプルな設計でありながら、24ビット/96kHzまで対応するiOS / Mac専用オーディオ・インターフェイスだ。ブレイクアウト・ケーブル経由でのインストゥルメント/マイク入力、そして本体内蔵マイクの合計3つの中から1つの入力ソースを選択して録音することができる。このAPOGEE Oneと、iPadアプリがあれば、どこでも音楽制作環境が手に入ることになる。

ヒラマ氏いわく「APOGEE Oneはコンパクトだけど音がかなり良く本気な商品」
iPadやiPhoneを使用したデモ録りに活用されているようだ。

Apogee One ▲ APOGEE One

APOGEEは今年30周年を迎えたカリフォルニアにあるデジタル・オーディオを追求したブランドで、 オーディオ・エンジン開発にも携わっており、APPLEと親和性が高い製品を多く開発している。

APOGEE Oneのほかにも2イン/4アウト仕様のDuet、 4イン/8アウト仕様のQuartet、さらにハイクオリティなサウンドで音楽を楽しむためのヘッドフォン・アンプGrooveは、iOSデバイスやMacで使用することができる。またMac専用モデルEnsembleのようなMac専用の本格的なオーディオ・インターフェースもラインナップしている。

アンプ・シミュレーターPOSITIVE GRID Bias Amp

今ではさまざまな音楽系アプリが存在するが、入門用としてではない本格的なサウンドを得意とするものが多くなってきている。POSITIVE GRID Bias Ampもそのうちの一つだ。

POSITIVE GRID Bias Amp

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Bias Ampはアンプ・シミュレーター・アプリだが、パーツ・レベルで自由に設計できてしまうという、とてもユニークな機能を持っている。また、Mac版のソフトウェアとの互換性があるだけでなく、ToneCloudという専用サーバーを使用し、ユーザー同士とプリセット・データを共有することもできる。将来的には著名アーチストによるプリセットをダウンロードできるようになるという。

またMac版のBias Amp Professionalには、ギター・アンプの音をキャプチャーすることで、その実機と同じトーンを再現するマッチング・テクノロジーという驚くべき機能も搭載している。

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Bias Amp上で設計したアンプに対して、キャビネットを選び、EQや音を拾うマイクの位置などの細かく設定し、オリジナル・サウンドを追求できるのがユニーク。ヒラマ氏がギターで音を確かめながら、畑澤氏がリクエストに応えるように理想のサウンドに近づけていった。

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ペダル・エフェクターPOSITIVE GRID Bias Pedal

ギター・ペダル・エフェクターにおいてもかなり本格的なアプリが登場している。こちらも同じくPOSITIVE GRIDのアプリBias Pedalが紹介された。

POSITIVE GRID Bias Pedal

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こちらもBias Amp同様、パーツ・レベルで設計して本格的なひずみ系エフェクターを独自に作成することができる。シリコン、ゲルマニウム、真空管といったパーツを選び、フィルターを使用して周波数レンジを狭めたり、電圧を選べたりと、ハードウェアさながらのカスタマイズができる。

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さらにMAC版のBias Pedal Desktopは、Bias Amp Professional同様に実機からキャプチャーして同じトーンを再現するマッチング・テクノロジーを搭載している。また、iOSアプリとも互換性があり、ユーザー同士とプリセットも共有できる。

アプリGarageBandを使ってギター・レコーディング

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iOS 7でInter-App Audio機能が搭載されたことにより、音楽アプリ同士を組み合わせて使うことができるようになった。この機能を利用して、ヒラマ氏によるギター・プレイをBias Pedalで作ったペダル・エフェクターを通し、DAWアプリGarageBandでレコーディングするデモンストレーションが行われた。最小限の機材システムを使い、シンプルな工程で作品を仕上げられることが実感できた。

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このように現在は、遊びの延長ではなく実際の制作で十分使えるレベルのクオリティを備えたアプリが多く存在する。既にデモ録りや、楽曲のラフ・スケッチにiPadやiPhoneを活用しているヒラマ氏は「ツアー先でも最小限の荷物で音楽制作環境が整うので大変助かっているという。今回使用したPOSITIVE GRIDのアプリはこのまま最終のオケで使いたいと思えるぐらいレベルが高く驚いた」

ナビゲーターの畑澤氏も「Macの音楽制作環境を語る上で重要な環境ではあるが、手軽に使える音楽制作ツールとしてさまざまなiOSアプリがそろっていることは便利で良いことだと思う」と語っていた。

apple-apogef 新しく発売されたiPad Proについて語る畑澤氏、ヒラマミキオ氏

イベントの最後には発売されたばかりのiPad Proについての話題に。畑澤氏は発売日と同時に購入し、大変気に入っているという。

すでにGarage Bandのアプリの鍵盤が2段表示になっているといった例のように、画面が大きくなったメリットを生かして、さまざまな音楽アプリが登場することだろう。APPLEと音楽制作環境との関係がどのように発展していくのか今後も注目していきたい。

apple-apogeh 店頭に並んだばかりのAPPLE iPad Pro
apple-apogei iPad Pro+GarageBandでは画面の広さを生かして鍵盤が2段階表示可能に

関連リンク

APOGEE 日本語Webサイト
http://www.apogeedigital.jp/

POSITIVE GRID日本語Webサイト
http://www.minet.jp/brand/positivegrid/

POSITIVE GRID Bias Amp iPadアプリ
https://itunes.apple.com/jp/app/bias-amp/id711314889

POSITIVE GRID Bias Pedal iPadアプリ
https://itunes.apple.com/jp/app/bias-pedal/id1020011770

ヒラマ ミキオFacebook
https://www.facebook.com/mickeyhirama

Apple Store 表参道
http://www.apple.com/jp/retail/omotesando/