ついに待望のUSB 3.0対応!UNIVERSAL AUDIO Apollo Twin USB発表会レポート

UNIVERSAL AUDIO Apollo Twinシリーズより、新たにSuperSpeed USB 3.0インターフェイス接続のWindows専用モデルApollo Twin USBが登場する。先週、Red Bull StudioにてApollo Twin USB製品発表会が開かれ、インターナショナル・セールス・マネージャー、ナガイ ユウイチロウ氏による製品コンセプト、ストーリーが紹介された。

apollo-twin-view Windows専用Apollo Twin USB

UNIVERSAL AUDIOの歴史は1958年までさかのぼる。レコーディングの父と呼ばれる故ビル・パットナムが設立し、コンプレッサーLA-2A、1176などのさまざま名機を世に送り出した。彼の一番の功績はエンジニアの立場を変えたことだろう。当時スタジオ機材のメンテナンスや単に音を録音するだけだったエンジニアが、彼が作った機材を使うことにより、楽曲自体のクオリティを上げるためのメンバーとして楽曲製作に加わるようになったからだ。とナガイ氏は語る。

ビル亡き後、彼の息子たちであるジェームズ・パットナム、ビル・パットナムJrによって引き継がれ、現在はカリフォルニアのスコッツ・バレーを拠点とし、人間のワークフローを考えたアナログの精神を継承するデジタル製品の開発に力を入れている。もちろんそれは過去にビルが世に送り出したアナログ機材からインスパイアされおり、シンプルなデザインだが直感的に使うことができ、ミュージシャンをわくわくさせるフィーリングをデジタル化しているのだという。

そこから生まれたのがUADのプラグイン・システムだ。UADのプラグインは専用 DSPアクセラレーターで演算処理されるので、コンピューターのCPUに負担をかけずに済む。現在はUAD-2としてPCIeやThunderboltなどの接続方式を採用したハードウェアがあり、100タイトル以上のバラエティ豊富なプラグイン・エフェクトがそろっている。

uad-satellite UAD-2 Satellite Thunderboltシリーズ

Apolloシリーズでは、プロレベルの高音質/高解像度オーディオ・インターフェイスと、リアルタイムUADプロセッシングが可能なエフェクトが融合した。その後、次世代のA/D D/A コンバージョンを搭載したブラックカラーのApollo 8 / 8p / 16が登場し、現在のApolloシリーズのメイン・ラインナップでありクラス最高峰のサウンド・クオリティを誇る。

apollo8 Apolloシリーズ

Apolloの特長の一つでもあるUnisonテクノロジーは、マイク・プリアンプが備えるキャラクターとカラーを与えてくれるマイク・プリアンプ・エミュレーションだ。例えばチューブのマイク・プリアンプを選ぶと、インピーダンスやヘッド・ルームなどの設定がコントロールされモデリングしてくれる。また、2ms以下のリアルタイム・プロセッシングが可能になるためレイテンシーを感じさせない。そのためPAエンジニアにボーカル処理用として使われることも多い。

2014年に発売されたApollo Twinは、手ごろな価格でありながら、Apolloの機能をそのままにコンパクトにうまくまとめられた10イン/6アウトのオーディオ・インターフェイスだ。アナログ入力は2チャンネルでMIC、LINE、Hi-Zにも対応している。一般的にコスト・ダウンしている製品はパーツや音のクオリティもダウンしている場合が多いが、Apollo Twinはそういった妥協がない。

apollo-5 Apollo Twin USB

また今回発表されたApollo Twin USBは、MAC専用Thunderblot接続のApollo Twinと製品クオリティは同等で、USB 3.0接続になったことでWindowsユーザーでもApollo Twinを音楽制作環境に取り入れることが可能となった。

apollo-2 Apollo Twin USBリア・パネル

MAC専用Thunderblot接続のApollo Twinが発売された当初、すぐに日本からUSBモデルのリクエストを多く受けたという。そこでUSB 3.0について調べたところ、十分満たすスペックだったためWindows版の開発をはじめたという。そのためApollo Twin USBは、Windowsで音楽制作環境を構築しているミュージシャンが多い日本をかなり意識しているようだ。

ちなみにMAC専用Thunderblot接続のApollo TwinはDSPチップが1基搭載されているSolo、DSPチップが2基搭載されているDuoの2種類が用意されているが、Windows専用USB 3.0接続のApollo Twin USBはDSPチップが2基搭載されているDuoモデルのみとなっている。

Apollo専用のソフトウェア・インターフェイスConsole 2.0では、リアルタイム UAD プロセッシングと Unisonを採用したUAD プラグインを設定やモニタリング・コントロールするために使用する。Windows 8のタッチ・パネル機能にも対応しており、指先でモニター画面に触れて直感的に操作することができる。これはWindows 8ならではの利点ではないだろうか。

apollo-console2 Apollo Console 2.0

Apollo Twin USBを導入することで高品位なI/O、マイク・プリアンプ、PCに負荷をかけずに処理できるUADプラグインが手に入る。Windows環境で使えるこのような製品は今のところ唯一無二だろう。Apollo Twin USBは単なるオーディオ・インターフェイスではなく、音楽スタジオそのものといっても過言ではない。

今回の発表会終了後、講師に水島康貴氏と加瀬拓真氏、スペシャル・ゲストに森元浩二.氏を迎え、3時間にもおよぶUniversal Audio / Apolloユーザー限定のプレミアム・サウンド&アレンジメント・セミナーが開催された。

apollo-6 セミナーの様子

日本を代表するエンジニアによる、編曲のテクニックと楽曲コンストラクションについて、そして現代において切り分けることの出来ない楽曲アレンジとサウンド・メイク、ミキシングの関係についても深く掘り下げて解説されていた。

apollo-3 左から水島康貴氏、森元浩二.氏

セミナー開催前に、水島氏と森元氏にApollo製品についてお話を伺った。

水島氏はMac Book ProにはUAD-2 SatelliteとApollo Twinを使用しているが、最近Apollo 8を試したところ音楽的な音の良さが際立ち驚いた。森元氏も海外のエンジニアがApolloを使って仕上げた音が自分の環境で作った音とあまりにも違ったという。

apollo-7

誰にでもApollo Twinシリーズのようなハイ・クオリティな環境が手に入る現在の音楽環境について、クリエイターからの視点ではどのように感じているかを水島氏に聞いた。

「良い時代になりましたね。今は簡単に道具はそろうが、それをどう使うかは自己流でやらなくてはならない。インターネットには答えがいくつも載っているが、それは一つのやり方にすぎず、すべての人の答えを満たすかどうかはわからないですから。コンプの使い方にしても何の音をどんな風に取り込むかによって設定は違いますからね。それに曲を構成する音は全体のバランスを上で成り立っているので、その音だけにフォーカスして作ろうとしても同じ音にはならないということに気づかない人が多い。スタジオでエンジニアが音を立ち上げているところを見れば、元音がどう処理してそういう音担っていくのかを体感できるんだけどね。何かちょっとした動作でもいろんな経験値から導かれるものなので、そのために必要なスキルは我々が伝えていきたいと思っています。」

Apollo Twinシリーズを導入すれば、もっともコンパクトな自宅スタジオ環境が手に入ることになる。あとは自身の感性を形にするために力を注いでいただき、経験値を積んでもらいたい。

UNIVERSAL AUDIO Apollo Twin USB 

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価格:オープン・プライス(税抜市場想定価格110,000円)
国内発売予定日:2015年11月末

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