ハンディレコーダー選び、どうしてますか?/文化立国調査会の講演に登壇【第45回】realize〜細井美裕の思考と創発の記録

空気感も含めて録れるSONY PCM-D10とエッジーな録り音のZOOM H6essentialを入手

 春なのでハンディレコーダーを2機新しく購入しました。あまり作品で自分の声以外を録音することはなかったので、ハンディレコーダーも簡単なものが一つあればいいやーくらいに思っていたのですが、最近自分の作品にアーカイブ的要素が強く出てきていることもあって入手。

 ZOOM F6も所有しているけれど、Ambisonicsマイクでの録音はすっかり出番がなくなってしまい控え選手に。サラウンドのインスタレーションを制作しているので、全方位を録音することもよくやっていると思われがちなのですが、どちらかというと録音(からの編集)が苦手で避けています。聴くのは好きです。

3Dニットマシンの中の音を録るために不思議な場所に置かれたRODE NT-SF1

3Dニットマシンの中の音を録るために不思議な場所に置かれたRODE NT-SF1

君との収録は大変だったけど、モケモケしてかわいいNT-SF1

君との収録は大変だったけど、モケモケしてかわいいNT-SF1

ZOOM F6は純正のバッグPCF-6(別売り)が便利。写真は新潟でのサンプリングのときに撮影(連載第18回参照)

ZOOM F6は純正のバッグPCF-6(別売り)が便利。写真は新潟でのサンプリングのときに撮影(連載第18回参照)

 購入したのはSONY PCM-D10とZOOM H6essentialです。PCM-D10は以前SONYのオフィシャルサイトでのインタビューのために2週間ほど使わせていただいた経緯があり、操作性が良かったので忘れられず……。それと、マイクの向きを変えられること、グリップノイズが出にくいこと、マイクレベルを録音中に変えてもスムーズなことなど、割と実務的な魅力が多くて、屋外でドタバタしながら録るときにいいかもと思い出した次第です。起動が速すぎて感動する。もうしばらく使っているけどいまだに感動する。作った現場の人のドヤ顔が見えるような使用感、いいですよね。

日比谷公園の音をSONY PCM-D10で収録

日比谷公園の音をSONY PCM-D10で収録

このシルエット、なんだか面白い

このシルエット、なんだか面白い

 PCM-D10はハンディだけど空気感も含めた録音というイメージだったので、エッジーな音を録れるものも探していました。調べていくと、今年ZOOMから新製品のessentialシリーズが出ていたんです。PCM-D10とセットで持って良い組み合わせになるという視点で考えると、アタッチメント式のガンマイク(夏発売予定)を取り付けられるH6essentialが良さそうじゃないか。ということで購入しました。機能的にはより手軽な4トラック仕様のZOOM H4essentialでもよかったのですが、どうやらデフォルトでついてくるマイクの質もH6essentialと違うみたいです。

 TASCAMのレコーダーも購入しようかなと迷って調べていたのですが、どれがいいのか迷ってしまい、使用する日が迫っていたので今回は見送りました。レコーダーってみんなどうやって音を試して買うんだろう?  そうそう、先日イェジがインスタのストーリーで“My first piece of gear”とZOOM H4nをアップしてたんです。私はH4n Proだったけど同じでめちゃくちゃうれしかったな。

ZOOM H4n Proとはたくさんの思い出がある

ZOOM H4n Proとはたくさんの思い出がある

H4n Proを使った天川村でのサンプリング(連載第7回参照)。こういう画角でぬいぐるみを連れて歩く方もいますよね。同じことかな

H4n Proを使った天川村でのサンプリング(連載第7回参照)。こういう画角でぬいぐるみを連れて歩く方もいますよね。同じことかな

文化立国調査会で話したエンジニアの育成支援の必要性

 話はすっかり変わりますが、先日自民党で開催された文化立国調査会に文化庁クリエイター育成の採択者として出席し、海外展開のために必要な支援、作家だけでなくエンジニアの育成支援が必要であることなどお話ししてきました。

 インスタレーションの作品では特に、エンジニアは現場でコンセプトや作家の性格を鑑みた臨機応変な対応をしていく必要があると感じています。エンジニアの質が作品の質に直接影響することはもちろん、最近は多くの作家が数少ないエンジニアに集中することから、芸術祭の時期や大規模展示が重なると深刻な人手不足が発生します。海外経験のある方も少ないので、日本に招聘された作家の対応ができる人も限られる。もちろん、作家によってエンジニアの要、不要は異なる前提として話しましたが、多くのエンジニアを必要とする自分の作品を例に出し、政府の方々に理解していただくための一歩になっていたらいいなと思います。

 さらに現在の制度だと事前にすべてのアドバイザーが決まっており、専門性を高めるためには数人、採択後にアドバイザーが選ばれるという方向も検討していただきたいとお伝えしました。自分の税金は刺激的な作品に使われてほしい。ではまたー!


今月のひとこと:4月27日〜5月12日 日比谷公園でリサーチベースの新作『余白史』を展示します。公園の園内放送のスピーカーを使用します。

細井美裕

細井美裕
【Profile】1993年生まれ、慶應義塾大学卒業。マルチチャンネル音響を用いた空間そのものを意識させるサウンドインスタレーションや、舞台公演、自身の声の多重録音を特徴とした作品制作を行う。これまでにNTT ICC無響室、YCAM、札幌SCARTS、東京芸術劇場コンサートホール、愛知県芸術劇場、国際音響学会AES、羽田空港などで作品を発表してきた。

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