
皆さんお元気ですか?
もう3月になったのにまだ寒いですね。
ちょっと記事のアップが遅れてしまいました。すみません!
この時期はいわゆるテレビの番組改編前。4月になるとどのテレビ局も番組の編成が変わります。つまり、新番組の多くが4月にスタートします。とすると必然的に新番組のための音楽、“劇伴”が必要になってくるわけです。
“劇伴”という言葉はサンレコの読者であれば知ってる人も多いと思います。映画やテレビ番組の背景音楽のことを言いますが、これが結構奥が深いんです(このネタはまた改めてm(__)m)。というわけで、この時期、私は“劇伴”制作に奔走してるわけです。
“First Take Magic”は、迷信でも誇張でもない!
さて、今回も歌録り(ボーカル・レコーディング)の話です。皆さんは歌録り、どんな進め方をしますか?
①全体を通して何度か歌ってもらう。
(我々はよく「ツルッと録ろうか?!」って言います)
②Aメロだけ、そしてBメロだけ、サビだけとセクションごとに録っていく。
(順番はその都度変わります)
③アタマから順番にフレーズごとにOKテイクを作っていく。
大きく分けると、これら3パターンの進め方になるかと思います。一番多いパターンは①で、具体的には何度か通して歌ってもらって、うまくいかなかったところだけやり直す、という方法。私も大体この進め方をします。
ということで、ここで私の基本的な歌録りの進め方を紹介しましょう。
まず、マイク/マイクプリ/コンプなどはプリプロで既に選んでいるとして、またボーカリストも歌録りの準備(声出しや柔軟体操)は済ませているとした上で、
「練習をかねて1回、ツルッと歌ってくれる? マイクのレベルや、そっちのモニターのレベルも確認したいしね!」
と言って、やおら1回通して歌ってもらいます。もちろん、録りのレベルも確認します。しかし、テストとはいえ必ず録音はしておきます。
“First Take Magic”って知っていますか?
これは“ファースト・テイクが一番良いことが多い”という意味なのですが、私も多くの現場でこれを経験しています。少し前にも書きましたが、デモ・レコーディングやプリプロも含め、“First Take Magic”は存在します。最初のテイクはちょっとした緊張感があったり、逆に“テスト”ということでリラックスして歌えたり……ケース・バイ・ケースではあると思うのですが、良い歌や良い演奏が録れることが多いのです。
残念ながらネタばらしはできませんが、私が歌録りしたあるヒット曲のボーカルは、デモのファースト・テイクが一番良く歌えていましたので、アレンジもテンポも本番では変わっていたのですが、結局、データをエディットしてテンポを合わせ、デモのファースト・テイクのデータを使ったことがあります。
ピッチやリズムよりも重要視すべきコトとは!?
ともかく、歌や演奏はテストでも何でも録っておくことを強くお勧めします! そして、一度ツルッと歌ってもらったら、①②③のどのパターンで録るかを決めます。
例えば、サビのキーが高くて、声に負担が掛かりそうなら、ボーカリストが元気なうちにサビだけ録るということも有効です。これは②のパターンになりますね。
③のパターンはサウンド重視のプロデューサーが選ぶ場合が多いように思います。これはかなりカッチリと整理されたカタチで録れるのですが、ボーカリスに負担がかかる場合が多く、体力が無いボーカリストだと後半持ちません。
今回は①の録り方を選択したとしましょう。
私はいつも最初に、歌のために8トラックを作っておきます。そして何度か“ツルッと”歌ってもらいます。特に“曲の流れ”というものがあるので、それを意識しながら最初から最後まで歌ってもらいます。
最初の2〜3テイクまでは歌うたびにプレイバックして、ボーカリストと歌い方の方向性を確認すると良いと思います。そして、録音を進めていくと、ボーカリストによってタイミングは全く違いますが、声が出てきます。そしてこの“一番いい声になったとき”に、特に細心の注意を払ってディレクションしていきます。
ピッチやリズムは直すことができるので、声質が良いときに、いかに表現やニュアンスが良いテイクを録るか。そこにボーカル・ディレクションの奥儀があるように思います。
この続きは次回に!
CUS!
【中脇雅裕】
プロデューサー/音楽ディレクター。CAPSULE、中田ヤスタカ、Perfume、手嶌葵、きゃりーぱみゅぱみゅなどのヒット作品に深くかかわる。アーティスト/クリエイターの成功とメンタルの関連性に日本でいち早く着目し、研究を重ねている。http://nakawaki.com
※本連載は毎月15日・30日近辺に更新していく予定です。お楽しみに!