モニターを8020Dに替えたことで
スピーカーから出る音が立体的になったと感じています
40年の歴史を誇る、フィンランドのモニター・スピーカー・メーカー、GENELEC。現在のスタジオ・モニターでは主流となったアクティブ式のパイオニアとして知られる同社は、コンパクトなデスクトップ機からスタジオ用ラージ機までを手掛け、世界中のエンジニアやクリエイターから厚い信頼を寄せられている。この連載では、そんなGENELECモニターを愛用するクリエイターに、制作のパートナーとしてのモニターを語ってもらっている。今回はFla$hBackSでの活動を通してシーンに登場、近年はソロやプロデュース・ワークで活躍するMC/トラック・メイカー/DJのJJJに登場いただく。
ベースのブースト・ポイントをEQで探りやすい
JJJが現在のプライベート・スタジオに移って来たのは約1年前。そのタイミングで以前使っていたスピーカーからのリプレースを考え、選んだのが8020Dだった。
「以前は比較的安価な2ウェイ・モデルで、ウーファーが6インチのものを使っていました。せっかく引っ越すなら気分を変えたくて、楽器店で試聴をして感触が良かった8020Dを選びました。モニターを変えたことで、スピーカーから出る音が立体的になったと感じています」
8020Dは、8000シリーズの中では2番目にコンパクトなモデル。ウーファー径はわずか4インチだが、その低域再生能力をJJJは高く評価している。 「音量をそんなに出さなくても低域が分かる感じがありますね。特に、キックとベースの関係を見ながら、EQでベースをブーストして、周波数ポイントを動かして探っていくことができるのが助かっています」
実際に普段の再生音量でトラックを流してもらうと、途中から入ってくるサイン波系のベースの量感と音量バランスがはっきり分かる。
「このスタジオではある程度の音量までは出せますね。ここに移ってきた理由も、音量を気にせず作業したかったからですし。実は制作中は、オーディオI/OのRME Babyface側でTotalMixのEQでベースをカットしていることもあります。ラジカセ・チェックのように、低域が出ない環境でも格好良くベースやキックが聴こえるようにするためです。でも、最終的にはそのEQをバイパスしてベースの出方を調整していきます。そのときに8020Dだと、その量感が確認できるんです」
ちなみに8020DのEQ設定などは、いろいろ試した結果フラットに。テーブルトップ・スタンドに設置したことで、ツィーターが耳の位置にそろい、低域の抜けもより良くなったという。
ビート構築で重要なアタックがはっきりと分かる
JJJが8020Dを評価している点は、低域にとどまらない。もう一つのポイントは、アタックの再現能力だと彼は語る。
「アタックがよりはっきりと分かるようになりました。ビートを組む上で、ある音と別の音のアタックの関係は重要なので、その点も8020Dを導入して良かったポイントだと思います」
普段のリスニングなども8020Dを使うことが多いというJJJ。プライベート・スタジオに来るクリエイター仲間にも8020Dのサウンドは好評で、STUTSもそんな一人だという。STUTSと言えば、彼のアルバム『Eutopia』の「Changes」にJJJが客演したことでも話題となったばかりだ。
「STUTSはここで8020Dを聴いて、8030Cを買いました。みんな、ここで鳴らした音を気に入ってもらえてうれしいですね」
JJJ使用モデル
8020D
オープン・プライス
(ダーク・グレー:市場予想価格55,000円前後/1基、ホワイト:市場予想価格62,000円前後/1基)
8000シリーズの4インチ・ウーファー・モデルとして長らく人気を得ていた8020。2017年に最大音圧レベルが4dB向上した8020Dにバージョン・アップを果たした。周波数特性は56Hz〜25kHz(−6dB)。ツィーターは0.75インチのメタル・ドームを採用している
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Creator of This Month
JJJ
1989年生まれ。川崎出身のトラック・メイカー/プロデューサー、MC、DJ。KID FRESINO、FebbとのFla$hBackSと並行してソロでの活動をスタート。NYで制作したDJ Scratch Niceとの最新ビート・テープ『ONLY』がリリースされたばかり。
■GENELEC製品に関する問合せ:ジェネレックジャパン https://www.genelec.jp/