「MACKIE. ProFX22V3」製品レビュー:GigFXエフェクト・エンジンを搭載した22ch仕様アナログ・ミキサー

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 アナログ・ミキサーといえば、一目で状態が把握でき、直感的で操作も簡単というのが魅力ですよね。そのため、プロのエンジニアからスタジオ練習で使いたいバンドマン、自宅で制作を行うクリエイターまで広く愛されています。そのアナログ・ミキサーをけん引する代表的なメーカーの一つがMACKIE.です。音質の良さと価格のバランスが素晴らしいProFXシリーズの最新モデルが満を持しての登場。4ch仕様から30ch仕様までの6種類の中から、今回は22ch仕様のProFX22V3をテストしていきたいと思います。

Onyxマイクプリを17基搭載
ワンノブ・コンプでクリッピングを防止

 筆者に届いた小さな段ボールはとても22ch仕様のミキサーが入っているとは思えませんでしたが、開けてみるとシンプルによくまとめられたProFX22V3が鎮座していました。外形寸法は612(W)×112(H)×434(D)mm、重量は9kgと本当にコンパクトです。  主要な入出力系統は、モノラル・イン(XLR/TRSフォーン・コンボ×2、XLR×15、TRSフォーン×12)、ステレオ・イン(TRSフォーン×3、ステレオ・ミニ)、メイン・アウト(XLR、TRSフォーン)、サブアウト(TRSフォーン×4)という構成です。AUXアウトは全4つで、1と2はプリフェーダー固定、3はプリ/ポストの切り替え式。そして4はエフェクト・センドとなっています。

 フェーダーは60mm長と扱いやすく、スライド感も軽過ぎず良い重さです。最大60dBのゲインを実現しながら音質、安定感に定評があるOnyxマイクプリを17基搭載しています。ch1&2はXLR/TRSフォーン・コンボ端子を採用し、Hi-Zスイッチを押すことでギターやベースなどの直接入力が可能です。もちろん100Hzのローカット・スイッチや48Vファンタム電源、パン、バス・アサイン・スイッチ、PFLスイッチも搭載。3バンドEQは、15dBのブースト/カットが可能なパラメトリックEQをミッドに、ハイ(12kHz)とロー(80Hz)は固定式シェルビングEQとなっています。

 そして1つ目の特筆すべき点は、ch1〜12にワンノブ・コンプが搭載されていることです。ライブやレコーディングの際、急な過大入力によるクリッピングを防ぐため別途コンプを用意することなく、つまみを回すだけで対応できます。もちろんアウトボードを使いたいという方のために、インサート端子がch1〜14に装備されているのもうれしいポイントです。  2つ目の特筆すべき点は、マスター部中央にレイアウトされた内蔵エフェクト。アップデートされたという24種類のプログラム搭載の高解像度GigFXエンジンを採用しています。よりクリエイティブにオペレートが行え、ミックスの完成度も上がるでしょう。  

最高24ビット/192kHzに対応する
2イン/4アウトのオーディオI/O機能

 さて、実際にスタジオ・リハーサルで使用してみたいと思います。今回はコンピューターからのカラオケ音源がメインで、途中にアコギ、キーボード、カホンという編成のアコースティック・コーナーも混在するアイドルのワンマン・ライブのリハーサルです。ProFX22V3はUSBケーブル1本で最高24ビット/192kHz、2イン/4アウトのオーディオI/O機能を実装し、ハイレゾ音質の録音が可能。いつもはオーディオI/Oを別に用意しているのですが、今回はProFX22V3のI/Oを使用してみます。

 まず、操作性においては必要最低限のノブだけなので直感的に扱え、時間の無い現場では非常に好印象です。MACKIE.のミキサーは、調整すれば調整した分の反応が如実に出音へ反映されるため大変分かりやすいのが特徴だと思います。MACKIE.が長年培ってきたノウハウにより、即座に狙ったサウンドになるようローカットやハイ、ローの周波数ポイントが固定されているのでしょう。サウンドを構築していくうちに楽しくなってきますね。

 そのアンサンブルに、思い切ってたっぷりとGigFXの高音質なリバーブを足してみました。内蔵エフェクトにありがちな過度に色付けされた感じは全く存在せず、それどころか立体感、さらには奥行きがリアルに再現されたサウンドに驚きます。もちろんエフェクトの量をぐっと減らしてみてもその存在感は失われることなく、実音とエフェクト音の混ざり方も自然です。これほど少ない操作でここまでのことができるのならば、時間の無いPAの現場はもちろん、歌録りで演者を待たせられないときでも、ハイクオリティな作品を誰もが簡単に素早くミックスできるでしょう。

 さらに驚くべきことがもう一つ。なんとAVID Pro Tools|Firstと23種類のプラグインを収録したMusician Collection、TRACKTION Waveform OEMと16種類のプラグインを集めたDAW Essentials Collectionという、2組のDAWソフト+プラグイン・バンドルのライセンスも同梱されています。さらに本機はDAWとの併用を考慮したダイレクト・モニタリング機能も実装し連携もばっちり。DAWソフトを持っておらずこれから始めてみたいという方にも優しいですね。

 ここまで過去の良い部分を残しつつアップデートし続けているアナログ・ミキサーは、デジタル・ミキサー主流の今日において珍しいでしょう。筆者も初期のMACKIE.製ミキサーを持っているのですが、そろそろ新しくProFXV3シリーズを購入してみたくなりました。    

 

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リア・パネル。左からACインレット、電源スイッチ、USB端子、MAIN OUT L/R(XLR、TRSフォーン)が並ぶ

問合せ:音響特機 マッキーブランドグループ

 製品ページ:https://mackie-jp.com/profxv3-professional-effects-mixers-usb/

サウンド&レコーディング・マガジン 2020年4月号より)

 

 

MACKIE. ProFX22V3

オープン・プライス

(市場予想価格:85,200円前後)

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SPECIFICATIONS ▪入力端子:モノラル(XLR/TRSフォーン・コンボ×2、XLR×15、TRSフォーン×12)、ステレオ(TRSフォーン×3、ステレオ・ミニ)、インサート端子(TRSフォーン×14) ▪出力端子:メイン・アウト(XLR、TRSフォーン)、サブアウト(TRSフォーン×4)、AUXアウト(TRSフォーン×4)、コントロール・ルーム・アウト×2、ヘッドフォン・アウト(TRSフォーン) ▪外形寸法:612(W)×112(H)×434(D)mm ▪重量:9kg