ボーカロイドとは?〜ボカロPに学ぶ調声テクニック

ボーカロイドとは?〜ボカロPに学ぶ調声テクニック

“ボーカロイド”や“ボカロ”という言葉は、今では当たり前のように使われるようになりましたが、ここではもう一度その概要をおさらいしてみましょう。さらに、ボカロPになるには何が必要なのか?VOCALOID5、初音ミク NT、初音ミク V4Xとはどういったものかも解説していきます。

ボーカロイドの基本概念

 ボーカロイド/ボカロは“VOCALOID”のことで、これらはYAMAHAの登録商標です。また、VOCALOIDはYAMAHAが開発した歌声合成技術のことであり、他社からもリリースされている歌声合成ソフトの中の一つでもあります。この歌声合成ソフトは、キャラクターの声データ(本特集ではボイス・ライブラリーと呼びます)と、音程や歌詞を入力するためのエディター・ソフトの2つで構成されます(製品としては個別に販売されるケースもあります)。例えばボイス・ライブラリーがCRYPTON 初音ミク V4Xで、エディター・ソフトがCRYPTON Piapro Studioという具合です。

歌声合成ソフトとは、エディター・ソフトとボイス・ライブラリーの2つで構成される

 エディター・ソフトはPiapro Studio以外にも、VOCALOID5 EditorやVOCALOID4.5 Editor For Cubaseなどがあり、VOCALOIDの歌声合成ソフトを用いて作られた曲を“ボカロ曲”と言います。そして、その曲を手掛けたプロデューサーを“ボカロP”と呼ぶのです。

 VOCALOIDのほかにも、さまざまなメーカーが独自開発した技術を採用する歌声合成ソフトが続々と登場しており、昨今ではDREAMTONICS Synthesizer VやCEVIO AIといったものが挙げられます。厳密には、これらはボカロとは定義されないのですが、こう言った歌声合成ソフトで作られた楽曲も広義の意味で“ボカロ曲”と呼ばれることがあります

ボカロPになるには何が必要?

 ここではボカロPとして楽曲制作を行うために必要なものを挙げていきます。まずはDAWやエディター・ソフトの使用条件を満たしたコンピューター。歌声合成ソフトにはWindowsのみ対応というものもありますので、これからソフトを購入しようと考えている方は、その動作環境をしっかりとチェックしておきましょう。

 次にDAWが挙げられます。多くの歌声合成ソフトはサード・パーティ製プラグインとしてDAW上に起動させることができ、楽曲制作を行うためにもDAWは欠かせません。憧れのボカロPが使用しているDAWを参考にするのもよいかもしれません。

 最後は、先述したようにエディター・ソフトとボイス・ライブラリーが必要です。前者にはVOCALOID5 EditorやPiapro Studio NT、Piapro Studioなどがあり、本特集のChapter 1〜2では、この3つのエディター・ソフトに着目します。

 注意すべきなのは、エディター・ソフトとボイス・ライブラリーの互換性。例えばPiapro Studioは初音ミク V4Xのボイス・ライブラリーを読み込むことが可能ですが、初音ミク NTのボイス・ライブラリーを読み込むことはできません。このように非対応のものもあるので確認が必要です。次のPart 2〜4では、このようなところも含めてVOCALOID5、Piapro Studio NT、Piapro Studioを一つずつ見ていきましょう。

VOCALOID5とは

VOCALOID5 Standard 27,500円(税込)|VOCALOID5 Premium 44,000円(税込)

VOCALOID5 Standard 27,500円(税込)|VOCALOID5 Premium 44,000円(税込)

 YAMAHAが開発したVOCALOIDの最新版、VOCALOID5。Mac/Windows対応で、スタンドアローンのほか、AU/VSTプラグインとしても動作します。エディター・ソフトはVOCALOID5 Editor。

 VOCALOID5には、VOCALOID5 StandardとVOCALOID5 Premiumという2つのエディションが用意されており、VOCALOID5 Standardは日本語/英語に対応する男女4人のボイス・ライブラリーを収録し、VOCALOID5 Premiumは日本語/英語に対応する男女8人のボイス・ライブラリーを同梱しています。また、ボーカル・フレーズに関するオーディオ・サンプルを2,000個以上、スタイル・プリセットを100種類以上、オーディオ・エフェクトを11種類搭載。音楽ジャンルを問わない即戦力な歌声と、直感的な調声機能を併せ持つソフトだと言えるでしょう。

 互換性のあるボイス・ライブラリー

 VOCALOID3およびVOCALOID4のボイス・ライブラリーが使用可能。

Requirements
●Mac:macOS 10.13以降(すべて64ビット、macOS 10.15以降は VOCALOID5 Ver. 5.6.3以上が必要)、AU/VST2対応のホスト・アプリケーション、INTELマルチコアプロセッサーまたはApple Silicon
●Windows:Windows8.1/10/11(64ビット)、VST2対応のホスト・アプリケーション、INTELマルチコアプロセッサー
●共通項目:8GB以上のRAM(最低4GB)、VOCALOID5 Standardは20GB以上の空きディスク容量、VOCALOID5 Premiumは35GB以上のの空きディスク容量、1,366×768以上のディスプレイ解像度、1,920×1,080以上のディスプレイ解像度推奨

※「VOCALOID™(ボーカロイド)」および「ボカロ」はヤマハ株式会社の登録商標です。
※「VOCALOID™」はヤマハ株式会社が開発した歌声合成技術です。

◎VOCALOID5 Editorの使い方はこちらで解説しています!

初音ミク NTとは

初音ミク NT/Web価格:19,800円(税込)

初音ミク NT/Web価格:19,800円(税込)

 CRYPTONが開発したボイス・ライブラリー初音ミクと、NT専用エディター・ソフトPiapro Studio NTが収録された初音ミク NT。同梱のPiapro Studio NTはMac/Windows対応で、スタンドアローンのほか、AU(Macのみ)/VST3プラグインとしても動作します。

 CRYPTONの独自エンジンで動く初音ミク NTは、歌声表現技術/ボイス・ライブラリー/エディター・ソフト/ボイス・エフェクトが組み合わさったもの。Piapro Studio NTでは、声の震え成分をコントロールするVoice Driveや、ノートごとの音量調整が可能なNote Gain、ピアノロール上でピッチ・カーブを描画/編集できるDirect Pitch Edit、フォルマント・シフターのSuper Formant Shifterといった新機能やエフェクトを搭載し、多彩な歌声編集を実現できます。

 互換性のあるボイス・ライブラリー 

 Piapro Studio NTは初音ミク NT専用エディター・ソフトです。そのため現時点では初音ミク NTのみが対応のボイス・ライブラリーとなっています。

Requirements
●Mac:macOS 10.11/10.12/10.13/10.14/10.15/11/12、AU/VST3対応のホスト・アプリケーション、INTELマルチコア・プロセッサー(INTEL Core I5 以上を推奨)、APPLE Silicon(Rosetta 2)、30GB以上の空きディスク容量
●Windows:Windows8.1/10/11(いずれも64ビット)、VST3対応のホスト・アプリケーション、INTELマルチコア・プロセッサー(INTEL Core I5 以上を推奨)、20GB以上の空きディスク容量
●共通項目:4GB以上のRAM(8GB以上を推奨)、1,280×768以上のディスプレイ解像度、インターネット接続環境

◎Piapro Studio NTの使い方はこちらで解説しています!

初音ミク V4Xとは

初音ミク V4X/Web価格:17,600円(税込)|初音ミク V4X バンドル/Web価格:22,000円(税込)※日本語&英語ライブラリー同梱版

初音ミク V4X/Web価格:17,600円(税込)|初音ミク V4X バンドル/Web価格:22,000円(税込)※日本語&英語ライブラリー同梱版

 VOCALOID版を採用したボイス・ライブラリーの初音ミク V4Xと、エディター・ソフトPiapro Studioのパッケージ。同梱のPiapro StudioはMac/Windows対応で、AU(Macのみ)/VST2プラグインとして動作します。

 初音ミクにおけるOriginal / Soft / Solid / Dark / Sweetといった5つのボイス・ライブラリーを収録。また“強い発音/弱い発音”を切り替えられる発音拡張機能や、ノートごとに母音のコントロールが可能なVoice Color、語尾の息の成分を制御するVoice Releaseなどを設定できるE.V.E.C.機能を搭載し、クロスシンセシスやグロウル機能と併せて多様かつ、直感的な歌声編集が行えます。なお初音ミク V4Xと初音ミク NTには、DAWソフトのPRESONUS Studio One 5 Artistも付属するので、購入したその日から音楽制作を始めることが可能です。

 互換性のあるボイス・ライブラリー 

 Piapro StudioではVOCALOID2/3/4のボイス・ライブラリーが使用可能です。初音ミク V4Xは、VOCALOID4およびVOCALOID5で動作し、Piapro Studio NTには対応していません。

Requirements
●Mac:macOS 10.11/10.12/10.13/10.14/10.15/11/12(Piapro Studio最新アップデータ適用時)、AU/VST2対応のホスト・アプリケーション、INTEL Core 2 Duo 2GHz以上、APPLE Silicon(Rosetta 2)
●Windows:Windows8.1/10/11(いずれも64ビット、Piapro Studio最新アップデータ適用時)、VST2対応のホスト・アプリケーション、INTEL Core 2 Duo 2GHz以上
●共通項目:2GB以上のRAM(4GB以上を推奨)、14GB以上の空きディスク容量、1,280×768以上のディスプレイ解像度、インターネット接続環境

【特集】ボカロPに学ぶ調声テクニック

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