
最高16ビット/48kHzに対応
グラウンド/リフトなどを装備
本体を見てみると、USB INPUTと書かれたUSB 2.0端子が付いています。その端子の横にはLEDが備えられており、コンピューターに接続するだけで赤く点灯します。本機はデバイス・ドライバー不要で、先述の通りコンピューターにつなぐだけで使い始められます。筆者の所有するコンピューターに接続してみたところ、Mac/Windows共にストレスなく、すぐに認識して使用可能になりました。ビット/サンプリング・レートは16ビット/32/44.1/48kHzをサポート。USB端子と逆側のパネルにはXLRのライン・アウトL/Rがあり、コンピューター内の音声をアナログで出力可能。端子はバランスで、ローインピーダンスとなっています。
LEDの右側にはグラウンド/リフト・スイッチが装備されています。DIを思わせる機能であり、ライン・アウトからハム・ノイズが出たら出番です。このスイッチの右側にはライン・アウトのステレオ/モノラル切り替えスイッチがスタンバイ。ライブ・ハウスなどに音源を持ち込んだ際、PA側のインプットが不足してしまい“1chだけ残っているからモノラルでのインプットならいけるんだけど……”と言われたときなどに活用できそうです。そのほか本機はPADスイッチも装備。これはインプットに対するPADではなく、アウトプットのレベルを20dB下げるもので、併用する機材とのレベル・マッチングがスムーズに行えます。以上の操作子がとても小さなスペースにうまく配置してあり、天面にプリントされている表示もとても分かりやすいと思います。
中低域の再生能力が高く
立体的なサウンド
さて、筆者のWindowsマシンに入っている音源をPCUSBから流してみましょう。コンピューターとUSB接続するだけで認識されるので、Windowsのコントロール・パネルで出力を“USB Audio DAC”に設定すれば、プレーヤー・ソフトなどからの再生が可能となります。
筆者は実際の現場で、コンピューター内のオケやSEをステレオ・ミニのヘッドフォン・アウトから出力したいと要望されることがよくあります。しかしこの場合、ノイズや接触不良のリスクがとても高く、大きな現場であるほど避けたいところです。そこで筆者が持ち込んだオーディオI/Oを使おうとするのですが、出演者のコンピューターに認識されず、ネットからドライバーをダウンロード→インストール→再起動……などとやっていると非常に時間がかかります。こうした場合、PCUSBがあればスムーズでしょう。またオーディオI/Oが使用できても、機種によってはXLRのアウトを持たない場合があります。こうしたときはTRSフォーンなどのアウトをDIにつなぎ、そのXLRアウトをPAに送るわけですから、接続の手間を考えるとPCUSBが一番近道であると確信しました。
さて、PCUSBのライン・アウトを作業場のスタジオ・モニターに接続してみましょう。再生してみるのは先日ミックス・ダウンを行ったばかりの音源。まだ記憶に新しい音源なのですが、どのように聴こえるでしょう? 一言で表現するなら、とても素直な印象です。特に中低域の再生能力が高く、立体的な音色。高域の方は嫌味なピークが無く、扱いやすい音。必要に応じてイコライジングなども行いやすいサウンドだと感じます。
コンピューター内のデジタル音源をアナログで出すとき、DI的な機能を備えつつ最終的なアウトがXLRであるという安心感、そしてその音質を考えると、現状では最良の選択肢の一つであるはず。すぐにでも1台、コンピューター・バッグに入れておきたいと思います。

(サウンド&レコーディング・マガジン 2016年10月号より)