CLASSIC PRO DCP4450II レビュー:3種類のモードで大出力を誇る1Uサイズの4chクラスDパワー・アンプ

CLASSIC PRO DCP4450II レビュー:3種類のモードで大出力を誇る1Uサイズの4chクラスDパワー・アンプ

 この度、CLASSIC PROより大出力4chパワー・アンプDCP4450Ⅱが登場しました。前モデルDCP4450の後継機ですが、パワー、多彩な出力モードをそのまま引き継ぎ、さらにダンピング・ファクターを桁違いに上げて重量を10kg以下に抑えました。CLASSIC PROの4chパワー・アンプは幾つもラインナップがありますが、1UサイズはこのDCP4450Ⅱのみになります。

最大出力2,600W×2chでシンプルな構造 

 では早速見ていきましょう。本体サイズは、先述の通り1Uサイズで重量は9kgです。奥行きは37cmと前モデルより2cmほど短くなっています。フロント・パネル左側には4ch分のレベル・コントロール・ツマミと各入力信号を表すSIGNALランプ、信号のクリップを表すCLIPランプ、保護回路が動作したときに点灯するFAULTランプがあります。

フロント・パネルにはCH-A〜Dのレベル・コントロール・ツマミに加え、保護回路動作時に点灯するFAULTランプ、出力信号のひずみ率が1%以上になると点灯するCLIPランプ、入力信号が−32dB以上になると点灯するSIGNALランプが各チャンネルに搭載されている

フロント・パネルにはCH-A〜Dのレベル・コントロール・ツマミに加え、保護回路動作時に点灯するFAULTランプ、出力信号のひずみ率が1%以上になると点灯するCLIPランプ、入力信号が−32dB以上になると点灯するSIGNALランプが各チャンネルに搭載されている

 右側には電源スイッチがあり、電源オンのときは緑色、温度リミッターが作動したときには黄色に点灯するランプが備わっています。以上の機能のみが搭載された至ってシンプルなデザインです。

 続いて、リア・パネルを見ていきましょう。入力はXLR×4、出力はスピコン×4が装備され、後述する3種類の動作モードに合わせて入出力端子を選択することになります。動作モードの切り替えは、スピコン端子のCH-A/BとCH-C/D間のディップ・スイッチで行う仕様です。

リア・パネルには、4ch分の出力端子(スピコン)と入力端子(XLR)を搭載。出力端子のCH-A/B、CH-C/D間にはディップ・スイッチを配置。入力感度(26/29/32/35dB)、動作モード(モノラル/ブリッジ/ステレオ)、リミッターのオン/オフの切り替えを行う

リア・パネルには、4ch分の出力端子(スピコン)と入力端子(XLR)を搭載。出力端子のCH-A/B、CH-C/D間にはディップ・スイッチを配置。入力感度(26/29/32/35dB)、動作モード(モノラル/ブリッジ/ステレオ)、リミッターのオン/オフの切り替えを行う

 さらに、2機のサイレント・ファンを装備してパワー・アンプ本体内部の温度調整を行っています。電源はAC100〜240Vのユニバーサル電源を採用しているため、使用エリアを選びません。消費電力は4Ω負荷、ステレオ4ch使用時でも480Wで、とても省エネとなっています。

 動作モードは3タイプ。通常のステレオ・モード(4イン/4アウト)、2ch分を1chとして扱うことで高出力を得るブリッジ・モード(2イン/2アウト)、モノラル・モード(2イン/4アウト)があり、状況に合わせて使用することができます。ステレオ・モードは通常の4chパワー・アンプとしての仕様で、定格出力は8Ω負荷で450W×4ch、4Ω負荷で765W×4ch、2Ω負荷においては1,300W×4chと、モニター・スピーカーを接続しての使用はもちろん、大型のメイン・スピーカーでの使用も全く問題ないスペックとなっています。

 ブリッジ・モードでは、16Ω負荷で900W×2ch、8Ω負荷で1,500W×2ch、4Ω負荷においては2,600W×2chの定格出力となっていて、1Uサイズの筐体からは想像できないくらいのパワーを発揮できます。

音圧が高く高域の伸びを感じるサウンド

 では実際に聴き比べてみましょう。比較対象として、

  • 20年ほど前の350W(8Ω)×2chの4Uアンプ
  • 10年ほど前の360W(8Ω)×4chの1Uアンプ
  • 450W(8Ω)×4chの1Uアンプ
  • 1,000W(8Ω)×4chの2Uアンプ(通常はコンパクトなラインアレイ・スピーカーに使用しているもの)

を使用しました。スピーカーは一般的なスタンド・タイプで、音圧、音色ともに分かりやすい機種を選びました。

 まずはピンク・ノイズを再生しました。驚いたのが、スペック的に8Ω負荷での出力が違うのに、DCP4450Ⅱは1,000Wのアンプと引けを取らない音圧だったこと。ピンク・ノイズを聴いた感じでは同様の再生感でした。さすがに350Wクラスのアンプは音量感が違うので、DCP4450Ⅱのレベルのツマミを1時くらいの位置まで下げて比較しました。

 次に、音楽を幾つか聴き比べました。まずはインスト曲。DCP4450Ⅱはボリュームを下げたにもかかわらず、350W、450Wクラスのアンプよりパワー感がありパワー・アンプの余裕を感じ、音色はハイの伸びを感じます。言い換えるとDCP4450Ⅱはデジタル的な音色と言えるのではないかと思います。次にボーカル入りの曲を何曲か聴いたところ、やはりインスト曲よりボーカル曲の方が違いが分かりやすく、ボーカルの伸びの違いを感じました。

 次はダイナミック・マイクのSHURE SM58を使い、卓でEQとハイパスをオフにして比べると、ボーカル入り音源と同様にDCP4450Ⅱは伸びのある高音域でした。近接効果は古いアンプの方が得られた気がしますが、一緒に試聴した若い世代のスタッフはDCP4450Ⅱが好みだと言っていました。

 以上まとめると、古い3台とは出力ワット数の違いはあるものの引けを取らない結果で、価格を比べたらDCP4450Ⅱは半額ほどで購入できる優れものです。一方、コンパクト・ラインアレイで使用しているアンプとは価格が10倍くらい違うものの、パワー感はあまり引けを取らない結果でした。なのでコスト・パフォーマンスを考慮するなら、DCP4450Ⅱを2ch仕様のブリッジ・モードにして2台使いするのも良いでしょう。

 

須藤浩
【Profile】PAカンパニーのサウンド・オフィス代表。コンサート、イベント、式典から演劇、ミュージカルまで幅広く手掛けている。特に2.5次元系が得意。音響系の専門学校で後進の指導にもあたっている。

 

CLASSIC PRO DCP4450II

オープン・プライス

(市場予想価格:99,800円前後)

CLASSIC PRO DCP4450II

SPECIFICATIONS
▪タイプ:4chクラスDアンプ ▪動作モード:ステレオ/ブリッジ/モノラル ▪ステレオ出力:1,300W×4(2Ω)、765W×4(4Ω)、450W×4(8Ω) ▪ブリッジ出力:2,600W×2(4Ω)、1,500W×2(8Ω) ▪周波数特性:20Hz〜20kHz(+0、−0.5dB) ▪ゲイン:26/29/32/35dB(定格出力、1kHz) ▪入力インピーダンス:20kΩ(バランス)、10kΩ(アンバランス) ▪SN比:105dB以上(A特性、8Ω) ▪外形寸法:483(W)×45(H)×370(D)mm ▪重量:9kg

製品情報

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