PIONEERブランドの同軸型パワード・モニターRM-05をYANAGIMANが試す!

昨今、プライベート・スタジオで作業するクリエイター/エンジニアが増えてきた。また、音源の高解像度化が進み、正確なモニタリング環境も求められるようになっている。そんなニーズに応えるべくPIONEER DJ社が発表したのが、2ウェイ同軸型パワード・モニターRMシリーズ。TADのテクノロジーを受け継ぐ本機を、音楽プロデューサーのYANAGIMAN氏が自身のプライベート・スタジオで試聴、そのインプレッションを語ってもらった。

打ち込みからミックスまでする人にはオススメ
バランスがずれているとミックスしたい衝動に駆られるはずです


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音がしっかりまとまっているので
全体のバランスを正確にモニターできる


RMシリーズは、著名なスタジオに導入されているブランド、TADのテクノロジーを受け継ぐ新開発の同軸ドライバーを採用したパワード・モニター。ラインナップは6.5インチ・ウーファーのRM-07と5インチ・ウーファーのRM-05の2種類で、それぞれ、50kHzまでの再生に対応するために開発された1.5インチの“HSDOM”ツィーターを搭載する。ハイレゾなど高解像度の音源再生にも対応している。本機の同軸ドライバーは、音像定位を確認しやすい“点音源”を実現しており、今回RM-05を試聴したYAMAGIMAN氏の第一声は「本当に音が“点”で聴こえてきてびっくりしました」というものだった。そして本機の第一印象を次のように語ってくれた。「僕はこれまで同軸スピーカーを使って音楽制作をしたことはなかったんです。今、僕のスタジオではADAM S3X-Hを使っていて、正直比べてしまうと結構な差が出てしまうのかなと思っていたんですが、実際聴いてみたらショックを受けるほど良いスピーカーでしたね(笑)。音がしっかりまとまっているので、全体のバランスを正確にモニターできます。僕はアレンジするときに、高域、低域の音域を広く使いたいんですね。だから96kHzなどのサンプリング・レートで、そのキャンバスを広くして作業を行います。もちろん、そのキャンバスが広いとアレンジの技量が問われるんですけど、上手に最終的なバランスを取るためには、こういった“点”で音を最終確認できるスピーカーがあると便利だなと思いました」

声やアコギが素直な出音で
EDMのスピード感も兼ね備えている


高い剛性を持つアルミダイキャスト製の筐体を採用したRMシリーズ。不要な振動を抑え、木製のそれに比べて内部容積を大きくすることができ、低域の再生に余裕を持たせている。また、筐体内、ポート部に設置した音響管は、独自技術の“AFSTテクノロジー”により、定在波の除去ができ、よりクリアな再生音を実現している。YANAGIMAN氏も「デジタルくさくなく素直な出音」と評価し、音の印象についてこう語る。「素のボーカルを聴いてみたら、すごく好印象でした。歌っている人が目の前にいるような、そんな自然な音です。声も言ってみれば同軸なので、その辺りがマッチしているのかもしれませんね。また楽器ではアコギがクリアで、こちらも素直な音で気持ち良かったです。そう聞くとロックやフォーク向けなのかなと思われるかもしれませんが、EDMの音源を試聴してみたら音のスピード感もしっかりあって、現代の音楽のトレンドにもしっかり対応したスピーカーなんだなと感じましたね。あと、サンレコの読者なら、打ち込んでミックスまでやる人が多いと思うのですが、そのミックスがすごくやりやすい。このスピーカーで聴くと、バランスの悪い音が何なのか分かりやすいので、整えたくなります。これは音楽をしっかりとまとめるためのメリットだと思いました」最後にPM-05の魅力について、YANAGIMAN氏はこう締めくくってくれた。「今まではS3X-Hだけで、爆音の中作業していたんですけど、今回RM-05を試聴してみて、同軸スピーカーによって得られる“点音源”のメリットを実感しました。しかも出音はすごく素直で自然。また、このスピーカーはヘッドフォンで聴いたときのような、音の近さの印象も受けました。なので、ヘッドフォンで聴いたときのシミュレーションもできるなと。そして何より打ち込みからミックスまでする人にはオススメです。バランスがずれていると、ミックスしたい衝動に駆られるはずですよ」_KPO5436 
▲リア・パネルのコントロール部のノブは、左からLEVEL(−40dB〜0dB)、LOW EQ(−4/−2/0/+2dB@50Hz)、MID EQ(−4/−2/−1/0dB@140Hz)、HIGH EQ(−2/−1/0/+1dB@10kHz)。下部の入力端子はRCAピンとXLRを装備している。その右はオート・スタンバイで、約25分以上音声入力が無い場合に電源を切る機能 ▲リア・パネルのコントロール部のノブは、左からLEVEL(−40dB〜0dB)、LOW EQ(−4/−2/0/+2dB@50Hz)、MID EQ(−4/−2/−1/0dB@140Hz)、HIGH EQ(−2/−1/0/+1dB@10kHz)。下部の入力端子はRCAピンとXLRを装備している。その右はオート・スタンバイで、約25分以上音声入力が無い場合に電源を切る機能

SPECIFICATIONS


●形式:バイアンプ2ウェイ・アクティブ同軸モニター・スピーカー
ウーファー:6.5インチ・アラミド繊維コーン/RM-07、5インチ・アラミド繊維コーン/RM-05
ツィーター:1.5インチ・アルミニウムHSDOM
周波数特性(-10dB):40Hz〜50kHz/RM-07、45Hz〜50kHz/RM-05
最大音圧レベル(1m/ピーク):109dB SPL/RM-07、104dB SPL/RM-05
クロスオーバー周波数:1.6kHz/RM-07、1.7kHz/RM-05
アンプ出力(クラスAB):100W(LF)+50W(HF)/RM-07、50W(LF)+50W(HF)/RM-05
入力インピーダンス:10kΩ
入力感度:−40dB〜+6dB
EQポイント:50Hz、140Hz、10kHz
外形寸法:244(W)×337(H)×260(D)mm/RM-07、203(W)×281(H)×225(D)mm/RM-05
重量(1本):12.3kg/RM-07、9.3kg/RM-05 製品の詳細は→http://pioneerproaudio.com 

YANAGIMANプロフィール


音楽プロデューサー。バークリー音楽大学へ進学し、帰国後は福岡を拠点に活動する。上京後はCHEMISTRY、ケツメイシ、FUNKY MONKEY BABYS、BoAなど、多くのアーティストのプロデュース、作詞/作曲を手掛けている