プロが認める現場仕様のデジタル・ワイアレス・システム=LINE 6 XD-V Series

第2回 万全のセッティングで“電波切れ”とはさようなら!

LINE 6の2.4GHz帯ワイアレス・マイク・システムXD-Vシリーズが、PAの現場でどのように使われているかをレポートする本連載。今回は大阪市の生國魂神社で行われた“彦八まつり”へ赴き、そこでXD-Vシリーズの活躍する様子を見てきたので、ここにお伝えしよう。

送受信機の一対一のペアリングを強くする

“年に一度の落語家の文化祭&ファン感謝デー!”と銘打たれた彦八まつり。桂文枝らが出演し、落語のみならず楽器演奏やクイズ・ショウなどさまざまな演芸を見せるイベントだ。今回は、9月3日〜4日の2日間にわたり行われた“第26回 彦八まつり”の初日を訪ねた。

生國魂神社に到着すると、イベントのPAを手掛けるGUGU SOUND SYSTEMの池田あつし氏が3つのステージを案内してくれた。まずは参集殿という建物の広間に仮設したステージ(トップ写真)。広間ではテレビのクイズ番組を思わせるショウが行われ、ステージに上がった8人の落語家がクイズに答えつつ観客の笑いを取った。

声の収音にはXD-Vシリーズのラベリア・マイク・システムをRF1モードで使用。XD-V75Lが2ペア、XD-V55Lが6ペア用意されたが、興味深いのは計8台の受信機をステージの床下に並べて設置した点。「各受信機をそれぞれの送信機のそばに設置することで、より安定した運用を図っています」とは池田氏の弁だ。

このステージには落語家の方々が横一列に並んで座ります。それぞれラベリア・マイクとボディパック送信機を身につけているので、座わり位置のすぐ下に受信機が来るよう設置し、各送受信機の“一対一のペアリング”をより強めたのです(下の“ポイントその①”を参照)。この現場では、受信機をステージ袖に置くと送信機と受信機が一直線上に並ぶ恐れがあり、受信機から遠い送信機の電波切れのリスクが高まります。また受信機を出ハケ(出演者の入退場口)側の袖に置けば、電源が入ったままの送信機が他ペアの受信機に近付く可能性もあり、さらにリスキーです。こうした考えから、ステージ床下の設置がベストだと判断しました」

氏の考えは功を奏し、電波が途切れない安定運用を実現。「これだけチャンネル数が多いのに、一度も途切れなかったので素晴らしいです」と満足げに語っていた。

ポイントその① 受信機をとにかく送信機に近付けるべし

▲各受信機は、落語家たちが身につけるボディパック送信機となるべく近い位置に来るようステージの床下に設置。落語家それぞれの座位のすぐ下に、各自の受信機が置かれる形となった ▲各受信機は、落語家たちが身につけるボディパック送信機となるべく近い位置に来るようステージの床下に設置。落語家それぞれの座位のすぐ下に、各自の受信機が置かれる形となった

声にフォーカスして収音できるラベリア・マイク

池田氏は、万全の設置方法による安定運用のほか、XD-V75LとXD-V55Lに含まれているラベリア・マイクLM4-Tにも言及する。

「声にフォーカスした収音が行えるんです。ハウリング・マージンが大きいのも特徴で、ウェッジ・モニターや客席向けのスピーカーが出演者の間近にあったのに、全くハウりませんでした。ラベリア・マイクには無指向性のものも多いと思いますが、LM4-Tは単一指向性なので回り込みが少なく、十分なハウリング・マージンが取れるんです。まだ使ったことのない人には、お薦めしたいですね」

氏が次に案内してくれたのは、拝殿の前方に仮設された屋外の大ステージ。ここではハンドヘルド送信機+受信機のXD-V75が4セット使用されたほか、予備用のXD-V75が別途2セット控えていた。メインの受信機は、ステージの後方に設置。「ここに置けば、出演者が何人になろうとも送信機と受信機が一直線上に並ぶことはありません」と氏は続ける(下の“ポイントその②”を参照)。

「それに、受信機が送信機を常に“見渡せる”状態になるため、電波切れのリスクが劇的に低くなります。ステージ後方に置ける現場なら、そうするのが良いでしょう」

ポイントその② “ステージ後方”という選択肢

▲屋外大ステージでは、ステージ後方にXD-V75の受信機を設置。ここに設置すれば、右のイメージ図のように送信機からの電波が常に届きやすくなり、ステージ袖などに置いたときのように受信機と送信機が一直線上に並ぶリスクを回避できる ▲屋外大ステージでは、ステージ後方にXD-V75の受信機を設置。ここに設置すれば、右のイメージ図のように送信機からの電波が常に届きやすくなり、ステージ袖などに置いたときのように受信機と送信機が一直線上に並ぶリスクを回避できる

大ステージの裏手には屋外の小ステージがしつらえられ、XD-V75が4セット使用された。つまり今年の彦八まつりでは、全3つのステージに計18ch分のXD-Vシリーズが用意されたことになる。池田氏は「すべてを同時に使用することはありませんでしたが、いずれのステージでも常に安定運用できました」と振り返る。

さて次回も池田氏が携わるイベントを訪ね、XD-Vシリーズの現場での活躍ぶりをレポートしていくとしよう。

【製品紹介】LINE 6 XD-V75L (オープン・プライス:市場予想価格62,000円前後)、XD-V55L(オープン・プライス:市場予想価格42,000円前後)

ラック・マウント可能な受信機とボディパック型の送信機、ラベリア・マイクから成るデジタル・ワイアレス・マイク・システム。2.4GHz帯で使用でき、24ビット/48kHzの非圧縮デジタル・フォーマットで信号を伝送する。同時使用チャンネル数は、XD-V75Lが最大14、XD-V55Lが最大12となっている ラック・マウント可能な受信機とボディパック型の送信機、ラベリア・マイクから成るデジタル・ワイアレス・マイク・システム。2.4GHz帯で使用でき、24ビット/48kHzの非圧縮デジタル・フォーマットで信号を伝送する。同時使用チャンネル数は、XD-V75Lが最大14、XD-V55Lが最大12となっている