Studio One Proバージョン7.1の最新機能 〜無償アプデなのに美味すぎる!解説:ユウフジシマ(ハレトキドキ)

無償アプデなのに美味すぎるバージョン7.1の最新機能|解説:ユウフジシマ(ハレトキドキ)

 第2回です! 令和の時代に平成デジタルJポップなどを制作し活動しているユニット、ハレトキドキのコンポーザーのユウフジシマです。今回は、私が愛用するDAWの最新版PreSonus Studio One Pro 7から加わった機能&ツールを見ていきます。S1は頻繁にマイナー・アップデートがあり、同一のバージョンのユーザーであればすべて無償で享受できるのもうれしい限りです!

Spliceの統合とオーディオを4つのステムに分割する機能

 Studio One(以下S1)にサンプル・ライブラリーのサブスクリプション・サービス、Spliceが統合されました。使用するにはSpliceのいずれかのプランに申し込む必要がありますが、この統合はかなりのメリットです。

ソング画面右のブラウズ上部にある“Splice”タブ(赤枠)をクリックしてSpliceにログインすれば、統合された環境でサンプル選びが行えるようになる

ソング画面右のブラウズ上部にある“Splice”タブ(赤枠)をクリックしてSpliceにログインすれば、統合された環境でサンプル選びが行えるようになる

 Splice自体は以前からあるサービスで、私も利用してきましたが、気づくと使っていないクレジット(契約中のプランに準じて毎月もらえるポイント)がたまってきたな……というのが現状です。でもS1内部に組み込まれたことにより、Spliceアプリを開くことなくショートカット・キー1発で表示可能に! これだけでも使用頻度がとても上がると体感しており、実際に以前よりもよく使うようになりました。私はコンピューター・キーボードのF9にショートカットを割り当てており、時間節約と集中力持続の効果を感じています。CELEMONY MelodyneのARA対応しかり、DAW内に組み込まれているプログラムのほうが圧倒的に使い勝手が良いですね。

 任意のイベントをドラッグすると、それに適したループやサウンドをSpliceから選んでくれるというAI機能もチェック。近しい音や雰囲気的にマッチするものがチョイスされる感じなので、アイディア出しのとき、または手癖的に使っているサンプル以外のものを選びたいときに重宝しそうです。

 新機能では、ステム分割も出色。2ミックスをボーカル、ドラム、ベース、そのほかの楽器に分割できる機能で、オーディオ・イベントの右クリック・メニューからオーディオ>ステムを分割を選択すれば実行できます。

オーディオ・イベントの右クリック・メニューからアクセスできる“ステムを分割”機能(赤枠)

オーディオ・イベントの右クリック・メニューからアクセスできる“ステムを分割”機能(赤枠)

“ステムを分割”を選ぶと、素材の中から抽出するステム(ボーカル、ドラム、ベース、その他)を選択することができる

“ステムを分割”を選ぶと、素材の中から抽出するステム(ボーカル、ドラム、ベース、その他)を選択することができる

 試してみると、しっかりと高い精度で分割されることが分かります。これがデフォルトの機能として搭載されているのは驚き。同様の機能を持つサード・パーティ製ソフトもありますが、ソフトを別途立ち上げなくても使えるスピード感が素晴らしいです。

 私は絶対音感を持たないので、この曲のメロディはどうなっているんだろう?という場合にステム分割→Melodyneでの解析を行うと、大まかですがメロやベースのラインを確認できたので、楽曲分析をする際やちょっとしたリミックスにも十分に使えそうです。

バスチャンネルの音をエフェクト込みでオーディオ化

 S1のオフィシャルWebサイトには、バスチャンネルでも“レンダリングされたオーディオに変換”の機能が使えるようになったとアナウンスされています。これは、バスチャンネルをインサート/センド・エフェクトの効果込みでオーディオ化できるというものです。

 バスチャンネルの右クリック・メニューから“レンダリングされたオーディオに変換”を選ぶと、タイムラインにオーディオ・トラックが出現し、1本のオーディオになっていることが分かります。

バスチャンネルの右クリック・メニューで選択できる“レンダリングされたオーディオに変換”(赤枠)。バスチャンネルでまとまった音をインサート/センド・エフェクトの効果込みでオーディオ化することができる

バスチャンネルの右クリック・メニューで選択できる“レンダリングされたオーディオに変換”(赤枠)。バスチャンネルでまとまった音をインサート/センド・エフェクトの効果込みでオーディオ化することができる

バスチャンネルをレンダリングされたオーディオに変換すると、この画面のようにオーディオ・トラックが作成され、1本のオーディオ・イベントが現れる

バスチャンネルをレンダリングされたオーディオに変換すると、この画面のようにオーディオ・トラックが作成され、1本のオーディオ・イベントが現れる

 CPU使用量などが厳しくなってきたら、これを使って瞬時にオーディオ化できるのがうれしいです。以前は、バスにまとめたドラムなどをオーディオ化することができなかったので、いったんステレオ・ミックスに書き出してから取り込んだりしていましたが、その必要もなくなりそうです。そして、バスチャンネルの右クリック・メニューから“バスチャンネルに変換”を選択すれば、即座に元に戻すことも可能です(ここがすごい!)。

新音源Cinematic Lightsはオーケストラ+シンセなサウンド

 続いて、新たに追加されたインストゥルメントCinematic Lightsもチェックしてみました。

オーケストラの弦楽器や金管楽器のアンサンブル音源を中心に、シンセ・サウンドやフィールド・レコーディングを組み合わせたソフト音源、Cinematic Lights

オーケストラの弦楽器や金管楽器のアンサンブル音源を中心に、シンセ・サウンドやフィールド・レコーディングを組み合わせたソフト音源、Cinematic Lights

 まずはアルペジエイターがとても使いやすく、楽曲制作初期のアイディア出しに便利な印象です。Cinematic Lightsという名前から、がっつりオーケストラ音源をイメージしていましたが、実際のサウンドはオーケストラ的なバーチャル・アナログ・シンセといった感じで、さまざまなジャンルにマッチしそうです。

 ちなみに、このCinematic Lightsのアルペジエイターと同じ挙動をするものがノートFX内にあります。ソング画面右のブラウズ>インストゥルメント>ノートFXからアクセスできるArpeggiatorです。これをインストゥルメント・トラックにドラッグ&ドロップすると、インストゥルメントの前段に配置されてMIDIエフェクトとして機能します。とてもシンプルで伝統的な仕様のアルペジエイターなので、お薦めです。

 以前にも増して、かゆい所に手が届くようになったStudio One Pro。バージョン7には現在、すべての機能を30日間も使えるデモ版が用意されているので、未体験の方はこの機会にぜひ試してみてください。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

ユウフジシマ(ハレトキドキ)

【Profile】ハレトキドキは、トラック・メイカーのユウフジシマ(brinq)とボーカルのみさつんによるユニット。80's〜90's〜00'sと時代をまたぎ、現代のサウンドをミックスさせたキャッチーかつ新次元の“HYPER J-POP”を発信している。2022年に2ndアルバム『LOST MEMORY』をリリース。そのほか、KONAMI『beatmania ⅡDX』、バンダイナムコ「電音部」への楽曲提供も行っている。

【Recent work】

『H.T.D HYPER TRANCE MIX Vol.1』ハレトキドキ

『H.T.D HYPER TRANCE MIX Vol.1』
ハレトキドキ
(HTD TRAX)

 

 

 

PreSonus Studio One Pro

PreSonus Studio One Pro

LINE UP
Studio One Pro 7:28,000円|Studio One Pro 7 クロスグレード/アカデミックバージョンアップ/アップグレード:21,000円|Studio One Pro+ 6 MONTH:14,000円|Studio One Pro+ 12 MONTH:26,000円
※いずれもダウンロード版
※オープン・プライス(記載は市場予想価格)

REQUIREMENTS
Mac:macOS 12.4以降(64ビット版)、INTEL Core i3プロセッサーもしくはAPPLE Silicon(M1/M2/M3チップ)
Windows 10(64ビット版)、INTEL Core i3プロセッサーもしくはAMD A10プロセッサー以上
共通:8GB RAM(16GB以上推奨)、40GBのストレージ、インターネット接続(インストールとアクティベーションに必要)、1,280×768pix以上の解像度のディスプレイ(高DPIを推奨)、タッチ操作にはマルチタッチ対応ディスプレイが必要

製品情報

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