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歌ってみた動画の作り方〜【Step4】自分の歌を録音しよう

歌ってみた動画の作り方〜【Step4】自分の歌を録音しよう

この特集では、天月-あまつき-をはじめとする数多くのアーティストのミックスを手掛け、自身も動画を投稿するkain氏を迎え、iPhoneでできる“歌ってみた”動画の作成方法について紹介。Step4では、いよいよ自分の歌を録音します。録音環境で注意すべき点やマイクとの距離、GarageBandのレコーディング設定など詳しく解説していきます。

1. ノイズ対策をしよう

 エアコンや空気清浄機、コンピューターのファンなどはノイズの原因になります。電源を落とせるものは落としてしまいましょう。ただ、エアコンを消したことで暑くてうまく歌えなくなるよりは、多少ノイズが入ってしまっても涼しくて快適な環境で録音した方が良いパフォーマンスにつながる場合もあるかもしれません。あまり神経質になりすぎず、電源を消せるものだけ消すようにしましょう。

エアコンはオフに!

 電化製品などのノイズよりも大敵なのは部屋鳴りです。部屋鳴りがしていると音の輪郭がぼやけてしまって後からはどうしようもないことが多いので、注意する必要があります。絨毯を敷いたり、カーテンを閉めたり、洗濯物やぬいぐるみのような音を吸収してくれるものを置くなど、いろいろ工夫してみるとよいでしょう。

 また、今回はiPhoneを使用して録音するので、突然電話がかかってきたり、通知が鳴ってしまったら録音を中断せざるを得ません。録音を始める前に必ず機内モードにしておきましょう。

必ず機内モードに!

2. マイクとの距離

 マイクと口の距離はこぶし1つ分くらいあけましょう。写真のマイクと顔の間にあるのは、ポップ・ガードです。ポップ・ガードはマイクに息が強く当たったときに発生する破裂音を軽減します。マストではありませんが、マイクによってはボフボフ鳴ってしまうことがあるので使用することをお勧めします。

マイクとの距離

3. USBマイク/オーディオ・インターフェースの設定

 USBマイクの場合 

 今回使用したAKG Lyraには、表にヘッドフォンのボリューム・ツマミとマイクの音をオフにするミュート・スイッチ、裏面に音を拾う範囲を変えられるツマミがあります。通常は“FRONT”にしておけば問題ありませんが、いろいろ試して音の変化を確認してみるのもよいでしょう。

 USBマイクの設定で特に注意すべきなのは、ゲインです。これは入力信号を増幅させるもので、いたずらに上げてしまうと音が割れたり、音質が劣化してしまいます。音が聴こえにくい場合はゲインではなく、ヘッドフォンのボリュームを上げるようにしましょう。

表(写真左)、裏

 オーディオ・インターフェースの場合 

 今回はSTEINBERG UR12を使用しました。INPUT 1のゲイン・ツマミでマイクの入力レベルを調整します。ヘッドフォンのボリュームは、OUTPUTノブで調整可能です。こちらもUSBマイクと同様にゲインの上げすぎには注意が必要です。自分が出せるマックスの声量で歌ったときに、音割れしないような位置に調整しましょう。

STEINBERG UR12

音が割れるってどういうこと?

 過大な音量で入力されたときに、音が潰れてノイズが発生してしまう状態です。聴いて分からない場合は、一度録音してみて、波形が平らにつぶれてしまっていないか確認するようにしましょう。

4. GarageBandを歌いやすい設定にしよう

 ボーカルを録音する際に歌いやすいようにGarageBandでエフェクトをかけましょう。正解はないので、自分が一番歌いやすい設定を探してみてください。iPhoneがトラック表示画面になっている方は、上部のコントロールバー左から3番目のマイクのマークをタップすると、編集画面が表示されます。

 右側のOUTのフェーダー下部にあるモニタ・ボタンは、iPhoneに外部マイクなどが接続されていると有効になるので、忘れずにオンにしましょう。オフのままだとエフェクトをかけた自分の声を聴くことができません。設定は録音後にも調整可能なので、まずは歌いやすい値に設定し、歌い終わったら録音したものを聴いて再調整しましょう。

 1  Tone

 上げていくと高域が持ち上がってシャリシャリしたような音になり、下げていくとこもったような音になります。自分の声がモコモコしているな、抜けが悪いなと思ったら少し上げてみるのがお勧めです。

 2  Pitch Control

 キーに合わせてピッチを自動で合わせてくれる機能です。楽曲のキーが分かる場合は、画面上部コントロールバー右の歯車のマークから設定をしておくと効果的に使えます。少しかけると自然なピッチ補正に、大胆にかけるとケロケロした面白い声になります。

 3  Compressor

 音の大小を自然にそろえてくれる機能です。Aメロでは声が小さいのにサビで急に大きくなってしまう……といったことが最初のうちはありがち。録音するときはかなり上げてしまった方が歌いやすいかもしれません。

 4  Drive

 上げていくと音がひずむエフェクトです。ラジオのような声にしたいときに思いっきりかけたりするのもありですが、歌うときは基本的にゼロにしておきましょう。

 5  Vocal Hall

 カラオケで歌うときにエコーをかけると自分の声が響いて気持ち良いですよね。それと同じように、このノブも上げていくと自分の声が響いていきます。自分が一番気持ちよく歌えるように音を聴きながら調整しましょう。

5. 録音しよう

 画面上部コントロールバーの中央にある録音ボタンをタップすると、再生ヘッドの位置から録音が開始されます。録音が完了したら、再生ボタンを押すと録音が終了します。テンポを特に設定していない場合はメトロノームのマークをタップしてオフにしておきましょう。

複数のテイクを録音するには?

 なかなか一発で完ぺきなテイクを録音するのは難しいもの。GarageBandには、複数のテイクを連続して録音し、後から気に入ったものを選択して編集できる機能があります。

 まずは、カラオケ音源を読み込んだ際に、セクションの長さを自動に設定していたのを(Step 2)、再度“自動”スイッチをタップしてオフにします。

 次に、自分の声を録音するトラックをタップし、画面上部のコントロールバー左から4番目にあるフェーダーのマークをタップ、“トラック設定→録音”を選択し、“マルチテイク録音”をオンにします。以上の手順で録音をするたびに新しいテイクが保存されるようになります。

 聴き比べたいときは、リージョンをダブル・タップして表示されるメニューの中のテイクをタップします。保存されたテイクのリストが表示されるので、聴きたいテイクを選択しましょう。

うまく歌えないときはどうしたらいい?

 実際に歌ってみると、“思ったようなテイクが録れない……”“どうしてもうまく歌えない……”なんていうこともありますよね。一番の上達への近道は、“好きな歌手の真似をすること”だと思っています。作曲でも歌でもミックスでもそうですが、モノマネから入ると上達が早いです。ゼロから自分のオリジナリティを出そうとすると難しいので、自分の歌と好きな歌手の歌を比較して、どう違うのかをまず研究するのが良いと思います。


続くStep5では、録音した自分の歌とカラオケ音源をミックスします。

 

kain

kain
ボーカル/アレンジャー/サウンド・エンジニア。2011年から動画サイトにて動画を投稿し始める。日本武道館、さいたまスーパーアリーナ、代々木第一体育館などで開催されたネット・シーンの音楽フェスに多数参加し、1stアルバム『かえりみち』は、オリコンTop10入りを果たした。2015年以降は編曲やエンジニアとしての活動も始め、ミキシング、編曲などで参加した動画の総再生数は30億回以上。

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