TEENAGE ENGINEERING OP-1 fieldの使い方【DAY10】ドラム・モードで何ができる?

OP-1 fieldのdrum samplerの波形画面

トラックメイカーのYebisu303がTEENAGE ENGINEERING OP-1 fieldの魅力を伝える20日間。DAY10は、ドラム・モードについて紹介します!

2つのドラムエンジンを搭載

 ドラム・モードには、シンセドラムのdboxとサンプルベースのdrum samplerの2種類のエンジンが搭載されています。エンジンやプリセットの選択方法はシンセ・モード(DAY4を参照)と同様ですが、ドラム・モードの大きな特徴は、鍵盤ごとに異なるパラメータを設定し、自由にキットを作成できる点です。

 OP-1 fieldのドラムモードにも新機能としてステレオ再生や、モノラルの波形を2つ重ねられるスタッキングが搭載されました。スタッキングについては後日に別途紹介します。

dbox

 dsynthDAY5を参照)と同じパラメータ構成でありながら、シンセドラムとしての使い方に特化したチューニングが施されています。有名YouTuberのCuckooをはじめ、実力派サウンドデザイナーによるプリセットが多数用意されていて、手軽に音作りの幅広さを体感できますよ。

OP-1 fieldのドラムエンジンdboxの画面

dboxは鍵盤ごとに音作りができる

synth samplerとdrum samplerは何が違う?

 synth samplerは、サンプリングした波形に音高を付けて演奏することができます。例えば、シンセ・モードで猫の鳴き声をサンプリングすれば、猫の声で「ねこふんじゃった」のメロディを演奏することができるというわけですね。

synth samplerのイメージ

 一方drum samplerは、前述のとおり、鍵盤ごとに異なる音を鳴らすことができます。波形が鍵盤に一つずつ割り当てられているように見えますが、実は元となっているのは一つの波形で、再生するポイントを変えながら鳴らしているだけなのです。

鍵盤に割り当てられている波形は、全体波形の一部であることがわかる

 試しに、ドラム・モードでDAY9を参考に「あ、い、う、え、お」とサンプリングしてみてください。すると波形が「あ」「い」「う」「え」「お」とそれぞれの鍵盤に割り振られているのが分かります。このようにドラムで使いたい音をまとめて一つの波形としてサンプリングすると、drum samplerが自動的にドラムキット化してくれるわけです。

OP-1 fieldでdurm samplerのイメージ

durm samplerのイメージ

 OP-1 fieldが波形のピークを検出して鍵盤に自動アサインしてくれますが、微調整は可能です。

エンコーダーでコントロールできるパラメーター

  • ブルー:tuning(半音単位での音程調整)
  • オーカー:in point(波形の再生開始位置)
  • グレー:out point(波形の再生終了位置)
  • オレンジ:play mode(波形の再生方法)

drum samplerのplay mode

 オレンジのplay modeで波形の再生方法を4つから選ぶことができます。

  • :鍵盤を押している間だけ波形が再生され、離すとすぐ停止します。
  • →|:鍵盤を押すと必ずアウトポイントまで再生されます
  • →G:基本的に →| と同じですが、→Gに設定した音同士は同時に発音されません。ハイハットのクローズとオープンの発音がシミュレーションできます。
  • 回転する矢印マーク:鍵盤を押している間、イン/アウトポイントの間をループ再生し続けます。

 エンコーダーを押し込むと各パラメーターを微調整できるモードに切り替わります。

  • ブルー:fine tune(より細かい音程調整)
  • オーカー:in point zoom(波形の再生開始位置を拡大)
  • グレー:out point zoom(波形の再生終了位置)

 また、shiftキーを押しながら操作すると下記のパラメーターも調整できます。

  • ブルー:direction(サンプルの再生/逆再生を切替)
  • オーカー:panning(パンニング)
  • グレー:attack(波形の立ち上がりの速さ)
  • オレンジ:gain(音量)

PCからのサンプル転送も簡単

OP-1 fieldがコンピューターと接続された状態の画面

OP-1 fieldがPCと接続された状態の画面

 DAWで作り込んだ音色や手持ちのサンプルライブラリーを、OP-1 fieldで使いたい場合、簡単に転送できます。これはドラム・モードに限らずシンセ・モードにも有効です。

  1. OP-1 fieldとPCをUSBケーブルで接続
  2. shift + COMキーを押してcom画面を表示
  3. shift + T4キーを押して、DISKモードを有効にする

 上記の操作が完了すると、PC側でOP-1 fieldがストレージとして認識されます。使いたいモードに応じたユーザーフォルダ(シンセ・モードであればsynth/user、ドラム・モードであればdrum/user)にAIFF形式のオーディオ・ファイルを格納し、PC側でOP-1 fieldを取り外しましょう。転送したオーディオ・ファイルを使用するための処理がOP-1 fieldで自動実行され、数秒で利用可能になります。

OP-1 fieldへオーディオデータインポートして自動処理が完了した画面
OP-1 fieldにUSERが追加された画面
オーディオ・ファイルの処理が完了した状態(左)。データはUSERに格納される(右)

 転送が成功していれば、シンセ・モード/ドラム・モードのエンジンに「USER」が追加され、配下にリスト表示されます。

→【DAY11】へつづく!

Yebisu303(Acid Alliance)

【Profile】アシッドハウス、デトロイトテクノ、エレクトロ、ハードミニマルに強い感銘を受け、20代後半よりトラック制作を開始。 無類のハードウェア機材愛好家でもあり、日々マシンライブや機材デモンストレーション動画の制作を行っている。 また、近年ではKORGやSONICWARE製品のプリセットやTVアニメ「ユーレイデコ」の劇伴・イメージソングを制作するなど、その活動は多岐に渡っている。

bandcamp https://yebisu303.bandcamp.com/
YouTube https://www.youtube.com/user/Yebisu303
SoundCloud https://soundcloud.com/yebisu303
Twitter https://twitter.com/Yebisu303

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