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【特集】私の愛するヘッドホン2024〜渡辺省二郎がミックスの環境が変化する中で選んだMONOLITH M1570 Tuned

渡辺省二郎

現代の音楽制作に欠かせないツールとなったヘッドホン/イヤホン。「制作の大半をヘッドホンでこなす」と言うクリエイターやエンジニアが増えており、それに呼応するように各メーカーからも魅力的な製品が登場している。 国内外の多数の作品を手掛けるエンジニアの渡辺省二郎が、ミックスの環境が変化する中で選んだ一台だというMONOLITH M1570 Tunedについて話を聞いた。

MONOLITH M1570 Tuned

MONOLITH M1570 Tuned

 106mm平面駆動型ドライバーを採用したアメリカのオーディオ・ブランドMONOLITHのヘッドホンM1570。渡辺が使用するM1570 Tunedは、国内代理店のスタジオイクイプメントが通常モデルにチューニングとエージングを施したカスタム・モデルだ。 

【SPECIFICATION】
●型式:オープン平面駆動型 ●ドライバー径:106mm ●周波数特性:5Hz〜50kHz ●マグネット:線形対象/ネオジム ●インピーダンス:60Ω ●感度:96dB/mW

スタジオ・モニターとシームレスにつながる

 自分はミックスを自宅で7割ぐらい詰めて、残りをスタジオで仕上げるのですが、クライアントからの急な要望に応えられるように、最近は卓やアウトボードを使わずにAPPLE MacBook Proの中だけで完結させるようになりました。それに伴い最近のヘッドホンをいろいろ聴いてみたらかなり進化しているのが分かったので、ヘッドホンに予算をかけようと思ったんです。

 M1570 Tunedは、スタジオイクイプメントの方が紹介してくれた中の一つで、自分がリファレンスにしているTANNOYのモニター・スピーカーと比較的近い聴こえ方なので、スタジオ・モニターとヘッドホンがシームレスにつながります。

M1570 Tunedの内側

MONOLITHの国内代理店であるスタジオイクイプメントが独自のチューニングを施したM1570 Tuned。本体の内側には、スタジオイクイプメントのロゴとともに“TUNED”と書かれたステッカーが貼られている

 帯域バランスもかなり良いですね。音を作る上で大事なのは反応が速い、つまり“音がつぶれない”こと。立ち上がりの速いアタックがちゃんと聴こえる、EQやコンプの設定を少し動かしただけで違いが如実に分かるということです。ひずみがないことも大事ですね。ひずみを足すときにモニターでひずんでいると判断を間違ってしまいますから。

 特に助かるのはヒップホップのミックスで、10〜20Hzくらいのローエンドの処理がうまくいっているかは、ラージ・モニターよりもヘッドホンのほうが分かりますね。特にROLAND TR-808系キックをベースとして使う場合のチェックはヘッドホンが一番いいです。

LITTLE LABS Monotor

渡辺がM1570 Tunedの再生時に使っているヘッドホン・アンプのLITTLE LABS Monotor。ミックスにおけるモニター機材のサウンドは“無味無臭”であることが大事だと言い「正直に出てくるのでごまかしが効かなくて良いですね。この組み合わせだと細かい問題点もすぐ分かります」と評価。また、できるだけ身軽に移動するため、M1570 Tu nedとMonotorは自宅とスタジオ用にそれぞれ購入したという

渡辺省二郎

渡辺省二郎
現在の国内シーンを代表するレコーディング/ミキシング・エンジニアの一人。これまでに井上陽水、坂本真綾、佐野元春、sumika、東京スカパラダイスオーケストラ、ビッケブランカ、星野源、moumoonなど数多くのアーティストの作品を手掛けてきた。

Recent Work

『おでかけ feat. MonyHorse, dodo』
VaVa

(SUMMIT)

 

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