現代の音楽制作に欠かせないツールとなったヘッドホン/イヤホン。「制作の大半をヘッドホンでこなす」と言うクリエイターやエンジニアが増えており、それに呼応するように各メーカーからも魅力的な製品が登場している。鍵盤奏者として、Suchmosや賽で活躍するTAIHEIは、プライベート・スタジオでの制作用に、最適なヘッドホン&ヘッドホン・アンプの組み合わせを探し求めたという。詳細について話を聞いていこう。
DENON AH-D5200
DENONのフラッグシップ機AH-D7200直系のモデルで、ハウジングにはしま模様が特徴的なゼブラウッドを採用。4N OFCを導体に用いた着脱式ケーブルが付属している。
【SPECIFICATION】
●型式:密閉ダイナミック型 ●マグネット:ネオジム ●インピーダンス:24Ω ●入力感度:103dB/mW ●最大入力:1,800mW ●周波数特性:5Hz〜40kHz ●重量:385g(ケーブル除く) ●ドライバー径:50mm
可聴帯域ギリギリまで広く聴こえる感覚
プライベート・スタジオを造る段階で、部屋の形が厳しかったので、ヘッドホンに予算をかけると決めたんです。そこで知り合いのエンジニアの方々に良いヘッドホンの情報を聞きまくって決めたのがAH-D5200とヘッドホン・アンプCURRENT MP421-M2の組み合わせでした。この組み合わせはハイエンドとローエンドの可聴帯域ギリギリまで広く聴こえる感覚で、アーティストの意図を漏らすことなく感じられるんです。ビル・エヴァンスのライブ盤『ワルツ・フォー・デビイ』を聴いたら、店内で注文する人の声まで分かって。それ以来“こんな音鳴ってたんだ”と気づくことが多くて感動しています。
最近は主に録り音の確認で使っていて、特に歌録りでは、ボーカル単体をヘッドホン・アンプの音量を上げて聴いて、クリック漏れやノイズなどの不要な音が奥の奥に入っていないか確認します。その作業が速攻で終わるので、生音だけでやるにはすごく重要です。
あと、シンセとかのライン楽器では、スピーカーが鳴らし切れない超ローエンドまで分かるし、フィルターなど音色のフォーカスを絞り込めます。RHODESのEQやビブラートの具合も分かりやすいです。
俺は生音を扱うのでスタジオが必要ですけど、マンションの一室に制作環境を作るような方は、ヘッドホンのグレードを上げるだけでも成果物の質が上がると思います。
TAIHEI
富山県氷見市生まれ。Suchmosの鍵盤奏者。クラシック音楽のみならずロック、ジャズ、R&B、ヒップホップなどの幅広い音楽に習熟している。自身がリーダーを務める賽(SAI)での活動や、劇伴音楽の作編曲、STUTS、Rei、七尾旅人などのアーティスト・サポートも行う。
Recent Work
『MEBAE feat. YONCE』
賽
(SAIKORO Records)