サンレコが注目する3万円以上のハイグレードなボーカル用ハンドヘルド・マイク14機種をクロスレビュー! ここではELECTRO-VOICE ND96を紹介します。テストは、さまざまなイベントを行うカフェ風イベント・スペース、原宿ストロボカフェにて実施。同店でPAエンジニアを務めるハタナカミホ、そして4人組バンドのゴホウビでボーカルを担当するスージーとcodyが、インプレッションを語ります。
ELECTRO-VOICE ND96
■形式:ダイナミック ■指向性:スーパーカーディオイド ■周波数特性:30Hz~15kHz ■感度:3.3mV/Pa ■インピーダンス:350Ω ■外形寸法:50.5(φ)×170(H)mm ■重量:323g
歌い手ごとに多彩な効果を発揮するボーカル・プレゼンス強調スイッチ
ELECTRO-VOICE ND96は、全8種類から成るNDシリーズの一つ。低域~中域をカットすることで中域~高域を持ち上げるボーカル・プレゼンス強調スイッチにより歌声を強調できるようになっているなど、シリーズの中でもボーカル特化型の上位モデルだ。
Artist’s Impression by スージー&cody(ゴホウビ)
cody まずは高域に特性があるように思いました。ボーカル・プレゼンス強調スイッチを入れてみたら、結構変わりましたね。自分の歌を聴いているときは丸みを帯びた印象で、スージーの声はよりスッキリとして聴こえました。
スージー 個人的にはスイッチ・オフ=フラットでは声が散らばっているようでしたが、オンにしたら真っすぐ突き抜ける感覚でした。ELECTRO-VOICEのマイクはうちのドラマー(むんちゃ)がコーラスで使っていたことがあります。コーラスで使用するときはスイッチの切り替えを試してみて、あえてあまり主張しすぎないように、という使い方もありですね。バンドだとさまざまな用途が考えられそうです。
Engineer’s Impression by ハタナカミホ(原宿ストロボカフェ)
codyさんの場合は、フラットのほうがハイミッドの輪郭がハッキリしていましたね。スージーさんはフラットも良かったのですが、オンにしたら一層クリアになって、Aメロの中低音もギュッと密度が高くなった。ボーカリストの声質でスイッチのオン/オフによる効果がはっきり表れて、非常に面白いマイクです。スイッチで抑えている帯域も、膨らみやすい部分がちゃんと設定されているのでしょう。
マイクを選ぶ際、自分の声と照らし合わせて、どの帯域に特徴を持つマイクかが判断する材料になると思います。けれども、まずこのマイクを導入してみて、現場や声の成長に合わせて切り替えることもできる。柔軟に活用できそうです。
ゴホウビ
【Profile】男女混声豆腐メンタル4人組バンド。メンバーは、cody(写真右/vo、g)、スージー(写真左/vo、k)、405(シンゴ:b)、むんちゃ(ds、cho)。飾らないストレートなリリックと王道Jポップでありながらもジャンルにとらわれない幅広い音楽性で、柔らかく包容力のあるcodyと、唯一無二のキュートな声質のスージーの全く異質な2人の歌声から生まれる心地良いハーモニー。音楽のみならず、アート・ディレクションからMVまでメンバーが中心となり作り上げている。11月15日開催のバンド史上最大キャパとなる渋谷クアトロでのワンマン・ライブを目指す。
マイクのサウンド・チェックを行った原宿 ストロボカフェ
音楽、アート、お笑い、演劇など、さまざまなイベントを行うカフェ風イベント・スペース、原宿ストロボカフェテストにはゴホウビの楽曲「ラブシャッフル」のオケを使用し、1人ずつ順番にステージで歌唱。一部、弾き語り形式でもテストを行った。