2025年3月6日、東京・Zepp Shinjukuにて開催された『TAKU INOUE EXHIBITION MATCH』は、音楽プロデューサーのTAKU INOUEがDJを務めながら、多彩なゲストアーティストと共演し、音楽で“バトル”を繰り広げるというコンセプトのイベント。チケットは即完売。平日夜とは思えないほどの熱気に包まれた会場は、TAKU INOUEと観客が音楽で一体になる“祝祭の場”となった。ここでは同イベントのライブレポートをお送りしよう。
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- 幕開けはTAKU INOUE自身のリミックスから
- ARuFaとWONによる対照的なパフォーマンス
- Mori Calliopeとのデジタル共演
- 天音みほ扮する東雲和音の音世界
- DJとギターの融合セッション
- 星街すいせいの声が導く後半戦
- 感動のフィナーレ 〜kz(livetune)のリミックス
幕開けはTAKU INOUE自身のリミックスから
イベントは、TAKU INOUE自身の代表作であるゲームシリーズ『THE IDOLM@STER』の楽曲「MUSIC♪ (Taku Inoue Remix)」で幕を開けた。ビッグバンドのブラスセクションや128BPMのハウスリズムを基盤に、ドラムンベースのブレイクビーツを挿入した作品だ。“始まる世界 LISTEN!! 私のMUSIC♪”という象徴的なフレーズが響くと、観客の視線と心は一気にステージへと集中。続けて、ディスコサウンドを再解釈した「ダンス・ダンス・ダンス (TAKU INOUE Remix)」が投下され、フロアの温度が一気に上がった。キックドラムに808ベースをミックスした低域が会場に響き渡る。
ARuFaとWONによる対照的なパフォーマンス
最初のゲストとして登場したのはARuFa。爽やかで透明感のあるハイトーンボイスで「ベータソング」を披露し、観客の心を柔らかく包み込む。四つ打ちキックにポリリズム的なシンセアタックや8ビット風エフェクトが光る。続いてアナログライクなシンセサウンドがうなる「ミラーボール・ラブ」では、軽快なビートとARuFaの歌声が融合。ファンキーでアグレッシブな“サウンドバトル”が繰り広げられた。
その空気をがらりと変えたのは、シンガーソングライターWONの登場。クラウドラップの浮遊感とシティポップの親和性を融合した「Unique」、鉄琴のアルペジオやギターフレーズが印象的な「ありきたり」の2曲では、ハスキーでエモーショナルな歌声を武器に、しなやかな強さを感じさせるステージングで観客を惹きつけた。
Mori Calliopeとのデジタル共演
ここでスクリーンには、VTuberのMori Calliopeからのコメント映像が投影される。“死神と闘うと大変なことになる”というジョーク混じりのメッセージの後、彼女とTAKU INOUEの共作「Yona Yona Journey」が披露され、会場は映像と音が交錯する幻想的な空間へと変貌した。
天音みほ扮する東雲和音の音世界
MCを挟んで現れたのは、「電音部」の東雲和音役として登場した天音みほ。独特な世界観や歌詞が特徴の「Mani Mani」と幻想的かつエモーショナルなメロディが魅力の「トアルトワ」の2曲を、しなやかなダンスとともにパフォーマンス。さらに疾走感のあるメロディと感情的な歌詞が特徴的な「クレイジークレイジー」では、アイドルらしいきらびやかなステージングを見せ、フロアに華やかな彩りを添えた。
DJとギターの融合セッション
その後、anoのボーカル不在を補う形で「ちゅ、多様性。(TAKU INOUE Remix)」が流れる。UKガラージやジャージークラブのビートが新鮮さを与える。続く「My Mutant Ride (feat. 柴田聡子 & TAKU INOUE)」では、6人組ユニットPAS TASTAのyuigotとギターバトルを繰り広げ、演奏とトラックが融合する白熱のセッションが展開された。
シンガーソングライターのナナヲアカリが登場すると、会場は一気に緊張感を帯びる。「チューリングラブ Remix」では会場が一体となり、ポップでキャッチーな音楽に酔いしれる。BPMが速く、ラップ調の平歌とキャッチーなサビが特徴の「雷火」では、突き抜けるようなロングトーンでフロアを圧倒し、その表現力の高さを見せつけた。
星街すいせいの声が導く後半戦
MCでは星街すいせいのコメントが紹介され、後半のMidnight Grand Orchestraパートへと突入。「Midnight Mission」「Allegro」と続けて披露され、幻想的かつ疾走感のある展開が観客を飲み込んでいく。
続いて水槽が登場。ダークなベースラインとグリッチーなシンセサウンドが融合した「README(prod. TAKU INOUE)」を披露し、前ステージで高まった会場のエネルギーを、より深みのある感情的アプローチで転換する。
水槽のステージは、ビートボックス・グループSARUKANIとのコラボレーションへと自然に移行した。SARUKANIが登場すると、その生音のグルーヴで空気が一瞬にして変わる。
そこにシンガーソングライターの春野が加わり「ハートビートボックス」を演奏。ドラムンベース調のリキッドファンクを基調とし、SARUKANIのヒューマンビートボックスを取り入れたユニークなトラックだ。そのまま春野は「Spring Has Come」を歌唱しステージ袖へはける。
そしてTAKU INOUEは自身のメジャーデビュー曲「3:12」をプレイ後、“次は特別なゲスト”と告げてシークレットゲストのなとりをステージへ呼び込む。ダンサブルでジャジーなサウンドが基調の楽曲「ライツオフ」を披露した。128BPMのシンコペーションを効かせた2ステップガラージビートに、TAKU INOUEがリアルタイムでディストーションを追加。なとりのハスキーボイスに会場は魅了された。
感動のフィナーレ 〜kz(livetune)のリミックス
終盤、シンセベースとグリッチホップリズムを基調とした「Radio Happy(kz Remix)」の軽快なリズムがフロアに再び躍動をもたらした。
最後にTAKU INOUEは、星街すいせい「Stellar Stellar」で締めくくられた。TAKU INOUEが手がけた数々のサウンドと、ジャンルを超えたアーティストたちの化学反応が生んだ一夜は、まさに“音楽の交差点”だった。
そしてスクリーンでは、TAKU INOUEの新EP『FUTARI EP』(2025年6月25日発売)のリリースが発表された。このEPには、本公演のライブ音源がボーナストラックとして収録されるとのことだ。
この日、TAKU INOUEは“またこんな感じでやりたいっす。めっちゃ遊びに来てください”と観客に語った。『TAKU INOUE EXHIBITION MATCH』は、ただのライブを超えた、新しい音楽体験そのものであった。
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