『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』授賞式 現地レポート 〜“YMOマッシュアップ”と受賞作品に見る国内音楽の蓄積と進化

Perfume

授賞式2日目グランドセレモニーのオープニングで公開されたムービー「RYDEEN REBOOT」の一幕。Perfumeが身につけた水引の髪飾りは、YMO『イエロー・マジック・オーケストラ』を想起させるパッチケーブル
©CEIPA /MUSIC AWARDS JAPAN2025

一般社団法人カルチャーアンドエンタテインメント産業振興会(CEIPA)による、国内最大規模の国際音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』。その授賞式が、5月21日(水)〜22日(木)の2日間にわたって、ロームシアター京都で開催された。サンレコは現場におもむき、授賞式およびレッドカーペットを取材。ここでは授賞式の模様とともに、主要6部門と、サンレコが注目する部門をピックアップして紹介しよう。レッドカーペットについては、後日サンレコのYouTube、Instagram、Xなどでアーティストのコメント動画をお届けする予定だ。

▲授賞式2日目のグランドセレモニーで、細野晴臣のスピーチに続いてお披露目されたオープニングムービー「RYDEEN REBOOT」。日本の音楽の蓄積と進化を感じさせる内容で、会場を沸かせていた

 まずは、主要6部門と受賞者/受賞作品を、2日間の授賞式の模様を交えながら紹介する。

最優秀楽曲賞:「Bling-Bang-Bang-Born」Creepy Nuts

Creepy Nuts

©CEIPA /MUSIC AWARDS JAPAN2025

 最優秀楽曲賞に選ばれたのは、Creepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」。Creepy Nutsは、最優秀国内ヒップホップ/ラップアーティスト賞や最優秀バイラル楽曲賞など、計9冠を達成した。授賞式1日目のプレミアセレモニーでは、最後の7部門を総なめ。7連続で流れる「Bling-Bang-Bang-Born」のVTRに会場は圧倒されていた。

 R-指定は、「マイナーなジャンルをやっていたという自覚はあったので、ヒップホップがこういうことになるとは思っていなかった。いろんな人の頑張りで、日本のヒップホップが聴かれるようになったのがうれしい」と語った。


▲グランドセレモニーで披露されたCreepy Nutsによるパフォーマンス。シンプルなレーザーの演出に、R-指定&DJ松永の超絶テクニックが映える構成

DJ松永の制作環境は、サンレコのインタビューでチェック!

パフォーマンスにも使用されたDJミキサーPIONEER DJ DJM-S11をはじめとする多彩な機材、楽曲の制作術をレポートしています。

最優秀アーティスト賞:Mrs. GREEN APPLE

Mrs. GREEN APPLE

©CEIPA /MUSIC AWARDS JAPAN2025

 最優秀アーティスト賞に選ばれたのは、今年デビュー10周年を迎えたMrs. GREEN APPLE。Mrs. GREEN APPLEは、最優秀ジャパニーズソングアーティスト賞のほか、「ライラック」がカラオケ特別賞 カラオケ・オブ・ザ・イヤー: J-Pop powered by DAM & JOYSOUNDに選出された。

 グランドセレモニーでは壮大なオーケストラをバックに、「ダーリン」をパフォーマンス。圧倒的な歌唱力と表現力で、授賞式を締め括った。

Mrs. GREEN APPLE

グランドセレモニーでのMrs. GREEN APPLEによるパフォーマンス
©CEIPA /MUSIC AWARDS JAPAN2025

最優秀ニュー・アーティスト賞:tuki.

 最優秀ニュー・アーティスト賞に選出されたのは、シンガー・ソングライターのtuki.(授賞式は欠席)。2023年リリースの「晩餐歌」が大ヒットし、今回の受賞に至った。

最優秀アルバム賞:『LOVE ALL SERVE ALL』藤井風

藤井 風

©CEIPA /MUSIC AWARDS JAPAN2025

 最優秀アルバム賞に選出されたのは、藤井風の『LOVE ALL SERVE ALL』。藤井 風は、最優秀国内シンガーソングライター賞にも選出された。「3年前にリリースしたアルバムですが、愛を込めて作ったことは覚えている。日本にもグラミーのような賞があれば良いと思っていたので、受賞を光栄に思う」とコメントした。


▲グランドセレモニーの第二部は、藤井 風のパフォーマンスにより幕開け。菅田将暉のナレーションに続いて「満ちてゆく」のピアノの弾き語りが披露された。第一部での派手な演出とは対照的に、会場全体は落ち着いた雰囲気で感動に包まれていた

TOP GLOBAL HIT FROM JAPAN:「アイドル」YOASOBI

YOASOBI

YOASOBI ©CEIPA /MUSIC AWARDS JAPAN2025

 TOP GLOBAL HIT FROM JAPANに選出されたのは、YOASOBIの「アイドル」。この楽曲は、最優秀アニメ楽曲賞、最優秀ミュージックビデオ賞にも選ばれた。

 Ayaseはこの楽曲において、クリエイター特別賞にも選出された。この賞は、JASRACに著作権管理を信託している楽曲の中で、2024年度の著作物使用料分配額が最も多い楽曲のクリエイターを表彰するもの。Ayaseは、「ikuraの歌あってのYOASOBIの楽曲ではあると思うが、クリエイターとして、こういった賞をいただけるのはうれしい。これからも頑張っていきます」とコメントした。

▲グランドセレモニー第一部のトップバッターはYOASOBI。ミュージックビデオ風の映像に続いて登場した二人に、会場からは歓声が上がった

YOASOBIのインタビューをサンレコでチェック!

Ayaseの制作環境やテクニックをレポートしています。

BEST SONG ASIA:「Supernova」aespa

 アジアでヒットしたアジア楽曲を讃える賞、BEST SONG ASIAに選出されたのは、「Supernova」aespa。『MUSIC AWARDS JAPAN』の理念として、国内楽曲を世界に届けるというのはもちろん、アジアの楽曲と世界を橋渡しするという意図があることは間違いない。海外楽曲カテゴリーにおいてアジアでは、中国、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピンの楽曲が受賞。ベトナムからグランドセレモニーに参加していたトォン・ズゥンは、受賞のコメントとともにアカペラで美声を披露した。

 

 ここからは、主要6部門以外で、サンレコ的注目の部門とその受賞者/受賞作品を紹介する。

最優秀クラシックアルバム賞:『Opus』坂本龍一

 最優秀クラシックアルバム賞に選ばれたのは、坂本龍一『Opus』。彼の最後のピアノソロ・コンサートを収めたアルバムで、NHK509スタジオにて1日2曲、8日間にわたって収録された。

坂本龍一の記事をサンレコでチェック!

ミュージシャンやクリエイター、エンジニアやプログラマーが、教授との共同制作を語ります。

最優秀国内R&B/コンテンポラリーアーティスト賞:宇多田ヒカル

▲菅田将暉の「ロームシアター京都の地下からです」というアナウンスに続いて、宇多田ヒカルが事前収録で「Electricity」をパフォーマンスした

 最優秀国内R&B/コンテンポラリーアーティスト賞には、宇多田ヒカルが選出された。宇多田は1998年リリースの「Automatic」で、最優秀国内R&B/コンテンポラリーにも選出されている。授賞式当日は欠席したものの、「ジャンルに縛られず、良い意味で裏切っていきたい」とコメントを残した。

宇多田ヒカルの記事をサンレコでチェック!

最新ライブツアー『SCIENCE FICTION TOUR 2024』をレポートしています。

ミュージックテック功労賞​:一般社団法人音楽電子事業協会

一般社団法人音楽電子協会

一般社団法人音楽電子協会 AMEI

 ミュージックテック功労賞​に選出されたのは、一般社団法人音楽電子事業協会 AMEI。会長の阿部征治は、「MIDIは、世界中の楽器を繋げるオープンな規格として策定された。これからも音楽を技術面でサポートし続けたい」とコメントした。

最優秀ダンス・エレクトロニック楽曲賞 in association with JDDA:「エジソン」水曜日のカンパネラ

水曜日のカンパネラ

©CEIPA /MUSIC AWARDS JAPAN2025

 最優秀ダンス・エレクトロニック楽曲賞 in association with JDDAに選出されたのは、水曜日のカンパネラの「エジソン」。トラック・メイカーのケンモチヒデフミは「水曜日のカンパネラは、詩羽とコムアイという2人のすばらしいボーカルに出会い、ここまで来ることができた。メイン・ボーカルの交替という大きな転機があったにもかかわらず、変わらず皆さんに音楽を聴いてもらえることに感謝している」とコメントした。

ケンモチヒデフミのインタビューをサンレコでチェック!

「エジソン」の“バズり”について分析しています。

最優秀DJ賞 in association with JDDA:DJ Nobu

DJ Nobu

DJ Nobu ©CEIPA /MUSIC AWARDS JAPAN2025

 最優秀DJ賞 in association with JDDAに選定されたのは、DJ Nobu。「映えある賞を受賞できて光栄に思う。世界中をツアーして結果を出すのは大変なこともあるが、このような賞をもらえて報われた」とコメントした。

DJ Nobuのインタビューをサンレコでチェック!

DJとして世界で活躍するための運と戦略を語っています。

グランプリエンジニア賞 in association with PMRAJ:内沼映二(ミキシング・エンジニア)、北村勝敏(カッティング・エンジニア)

MIXER’S LAB SOUND SERIES Vol.4

MIXER’S LAB SOUND SERIES Vol.4

 PMRAJ(日本プロ音楽録音賞)との連携部門である、グランプリエンジニア賞 in association with PMRAJに選定されたのは、内沼映二(ミキシング・エンジニア)と北村勝敏(カッティング・エンジニア)。「MIXER'S LAB SOUND SERIES Vol.4」より「小さな花」/ 角田健一ビッグバンド[アナログディスク部門]での受賞となった。

 プレミアセレモニーに出席した内沼映二は、「エンジニアになるきっかけの一つでもある曲で受賞できたのが光栄だ」とコメント。また、エンジニアという仕事の魅力を問われ、「自分が手掛けた音楽を聴いていただいて感激してもらうこと」と述べた。

内沼映二のインタビューをサンレコでチェック!

礎となった名盤について語っています。

 ほかにも、King Gnuが選出された最優秀国内ロックアーティスト賞や、羊文学が選定された最優秀国内オルタナティブアーティスト賞、大瀧詠一「ペパーミント・ブルー」が選ばれた最優秀リバイバル楽曲賞など、『MUSIC AWARDS JAPAN』は多様な部門を用意し、幅広い分野において受賞の機会を設けている。今後の動向もチェックしていきたい。全部門の受賞者および受賞作品の詳細は、MUSIC AWARDS JAPAN公式サイトにて参照できる。

MUSIC AWARDS JAPAN公式サイト

OTOMO 〜日本の多様な音楽やカルチャーの魅力を世界に発信していくCEIPAの新メディアサイト

 

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