ヤマハ、ネットワークを通して音楽制作を可能にする技術 『クラウド型VST』を発表

ヤマハは、ネットワークを通して高度な音声処理や音楽制作の機能を利用することができる技術『クラウド型VST』を開発したと発表した。

VSTとはドイツのスタインバーグ社が開発した技術で、「Virtual Studio Technology」の略。ソフトフェア・シンセサイザーやエフェクター・プラグインなど、楽器や音響機器をソフトウェアで再現し、レコーディングやミキシングなど、すべての作業をコンピュータ内で行うための規格。音楽制作のプラットフォームとして広く普及している。


ヤマハが開発した『クラウド型VST』は、高い計算能力が必要なエフェクターなどの処理をサーバ上の機能として実装することで、ネットワーク経由で必要な処理を行えるようにするもの。サーバ上で処理を行うため、処理能力の低い携帯電話や携帯ゲーム機などの端末からでも、高度な音声処理が行えるとしている。また、異なる端末からでも同じ機能を利用することが可能であるため、スタジオと自宅、移動中の携帯電話からでも同じ環境で作業を行うことが可能になるともしている。


既存のプラグインについては、使用者が端末の「VSTホスト」で表示や操作をさせるために必要な、「プラグインドッグ」で動作するプログラムを書けば良く、プラグインそのものを開発し直す必要はない。また、VSTプラグインはサーバ上で一元管理できるため、不正コピーの心配がなく、利用期間や利用料による課金といったシステムを構築することも可能になるという。


ヤマハでは今後、『クラウド型VST』の仕様を公開し、多くの企業や開発者が利用できることも視野に入れているとのこと。