
マイク/ラインや楽器の入力に加え
Bluetoothでのステレオ入力も可能
送られて来たKonnectは思ったよりも大きめの筐体で、滑らかな曲線を使用した美しいデザインのスピーカーでした。第一印象は最近は家庭での音響再生機器として当たり前になってきた、大きめのBluetoothスピーカーのようです。丸みを帯びたコロンとしたスタイルはなじみあるスピーカーとしての形。重量は軽くて、仕上げも上品です。
早速、音を出してみましょう。アンプ内蔵ですので、付属のACアダプターを接続し、裏面のパネルにソースを入力。面倒な設定は一切不要なのです。ひと目で分かるパネル・レイアウトに加え、すべての機能にはノブやスイッチが1対1で対応しています。Konnectは、楽器や機材の扱いに慣れていなくても直感的で分かりやすく使いやすいと感じました。ユニットは6.5インチ・ウーファー1基と1インチ・ツィーター2基のステレオ仕様。アンプは140W+20W+20W(ピーク)と、ユニットごとに用意されています。
パネルのミキサー部を見ると、入力は3系統/4ch。ch1と2はマイク入力も可能です。ch3&4はステレオ・チャンネルで、Bluetoothでの入力も可能となっています。どのチャンネルもライン入力だけでなく、ギターの入力(パッシブの場合はエフェクターなどを経由する必要がありますが)にも対応しています。
まず、スマートフォンとBluetoothで接続して音源を再生してみることにしました。ペアリングは簡単で、一度の設定で接続完了。実に簡単に音が出せます。再生音は一般的な小さいスピーカーで感じる物足りなさも無く、高域の伸びも奇麗でしっかりとしています。低音も迫力のある、歯切れが良くバランスの取れたサウンドといった印象です。スピーカーの再生能率がとても良くパワーを感じます。これならカフェのBGM用としては十分ですし、DJイベントやアコースティックなライブも簡単にできそうです。
高機能なKonnect Appを使うことで
エフェクトやさらなる機能にもアクセス
マイクを接続してチェックしてみると、とても素直な音です。入力感度はやや低めに設定してあるようでマイクとスピーカーの位置関係を気にしないでもハウリングの心配は要らないかもしれません。ハウリングを回避するフィードバック・サプレッサーも内蔵していますが、それほど設定が必要ないくらい簡単に音が出せます。ギターも接続してみましたが、そちらも問題なくミックスできました。
Konnectの入力には5バンドEQプリセットとなるVOICING機能があり、パワフルなサウンドで音楽を楽しめるMUSICのほか、ギター用のELCTRIC GUITAR、ACOUSTIC GUITAR、MALE VOCAL、FEMELE VOCALの5タイプが本体のノブで調整可能。さらに、iOS/Android対応の専用アプリKonnect Appを使うと、BASS GUITAR、KEYBOARDなど17タイプから選択できます。使用するタイプに合わせて選ぶだけで適正な設定が呼び出せるのはとても便利ですし、スムーズに音出しが可能です。これらのプリセットはとても優秀で、設定も無駄が無く、我々のようなエンジニアとしては仕事柄ちょっと困るほどの機能だと思いました。
さて、先述のKonnect AppをBluetooth接続してコントロールしてみました。わざわざ本体リア・パネルにアクセスする必要がなく、その場でリバーブのオン/オフができたりと便利です。

さらにKonnect Appは、シンプルなパラメーター構成で初心者にも優しいSTANDARDと、より細かいパラメーター設定が可能なADVANCEDモードを切り替えて使用することができるので、初心者にも、我々のようなエンジニアにも対応できるのは特筆すべき点です。VOICINGプリセットだけでなく、チャンネルごとにコンプレッサー/ディレイ/フェイザーといったエフェクトもKonnect Appから設定可能ですし、詳細なパラメーター・コントロールに加え、ソロやミュート、パンの操作も行えます。また、シーン・メモリーも3つ保存が可能です。実質的に、Konnectを購入するだけでミキサーも付属していると思えてしまいます。マイク2系統までの仕事なら、別途ミキシング・コンソールを持ち込まなくても、細かいセッティングが可能になります。
そのほか、本体下部にはポール・マウント用の35mm穴が空いていて、一般的なスピーカー・スタンドを使用することが可能です。また、オプションのスピーカー・スタンドを使用すれば、一般的なPAスピーカーよりも低めの位置にセッティングすることができます。
Konnectは機能が豊富で、とても便利であると感じました。会議室でのプレゼン時にコンピューターやマイクを接続すれば、その内容の伝わり方もダイナミックになるでしょう。また、カフェ・ライブではストレス無く演奏できる環境が構築できると思います。我々エンジニアとしても、使いこなせばインストア・イベントでのメイン・システムとして使用できるポテンシャルはあると感じました。Konnectは一つの完成されたシステムとして評価され、多くのシチュエーションに受け入れられることでしょう。

(サウンド&レコーディング・マガジン 2018年4月号より)