「DOUBLE ZERO Double Zero 001」製品レビュー:世界的に有名な音楽クリエイターのゼッドと日本の技術者が手掛けたヘッドフォン

DOUBLE ZERODouble Zero 001
ドイツ出身の音楽プロデューサー、ゼッドが日本のプロダクト・デザイナー・チームSF inc.とともにプロデュースした密閉型ヘッドフォンDOUBLE ZERO Double Zero 001。“モニター用”や“DJ用”といった冠は付されていないものの、40mm径のカーボン・ペーパー・ドライバーを備え、10Hz〜80kHzというワイドな周波数特性を実現しています。

4つ打ちのキックが
低域からアタックまでしっかり聴こえる

Double Zero 001の音響設計は、オーディオ・メーカーのONKYOが手掛けています。内部のカーボン・ペーパー・ドライバーは強度が高く、音に影響を与える振動を吸収し、制震性に優れたラバー・コーティングのボディと相まって“ビートのパワフルさと解像度の高さ”を両立させるとのことです。最大入力は1,000mWでインピーダンスは32Ω、重量は224g(本体のみ)。ハウジングからヘッド・バンドまで全体にわたるラバー・コーティングはシルキーな肌触りで、見た目にも高級感が漂っています。

まずは自宅のスタジオで使用しているオーディオI/O、RME Fireface 800につないでチェックしてみたところ、低音がクリアかつ繊細に聴こえる印象。これは周波数レンジの広さによるものかと思います。次にDJの現場へ持ち込みPIONEER DJ DJM-2000NXSにつないでみると、コンパクト・ボディながら低域がしっかりと感じられ、やはりクリアに聴こえます。筆者のような4つ打ちDJにとって重要なキックが、アタックから低域までしっかりと聴こえ、非常にモニタリングしやすいと思いました。最後に、普段外出先で音楽プレーヤーとしても使っているAPPLE iPhoneでチェックしてみたところ、イア・パッドが耳全体を包み込んでくれるので音漏れもせず、パワーのあるサウンドが楽しめました。付属ケーブルの端子形状がステレオ・ミニなので、iPhoneなどの一般オーディオ機器に直接つなげられるのがうれしいですね。また、このケーブルの導体にはOFC(99.9%高純度銅)が使われており、音声伝送クオリティへの配慮も見られます。被膜が丈夫なので、断線しにくそうなのもポイントです。

分離や解像度に優れ
ロック・ギターや息遣いも再現

今回のチェックではダンス・ミュージックやロック、ポップスなどを試聴しました。ダンス・ミュージックに関しては、10Hzから再生されるという周波数特性のおかげで、低域の深い部分まで聴こえます。だからと言って中高域がつぶれることはなかったので、楽曲制作する上でも問題無さそうです。ロックは、ひずみの効いたギターが迫力のある音で再現されました。分離が良く、ギターと同じ帯域で鳴っているボーカルや、高域のピッキング音なども奇麗に聴こえます。声に至っては、息遣いまでとらえられたほどです。さらに、音数の多いポップスでも試聴してみたのですが、どの楽器がどの位置で鳴っているのかよく分かりました。この通り分離や解像度に優れているので、楽曲制作時に参考音源を聴くときなどにも重宝しそうです。

装着性については、イア・パッドに高品位なプロテイン・レザーが使われているため、包み込まれるような付け心地(写真①)。ホールド感もあり、激しいDJプレイやスポーツをしながらの使用にも快適だと思います。また本機は片出しのヘッドフォンでありながら、ケーブル用の端子が左右のいずれにも付いているので、とりわけDJプレイにおいては自分に合ったさまざまな装着の仕方が実践できそうです(写真②)。イア・パッドをはじめ、ボディが頑丈に作られているのもうれしいですね。

▲写真① イア・パッドには高級なプロテイン・レザーが使用されており、長時間装着しても疲れにくくなっている ▲写真① イア・パッドには高級なプロテイン・レザーが使用されており、長時間装着しても疲れにくくなっている
▲写真② Double Zero 001は、片出しのヘッドフォンだが、ケーブル用の端子はL/Rのそれぞれに用意されている。シチュエーションに合わせて好きな方を使える仕様だ ▲写真② Double Zero 001は、片出しのヘッドフォンだが、ケーブル用の端子はL/Rのそれぞれに用意されている。シチュエーションに合わせて好きな方を使える仕様だ
▲カラー・バリエーションとしてホワイトもラインナップ ▲カラー・バリエーションとしてホワイトもラインナップ

以上、駆け足で見てきたDouble Zero 001。音質についてまとめておくと、全帯域にわたってクリアかつフラット方向に作られており、周波数レンジがワイド。DJ用ヘッドフォンによくある低域の出過ぎや、一般的なリスニング用ヘッドフォンにある高域のシャリシャリ感なども無く、耳に優しい印象を受けました。また小音量で聴いていても、10Hzからの周波数特性のおかげで迫力が感じられます。クリアなサウンド、頑丈な設計、美しいデザインを兼ね備えてこの価格はとても素晴らしいと思います。

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サウンド&レコーディング・マガジン 2017年7月号より)

DOUBLE ZERO
Double Zero 001
19,800円
▪形式:密閉ダイナミック型 ▪周波数特性:10Hz〜80kHz ▪最大入力:1,000mV ▪インピーダンス:32Ω ▪重量:224g(本体のみ) ▪付属品:1.2m長ストレート・ケーブル、キャリー・ケース、ポーチ、ステレオ・ミニ→フォーン変換アダプター