
32イン/16アウトを装備
Wi-Fi/直接接続したデバイスで操作
本体のフロント・パネルには32ch分のマイク・イン、16のミックス・アウト(XLR)を配備。ミックス・バスは最大25で、AUXミックス・バス×16、メイン・ミックス・バス×3、ステレオ・ソロ・バス×1系統、FXバス×4(リバーブ×2、ディレイ×2)という構成になっています。そのほかステレオ・テープ・イン(RCAピン)、ヘッドフォン・アウト(TRSフォーン)、+48Vのファンタム電源ボタン、ミュート・ボタン、ヘッドフォン出力のソースを選択するボタンなどを用意したシンプルなデザインです。ミックスはすべてリモートによるコントロールで、Wi-Fiおよび直接本体に接続したMac/Windows/iPadからの操作には、専用アプリUC Surfaceを使用。モニター・ミックスをiPhoneで操作するにはQMix-AIを使います。最大16台のiPhoneの接続が可能なため、各ミュージシャンへのモニター送りをそれぞれのiPhoneで操作してもらうシステムも簡単に構築可能。サンプリング・レートは最高24ビット/96kHzまで対応します。
箱から取り出した筐体は約10kgという軽さで、4Uラックに収まるサイズ感もうれしいポイント。パソコンとiPad用にそれぞれコントロール・アプリをダウンロードし、Wi-Fiルーターに接続して、30分もかからず使用環境が整いました。
まずはUC Surfaceのマルチタッチ・コントロールを使ってみます。このアプリはとても優秀なGUIを持っていて、操作はとても簡単でスムーズ。例えばゲインの設定はPreAmpという文字をタッチすると大きくスライド・フェーダーが表示され、タッチした指をそのままスライドさせるだけで楽にコントロールできます。表示の切り替えや動作も実に滑らかでした。
一つの画面にEQやダイナミクスの切り替え、マスター・フェーダーなどがすべて表示されており、ワンタッチで必要な操作の呼び出しとパラメーターの変更が可能。複雑な深い階層へのアクセスがないため、ぐっとライブ寄りの発想を持
ったデザインに仕上がっていると感じました。
また、マルチトラック録音が可能なソフトCapture 2が、StudioLiveのユーザー・アカウントからフリーで入手可能で、OS X 10.6.8以降/Windows7/8で使用できます。本機との接続はリアにあるFireWire 800またはイーサーネット端子で行います。同ソフトはライブ録音に特化しており、実際に録音スタート・ボタンを押した約1分前にさかのぼって録音をキープするという便利な機能、“プリレコード”を搭載しています。
XMAXクラスAプリアンプを搭載
アナログの質感に近い優しい音色
いよいよ音色チェックです。マイク・インプットには、余裕のヘッド・ルームが特徴の同社カスタム設計XMAXクラスAプリアンプを使用。そのおかげか、ダイナミック・レンジが広く抜けの良い音でした。カラッとしつつもアナログ的な優しい音色で、ナチュラルなミックスが簡単に作れそうです。各チャンネルに装備されたコンプも自然なかかり具合で好印象。ゲートはデジタルっぽさが少なく、どちらかというとアナログ機を使用しているような柔らかい雰囲気でした。
ライブ・ハウスなどへの設置が簡単で工事費も節約できてしまう実用性の高い本機。さまざまな現場で見いだされるであろう新たな可能性と今後の展開が楽しみで仕方ありません。

(サウンド&レコーディング・マガジン 2015年2月号より)