YAMAHAのマイクプリD-Preを採用
USBバス・パワーとDC電源に対応
サイズは159(W)×46(H)×144(D)mmとコンパクトだがメタル製のボディは頑丈で、適度な重量感がある。基本性能もしっかりとしていて、Mac/WindowsだけでなくiOSもサポートし、最高24ビット/192kHzの録音/再生に対応している。入力は2chとなっており、そのうち1つはXLRのマイク・インでYAMAHAのマイクプリ“D-Pre”を搭載。もう一方は、エレキギターなどを直接つなげられるフォーンのインスト・インだ。両入力共に、ゲインのツマミとピークLEDを前面に配置。前面には、ファンタム電源の状態やコンピューターとのUSB接続を示すLED、出力音量のツマミ、ダイレクト・モニター機能のON/OFFスイッチ、フォーンのヘッドフォン端子も備えられている。背面にはUSB 2.0端子やファンタム電源のON/OFFスイッチ、DCイン、RCAピンのライン・アウトL/Rなどを装備。STEINBERGのDAWソフトCubase AI 7が付属しているので、購入後すぐに録音を始めることができる。
入出力はいずれも低ノイズ
ダイナミックかつフラットな録り音
今回は、本機を2011年製のAPPLE MacBook Airにつないでテストしてみた。まずはさまざまな音源を試聴。ライン・アウトからはハイエンドが奇麗に出て、96kHzや192kHzといったハイレートの音も高い精度で再現された。低域は重量感こそ控え目だが、40Hz辺りまでしっかりと再生し、なおかつクリア。全体的に余計な色付けが無く、好感が持てる。ヘッドフォン端子も同じ傾向で、大音量が出せる上にノイズが少ない。
次に、ダイナミックとコンデンサーの両マイクで録音を行った。D-Preは優秀で、特にS/Nが良好。試しにダイナミック・マイクをつなぎゲインを最大まで振り切ってみたところ、思った以上にノイズが少なくて感心した。インスト・インについても同じ印象で、オーディオI/Oに直接つなぐとノイズが乗りやすいエレキギターも実にクリア。また、マイク/インスト・イン共にダイナミック・レンジは十分で、原音をフラットにとらえている。音質面以外では、コンデンサー・マイクとギターを24ビット/192kHzで同時録音したとき、USBバス・パワーでも安定動作していたのが印象深い。
さて、生録りの際に問題となりやすいのがレイテンシーだ。48kHz時はバッファー・サイズ128サンプルで問題無いと感じたが、それでもDAW経由でモニターすると10ms程度の遅れが発生する。これを解決してくれるのがダイレクト・モニター機能。ONにすると入力信号をセンター定位で直接モニタリングできるため、面倒なDAW側のセッティングを気にせず作業できる。本機はライン・アウトL/Rとヘッドフォン端子でアウトプット・ボリューム・ツマミを共有しているので、録音時にヘッドフォン・ボリュームを上げると、おのずとライン・アウトの音量も持ち上がる。なので、マイク録音時はライン・アウトをつないだスピーカーなどの音がかぶらないよう、スピーカー用アンプなどのボリュームを絞る必要があるだろう。
UR12は、制作に必要な機能が絞り込まれている。シンプルで使いやすいオーディオI/Oを考えている人には、良い選択肢となるだろう。
(サウンド&レコーディング・マガジン 2015年2月号より)