「IMPACT SOUNDWORKS Juggernaut」レビュー:映画音楽/エレクトロニック・ミュージック向けのベース&ドラム音源

IMPACT SOUNDWORKSJuggernaut
Juggernautは、映画音楽やエレクトロニック・ミュージックに向けたシネマティックなサウンドを収めるソフト音源。IMPACT SOUNDWORKSのSoundcloudで製品のデモ・ソングを聴くとご理解いただけると思いますが、『アイアンマン』や『ダークナイト』のようなバトル系映画のサウンドトラックで活躍しそうな仕上がりです。

ローファイ指向のベース・サウンド
ドラムはオリジナル・キットも作成可


Juggernautは、サンプル・プレーヤーにNATIVE INSTRUMENTS Kontakt 5 Playerを採用。Mac/Windowsに対応し、スタンドアローンのほかVST/AudioUnits/RTAS/AAX Nativeプラグインとして動作します。Direct From Dis
k機能によるハード・ディスク・ストリーミング再生に対応し、サンプルをRAMに読み込まずハード・ディスクから直接再生するので、RAMの容量以上の大容量サウンドを扱うことが可能です。Juggernautは、大きく分けて“BASS”と“DRUMS/FX”の2つのパッチから構成されています。まずはローファイ志向のベース・サウンドを収録したBASSから見ていきましょう。このパッチでは、サウンドが5つのカテゴリーに分類されています。例えば“disto”というカテゴリーには攻撃的な倍音を含むひずみサウンドが収められており、“fuzz”にはノイズ系のサウンドが、“1 shot”には譜割の細かい演奏に適したサステインの短いサウンドが収録されています。画面上部のサウンド・カテゴリー・セレクターからカテゴリーを選択すると、その右の画面からプル・ダウンでサウンドを選ぶことができるので、目的のものへとスムーズにたどり着けます。そのほかBASSパッチにはステップ・シーケンサーが搭載されていて、そのプリセットが即戦力になります。フィルターやリバーブ、ディレイ、ビット・クラッシュなどの内蔵エフェクトと組み合わせれば、それだけでサントラ曲として成立しそうなダーティな世界を描くことが可能です。もう1つのパッチDRUMS/FXは数十ものドラム・キットを収録する“drums”、全6カテゴリーの効果音を収めた“fx”の2グループに分かれており、画面右上のスイッチでそれらを切り替えて使えます。drumsグループでは、プルダウン画面からキットを選ぶと中央のミキサーに打楽器が割り当てられ、ピッチやパン、ボリュームなどを調整可能。オリジナル・キットを作成したり、既存のキットに任意の音色を追加することもできます。収録されたサウンドは、重低音の効いたキックやノイジーなスネア、キックとスネアをミックスしたような迫力あるサウンドなど多彩です。 

単体で鳴らしてもスケール感が大きく
劇伴やジングルにも有効


筆者は、壮大なストリングスにエレクトロニックでローファイなサウンドを組み合わせたトラックを作ることが多いのですが、Juggernautはその用途でも活躍しそうです。そこで実際に、他社のストリングス音源とJuggernautのローファイ系音色を組み合わせて曲を作ってみました。つやのあるストリングスにローファイなサウンドを混ぜると共存させるのに苦労するのですが、Juggernautではそうした違和感が全くなく、とても自然になじんでくれます。これは音のクオリティが非常に高いからでしょう。またスケール感に富んでおり、単体で鳴らしても十分に迫力があるので、劇伴やジングル、SEなどにも有効だと思います。そのほか、ロックやEDMなどに少し奇抜な質感が欲しいときにも重宝しそう。デジタリズム的なエグいシンセ音だったり、ビョーク的なエレクトロニック・ビートも作れそうです。このソフトの開発にあたっては一線で活躍するコンポーザー/プロデューサーの意見を多く取り入れたとのことで、それが見事に反映されてるのかもしれません。間違いなく即戦力になる音源です。  (サウンド&レコーディング・マガジン 2014年10月号より)
IMPACT SOUNDWORKS
Juggernaut
12,430円 (9月1日現在)
▪Mac:Mac OS X 10.7〜10.9、スタンドアローン/VST/Audio Units/RTAS/AAX Native ▪Windows:Windows 7/8、スタンドアローン/VST/RTAS/AAX Native ▪共通項目:INTEL Core Duo 2.0GHz以上のCPU、2GB以上のRAM