直感的にEQやコンプ処理ができる
液晶パネルはタッチ式で素早く操作可能
本機はマイク/ライン入力×16ch仕様で、14本のモノラル・チャンネル・フェーダーと、2本のマスター・フェーダーを装備。バスは14AUX(8モノラル+6モノラル/ステレオ切り替え)、マスターL/C/R+4マトリクス(4モノラル/ステレオ切り替え)+4FX。リア・パネルにはアナログ・イン&アウト(XLR)をそれぞれ16ch分、ライン・イン(TRSフォーン)を8系統備えています。パネル上部には、各チャンネルのゲイン/ダイナミクス/EQをアナログライクに操作できるACS(Assignable Channel Strip)エリアがあり、時間の制約がある現場でも素早い操作と現状確認が可能です。その右手にはタッチ・パネル式の液晶画面が設けられ、システム設定やその確認、フェーダーの割り当てやショウ・データの読み書きができます。ACSエリアの下にあるTOTEMスイッチは、ワンタッチでチャンネル・フェーダーをバスへのセンド・フェーダーへ切り替え可能。各チャンネルに付いている小型液晶ディスプレイはチャンネル・ネームやレベル表示のほか、フェーダーグロウ(後述)と同期してバックライトの色が変わる仕様です。STUDERと共同開発した内蔵DSPは最大80chの信号を処理でき、中規模の会場にも十分対応可能でしょう。ただし、フェーダー・レイヤーが4階層なので、拡張カードとステージ・ボックス未使用の場合は最大56ch(14ch×4)しか操作できませんが、いずれにしても扱えるチャンネル数が多いのはうれしいですね。小規模なライブ・ハウスでPAの設置スペースが限られる場合も、気兼ねなくインプット・チャンネルを拡張できます。最近は音楽の多様化に伴い、生バンド+同期8chといったケースも珍しくないため、インプット・チャンネルの確保は大変重要なのです。
機能別にフェーダー溝が7色に変化して
フェーダーの役割が認識できる
処理能力の高さは当然音質の良さにもつながっています。チャンネル数が多くなると、同規模のコンパクト・コンソールでは飽和感が発生するものもありますが、本機は10ch以上でも飽和すること無く、分離の良さが際立っていました。同社のデジタル・ミキサーで好評のフェーダー・グロウ・システムもしっかりと継承され、どのフェーダーが何の機能を持っているかが一目で分かるように、フェーダー溝のLEDが発色します。例えばモノラル入力が割り当てられた場合は白、ステレオ入力なら紫、グラフィックEQモードなら赤といった具合で、機能によって7色に変化。“思ったことと違う操作をしてしまった”という失敗が格段に減るでしょう。例えば、AUXへのモニター・ミックスを作っているときにメイン・ミックスをいじる必要が出た際、フェーダー・グロウが黄色に点灯していれば“現在モニター・ミックス中”というのが一目で分かります。このフェーダー・グロウはデフォルトだとまぶしいほどの明るさですが、照度は調整可能です。エフェクトは、LEXICON製のプログラムが4系統内蔵されており、密度のあるクリアな音質が得られます。また、すべてのバス・アウトには、定評あるBSSの設計による28ポイント・グラフィックEQを装備。これはインプットへのインサートには対応していないのが少々残念な気もしますが、アウトにだけグラフィックEQをかけられると覚えておけば、割り振りに悩んだり間違えたりしなくて済むでしょう。