「IK MULTIMEDIA IRing」製品レビュー:画面に触れず手の動きでアプリを操作するモーション・コントローラー

IK MULTIMEDIAIRing
iOS対応製品としていち早く登場したIRigなどのヒット製品を持つIK MULTIMEDIAより、iOS対応のモーション・コントローラー=IRingが登場しました。タッチできるだけでも十分に便利なiOSデバイスを、さらにタッチレスでコントロールできるという画期的な製品で、APPLE iPhoneなどのカメラに手をかざして動かすだけでアプリを演奏できるというのだからすごい。早速見ていきましょう。

iOSデバイスのカメラに リングをかざしてアプリを制御


2つで1組のIRingは、“リング”と言いながらも指輪状のものではありません。プラスチック製で指と指の間に挟む形状ですが、いざ装着すると取り外しやすさ/操作性共によく考えられているように思います。IRingは三角の中に黒い3つの点が描かれているもの(トライアングル・ドッツ)と長方形の中に一直線に並んでいるもの(リニア・ドッツ)の2種類があり、両者は裏表の構造となっています。この黒い点をiOSデバイス付属のカメラに認識させてアプリを制御するのですが、手のひらをかざすか手の甲をかざすかでトライアングル・ドッツ/リニア・ドッツを無理なく切り替えられるというわけです。 専用のiOSアプリは、ループ・ベースのダンス・ミュージックを操作する“IRing Music Maker”とマルチエフェクター/コントローラーの“IRing FX/Controller”の2種類。ともにIRingに同梱されている2次元コードからシリアル・ナンバーを入れてダウンロード、ユーザー登録すればインストール完了です。これらのアプリはパターン認識アルゴリズムを備えており、IRingの位置をXYZ軸上で正確にとらえます。両手にIRingを装着し、前後/上下左右といったジェスチャーで音を変化させます。 まずIRing Music Makerから試してみましたが、説明書も不要なほど簡単に楽しめました。操作は明るい場所で行う必要があること、チェック柄のシャツはNGなど条件は多少ありますが、操作に対するアプリの反応は良好です。これまでもThereminなど手をかざして音が反応するシンセはありましたが、ほぼ同じような操作感です。 トライアングル・ドッツはグルーブを受け持ち、近づけたり遠ざけたりすることでパターンの切り替え、時計方向にひねるとリズム/ベースを交互に演奏できます。一方のリニア・ドッツではエフェクトとキーボードを制御可能。IRing Music Makerでは音楽がパターン化されており、IRingではそれらの組み合わせを変えるという簡単な操作になりますが、リニア・ドッツを遠ざけると音が低くなったりリズムの音色が減っていったりと動作に対する音色の変化も違和感が無く、フィルターの開け閉めなどはアクションと相まってうまく臨場感を演出できそうです。もちろん、ミュートや曲自体の切り替えなどのタッチ操作も同時に可能。エフェクトはフィルター/クラッシュ/リバーブ/フランジャーが付属し、ディレイなどはアプリ内課金で追加購入できます。

Core MIDIなどに対応し ほかのアプリもコントロール可能


一方のIRing FX/ControllerはIRingの動作をMIDI信号として出力することもできますが、音源としての機能はありません。Core MIDI、Inter-App AudioとAudioBusに対応するほか、iOS機器と同じWi-Fiネットワーク内にあるコンピューターの音楽ソフトまで制御できてしまいます。 トライアングル・ドッツ/リニア・ドッツそれぞれのXYZ軸に6種類のMIDI信号をアサイン可能。さらにiOSデバイスのカメラの画角からドッツをアウトさせたり、右に回転させるなどのジェスチャーにもMIDIを割り振れるので、動作のバリエーションは自在。アサインの仕方を工夫すればパフォーマンスとしても有効でしょう。 筆者はサンプラー内蔵のフィルター・アプリ=MOOG Filtatronで試してみました。まずIRing FX Controllerを先に起動してFiltatronを立ち上げます。Filtatron側のMIDI設定画面には既に“IRing FX”と表示されているので、ここにチェックを入れます。後はIRing FX/Controller側でジェスチャーによって生成されるMIDI信号をFiltatron側の動作と一致させるだけ。シンセのフィルターやディレイ、ループのスタート/エンド・ポイントまで画面に触れることなく操作でき、感覚的に即興演奏を楽しめました。   IRingは今後、DJ Rigやボーカリスト用のエフェクト・プロセッサー=VocaLiveなどにも対応を予定しているとのこと。操作を習得すれば、Thereminなどと同等の“楽器”としての可能性を感じさせます。アート/パフォーマンスでの活用も考えられ、今後の展開が楽しみになってきました。     (サウンド&レコーディング・マガジン 2014年8月号より)
IK MULTIMEDIA
IRing
オープン・プライス (市場予想価格:3,500円前後)
▪外形寸法:42(W)×30(H)×27(D)mm ▪重量:10g(1個) 【REQUIREMENTS】 ▪iOS:iOS 6.0以上