M-AUDIOTrigger Finger Pro
M-AUDIOより新たに発売されたUSB接続のパッド付きMIDIコントローラーTrigger Finger Proは、スクリレックスがライブで使用するなど愛用者の多かった先代のTrigger Fingerに、ステップ・シーケンサーや視認性の高い大型液晶ディスプレイなどを追加。使い勝手と機能性が一段と向上した仕上がりとなっているようです。
スタンドアローンでも動作
ドラム音源やソフト・シンセが付属
まず外観ですが、洗練されたデザインのアルミニウム製トップ・パネルと、取り外し可能なスタンドが備えられ、軽量ながら堅固な印象。本体はMIDIコントローラーとしてソフト・シンセやDAWを操作できるだけでなく、コンピューターが無くてもスタンドアローンで動作します。リア・パネルには５ピンのMIDI出力端子も装備し、シンセサイザーやリズム・マシンなどのMIDIデバイスを操作することができ、制作やライブにおいて高い拡張性を持つ仕様となっています。さらにパッケージにはコンピューター（Mac/Windows）との連携をシームレスに行う専用ソフト“Arsenal”のほかに、ドラム音源ソフト“AIR Drums”（画面①）、ソフト・シンセ“Hybrid 3”（いずれもスタンドアローンのほかVSTプラグインとしても動作）、拡張音源が付属。サウンド・ライブラリーは時代を反映した音色で、今っぽいダンス・ミュージックを制作する上で必要なものはすべてそろっています。これからそうした音楽を作り始めようと考えているユーザーには、魅力的なパッケージと言えるでしょう。
▲画面① 付属のドラム音源ソフト＝AIR Drums。豊富なプリセットのほか、オリジナル・サンプルも読み込んで使えるステップ・シーケンサーで
アシッドなベース・ラインも作成可能
トップ・パネルに搭載された16個のパッドにはマルチカラーLEDが装備され、どのパッド・バンクを操作しているかなどが視覚的に分かりやすくなっています。パッドの操作感はAKAI PROFESSIONAL MPCシリーズに搭載されていたような“押し込む”感覚のパッドと違い、軽く手を乗せるだけでも反応するくらい感度が高く、タブレット端末やスマートフォンの操作感に慣れた世代にマッチした仕様であるように思いました。さらにアサイナブルなノブ／フェーダー／ボタンもそれぞれ４つずつ搭載され、ソフト音源やDAW、エフェクト・プラグインなどをこれ一台で総合的にコントロールできます。Trigger Finger Proの興味深い新機能として挙げられるのが、16ステップ×最大４小節のシーケンサー。パッドのリアルタイム演奏とは異なる世界観でビートを組むことができ、両者を組み合わせれば、複雑なビート・パターンも手軽に作成できるでしょう。このステップ・シーケンサーを使ってトライしてみたのが、ROLAND TB-303に代表されるアシッドなベース・ラインの作成です。Trigger Finger Proのステップ・シーケンサーとHybrid 3の組み合わせは単体機のような使用感。ノブやフェーダーの操作と組み合わせることで、有機的で面白みのあるベース・シーケンスを直感的に作成できました。 以上のように、アイディア次第で使用方法が無数に考えられるのがTrigger Finger Proの最大の魅力。これから音楽制作を始めようというライト・ユーザーから、制作やライブに新たなエッセンスを求めるプロフェッショナルまで、無限の可能性を提供するツールとして、ぜひ一度手に取ってみてもらいたいと思います。 （サウンド＆レコーディング・マガジン 2014年8月号より）
M-AUDIO
Trigger Finger Pro
39,800円
▪外形寸法：338（W）×70（H）×310（D）mm
▪重量：約1.9kg
【REQUIREMENTS】
▪Mac：Mac OS X 10.7.5以上
▪Windows：Windows 7以上
▪共通：INTEL Core Duo以上のCPU、2GB以上のRAM、8GB以上のハード・ディスク空き容量、USBポート
