「JBL PROFESSIONAL PRX715/PRX718XLF」製品レビュー:パワーと機能性を兼ね備えたPA用パワード・スピーカー&サブロー

JBL PROFESSIONALPRX715/PRX718XLF
JBL PROFESSIONALから、クラスDのパワー・アンプを搭載したPA用パワード・スピーカー、PRXシリーズが登場。今回は、15インチ径の低域ドライバーを備えた2ウェイ・フル・レンジ・モデルPRX715と18インチ径のサブローPRX718を試してみたので、その印象についてレビューする。

いずれのモデルも入力は2ch
両チャンネルのミックス信号も出力可


まずは製品の基本的な仕様から見ていこう。PRX715の入力は2chとなっており、両チャンネルにはそれぞれXLR/フォーン・コンボとRCAピンのライン・インが備えられている。ch1のXLR/フォーン・コンボ端子については、Mic/Lineスイッチによってマイク・インに切り替えることが可能。チャンネルごとにゲイン・ツマミが装備されているので、音量を個別に調整できる。SPK SELECTというスイッチでは、スピーカーからch1のみ/ch2のみ/ch1+ch2のミックスのどれを出力するか選択可能。また、ほかのスピーカーに信号を出力するためのTHRUアウトでも同様の選択が行え、例えば本機を2台使用する際にもう1台で何を鳴らすのか決めることができる。PRX718XLFはXLR/フォーン・コンボのライン・インを2つ備えた2ch入力仕様だが、ゲイン・ツマミは両チャンネル共通。出力端子としては、THRUアウトを2つ装備している。 

低域が特徴的なPRX715
出音に余裕があるPRX718XLF


今回は、PRX715とPRX718XLFを2台ずつ用意し、大ホールで行われたダンス・イベントのサイド・モニターとして使用。実際に触れてみると、まずその重量に驚いた。パワー・アンプを内蔵しているにもかかわらず、PRX715は21kg、PRX718XLFは38kgと、台車などを使えばどちらも1人で運搬できる重量に抑えられている。PRX715は、背面のEQスイッチでMAIN/MONITORの2種類の音質を切り替えることが可能。MAINはローエンドとハイエンドの伸びた遠達性重視の音、MONITORは近距離に合わせたタイトでフラットな音だ。PRX718XLFの背面には、位相を反転させることができるPOLARITY、併用するPRX715をフル・レンジで鳴らすかローカットして鳴らすかを設定するPASS THRUといったスイッチが備えられている。現場ではPRX715のEQスイッチをMONITORに設定し、PRX718XLFのローカットを入れて使用した。PRX715の印象的な部分は低域の音質。古き良きホーン・ウーファーを感じさせる音で、“コーン紙の振動を感じ取ることができるサウンド”となっている。サブローに設置するためのポール(別売)は高さを調整できないが、高域ドライバーの90°(水平)×60°(垂直)という指向性はちょうど良いように思えた。PRX718XLFはエンクロージャーの容量が十分であるからか、ローエンドに余裕と量感がある。ハウス系の音楽ならそのままで鳴らせるし、ポップス系なら90Hz辺りを少しカットすることで、スッキリした印象になった。内蔵アンプについては、高効率であるためか、通常のライン・レベルのオーディオ・プレーヤーをつなぐとゲイン・ツマミをあまり上げなくても十分な音量が出る。別途アッテネーターなどを用意すると、より扱いやすいかもしれない。使用していて気になったのは、内蔵アンプを冷却するためのファンの音である。結構な音量なので、それが気になるような現場には不向きと言えるが、ロック系のライブ・ハウスなどでは問題ないように思う。そのほか、本機は音の入力が無いときに自動でスタンバイ状態に入るため、待機電力を消費しないという点で常設システムのランニング・コストを抑えるのに一役買うだろうと感じた。昨今PAシステムは軽量化が図られ、高効率になってきている。PRX715PRX718XLFも簡単にシステム構築でき、なおかつハイパワーだ。それでも、催し物に合わせた音量/音質を作るのはエンジニアのセンスによるもの。とりわけ、音量については適度な範囲にとどめることが要求される。音質に関しては、全帯域に余裕があるので、求めるものに近づけやすいと感じた。 
▲PRX715の背面。ch1/ch2共にXLR/フォーン・コンボとRCAピンのライン・インが備えられており、ch1に関してはスイッチでマイク・インに切り替えることが可能。そのほか出力信号をch1/ch2/ch1+ch2から選べるスイッチやEQスイッチなどを装備 ▲PRX715の背面。ch1/ch2共にXLR/フォーン・コンボとRCAピンのライン・インが備えられており、ch1に関してはスイッチでマイク・インに切り替えることが可能。そのほか出力信号をch1/ch2/ch1+ch2から選べるスイッチやEQスイッチなどを装備
  (サウンド&レコーディング・マガジン 2014年7月号より) 
JBL PROFESSIONAL
PRX715/PRX718XLF
PRX715:165,00 0円/PRX718XL F:225,000円
・PRX715 ▪スピーカー構成:15インチ径ウーファー(低域)+1.5インチ径コンプレッション・ドライバー(高域) ▪周波数特性:42.9Hz〜19.5kHz(−10dB、EQスイッチをMAINに設定した場合) ▪最大音圧レベル:136dB SPL(@1m/ピーク) ▪外形寸法:446(W)×710(H)×358(D)mm ▪重量:21kg ・PRX718XLF ▪スピーカー構成:18インチ径ウーファー ▪周波数特性:30〜103Hz(−10dB) ▪最大音圧レベル:134dB(@1m/ピーク) ▪外形寸法:522(W)×688(H)×724(D)mm ▪重量:38kg ・共通 ▪内蔵クラスDアンプ出力:1,500W ▪入力チャンネル数:2