バス・パワー駆動で接続もシンプル
コントロール・ソフトを同梱
早速スペックを見ていきましょう。2イン/2アウトのオーディオ・インターフェースで、最高24ビット/192kHzに対応しています。Thunderbolt接続でMac専用。電源供給はバス・パワーなのでケーブル1本で準備完了です。入力はリアにマイク/ライン入力としてXLR/TRSフォーンのコンボ端子が2つ。ファンタム電源を用意しているほか、コントロール用の同梱ソフトTAC-2 MixEfxを使用することでローカットや位相反転が行えます。フロントにはギターやベースを直接接続できるフォーン端子を装備。入力は2chのため、こちらを使用する際にはリアのインプット1がキャンセルされる仕様になっています。出力はリアにTRSフォーンがステレオ1系統、フロントにヘッドフォン端子が1系統搭載されています。ボディはアルミ製でAPPLE MacBookなどとの相性もよく、見た目にも高級感があります。パネルは非常にシンプルで、音量などを示すLEDとコントロール・ノブ1つのみ。コントロール・ノブはボタン式になっており、押し込むと操作対象が切り替えられるので、イン/アウトそれぞれの音量を1つのノブで調整できます。また前述のTAC-2 MixEfxを使うと、本体内蔵のデジタル・ミキサーでリバーブをかけるなど、パネルでアクセスできないパラメーターを操作することが可能です。そして本機最大の売りは、AD/DAコンバーターにBURR-BROWN PCM4202、AKMAK4396といったチップを使っていることにあります。これらのチップは10〜20万円台の多チャンネルI/Oで採用されることの多いパーツであり、音質に対する意気込みが感じられるセレクトです。
ナチュラルで使いやすい録り音
ゲイン設定時に便利なAUTOボタン
7を立ててボーカルとアコギを録音してみました。録り音はナチュラルで、変に脚色されることなく非常に使いやすい音色。この価格帯は中域寄りの硬い音のモデルが多い印象ですが、本機は自然に録れるのでマイクを2本立てたステレオ録音にも向いているでしょう。また時間が無いときや初心者向けに便利だなと感じたのが、自動でゲインを設定する機能です。TAC-2 MixEfx上でAUTOボタンを押すと、ピークを自動的に検出して適切なレベルにゲインを設定してくれます。筆者はコンプを使わずに録音する際、突発的なピークでひずむのを防ぐために、念のため6dBの余裕を確保しますが、このソフトでは0dB以外に−6dB/−12dBにもピークを設定できるので、ゲインをいじらずに一発で録音準備が完了。ネット配信されている音源には途中で音割れしている残念なものがありますが、この機能を使えば初心者でもそうしたトラブルを回避できるでしょう。また、歌録りの際に自分の声とモニター音の遅延で位相がズレて歌いにくいといった問題も、フェイズ・スイッチで簡単に解消できました。次に出音をチェックします。こちらもこの価格帯の機種にありがちな、高域が詰まって天井が低く狭く感じられるようなことが全くありませんでした。48kHz再生時も、内部でアップ・サンプリングして192kHzで再生しているそうですが、確かに音抜けがほかのモデルとは違います。ヘッドフォン・アウトを数ランク上のFireWire接続の他社製I/Oと比較しても、こちらの方が音抜け、空間の広さともに上回っていたのには驚きです。これまでは2ミックスのモニター用途でも高音質を求めるなら高価なモデルを使うしか無い状況だったので、それらの購入を検討していた方には救世主的な機種になるかもしれませんね。 本機は多機能ではありませんが、できることはすべて高いクオリティで実現しています。そしてこの価格では考えられなかった高音質設計。初心者のみならず、使えるコンパクトなオーディオI/Oを探している方にもお薦めです。