コントローラー／シーケンサー・モードは
ボタンひとつで切り替え可能
Beatstepは、パネル上のCNTRL/SEQボタンを押すことでMIDIコントローラー／ステップ・シーケンサーの両モードを切り替えることができます。まずはMIDIコントローラーとしての仕様から見ていきましょう。あらゆるMIDI関連機能をアサインできるベロシティ／プレッシャー・センス対応の16個のパッドをはじめ、ソフト音源やプラグイン・エフェクトの任意パラメーターを割り当てられる16個のツマミ、DAWのマスター・ボリュームなどを調整できるロータリー・エンコーダー、トランスポート・ボタンなどが備えられており必要十分なスペック。中でもパッドやツマミは、同社ハードウェアの他の直系のクオリティです。パッドやツマミの各種設定は、ARTURIAの無償エディター・ソフト（Mac/Windows）から細かくセッティング可能。例えば、パッドをたたいた際のベロシティ・カーブやツマミを回したときの数値変化の仕方、プラグイン・エフェクトなどの任意パラメーターをどのくらいの値の範囲で調整できるか、といったことが設定できます。ステップ・シーケンサーのモードに切り替えると、パッドでステップのON/OFF、ツマミで各ステップに打ち込むノートの音高を設定できるようになります。ステップのサイズは、1/4（４分音符）〜1/32（32分音符）の範囲で選択することが可能。ツマミには８種類のプリセット・スケールの中から任意のものを割り当てることができるので、楽曲に合わないピッチが鳴ってしまうのを未然に防げます。もちろんDAWや外部MIDI機器とのテンポ同期にも、本体のみでの自走にも対応。またEXT SYNCボタンを押すと、外部同期のON/OFFを切り替えることが可能です。シーケンスの進む方向は、前進のForward以外に逆進のReverse、前進と逆進を交互に繰り返すAlternate、各ステップをランダムに再生するRandomの４種類から選べます。ステップ・サイズや進行方向は、SHIFTボタンを押しながら“1/4”や“Reverse”などと書かれたパッドを押すだけで一発設定できるので、迷うことはありません。
DAWから入力したMIDIデータを
CV/Gate信号に変換して出力可
コントローラー／シーケンサーの各種設定は、プリセットとしてBeatstep本体にセーブしたり、ロードすることが可能。この操作はエディター・ソフトから行えますが、本体パネルのSTORE/RECALLスイッチを使っても実行できます。個人的に垂ぜんなのがCVアウト（１V/oct、０〜７V）とGateアウト（８V）の搭載。ツマミでCV値を、パッドでGateのON/OFFを設定することができます。さらにMIDI OUTも装備。付属の専用MIDIアウト・ケーブルを使うと、本機を外部のMIDI機器につなげられます。MIDIコントローラー／ステップ・シーケンサーの両モードは同時に使用できるため、パッドの演奏情報をMIDI OUTから音源モジュールに送りつつ、CV/Gateアウトからはアナログ・シンセにシーケンスを出力するといったことが可能。本機から複数のハード音源をコントロールできるわけですね。そしてうれしい驚きが！ 実はDAWからBeatstepにMIDIデータを送ると、CV/Gate信号に変換して出力することができるのです!! この価格でありながらMIDIコントローラー、ステップ・シーケンサー、そしてMIDI/CV&Gateコンバーターにまでなってしまう本機。しばらくの間、コントローラー界の台風の目になりそうです。
▲背面には、左からGateアウト、CVアウト（いずれもミニ）、MIDIアウト（同梱のMIDIアウト・ケーブル接続用）、DCイン（USB）が備えられている
