24ビット/192kHz対応の
USBオーディオI/O機能を実装
まずは入力から。ch1〜8はXLR/フォーン・コンボのマイク/ライン・インを備えたモノラル・チャンネル。2世代目のMGシリーズまで備えられていたインサート端子は今回で無くなった。ch9/10とch11/12にはXLRのマイク・インとフォーンのライン・インL/Rが用意され、モノラルとステレオの両入力に対応。すべてのマイク・インに搭載されている独自マイクプリ“D-Pre”は、設計を見直したことで音質が向上したという。ファンタム電源は、全マイク・インに一括でかかる仕様だ。ch1〜8のマイク/ライン・インは−26dBのPADと80Hzのハイパス・フィルターを併せ持ち、さまざまなソースに対応。定番のワンノブ・コンプも備えている。EQは3バンドで、ハイは10kHzのシェルビング、ミッドは250Hz〜5kHzの周波数可変ピーキング(9〜16chは2.5kHz固定ピーキング)、ローは100Hzのシェルビングで、すべて±15dBというゲイン・レンジだ。ch13/14とch15/16は、フォーンとRCAピンのライン・インL/Rを装備したステレオ・チャンネル。本機はMac/Windows/iOSに対応したUSBオーディオI/O機能を搭載し、ch15/16にコンピューターなどからのプレイバックを立ち上げることが可能。入出力数は2イン/2アウトとなっており、最高24ビット/192kHzの音声に対応する。出力に関しては、XLRとフォーンのステレオ・アウトL/R、フォーンのグループ・アウト×4、モニター・アウトL/R、AUXセンド×4を装備。AUXセンドに関しては、AUX1がプリフェーダー固定、AUX2はすべてのチャンネルにおいてプリ/ポスト切り替え可能、AUX3/4はポスト固定で、AUX4は内蔵エフェクトへの送りも兼ねている。また、各チャンネルのON/OFFスイッチがAUXセンドにも効くようになった。現場を見据えた仕様だ。内蔵エフェクトは同社SPXプロセッサーを採用しており、24種類のプリセットの中から任意のものを選び、PARAMETERツマミでかかり具合を調整できるようになっている。リターン・チャンネルにはAUXセンドのツマミも用意され、モニターにリバーブが欲しいときなどにも対応可能だ。
新設計のD-Preは張りのある音質
内蔵エフェクトは上品な響き
今回は、某大学にて行ったスピーチ中心のシンポジウムで使用。シャーシはより頑丈になった印象だ。またAC電源が内蔵されているのが非常にうれしく、従来多かったACアダプター接続部の断線などを回避できる。まずはマイクをつないでチェックしてみると、クリアかつ張りのある音色。低域がふくよかに出てくる印象だ。本機の売りであるD-Preの実力だろう。ワンノブ・コンプを回してみたところ、12時くらいの位置でもコンプ感は強くはなく自然なかかり具合。コンプレッションの度合いを上げていくと、それに連動してアウトプット・ゲインも上がるため、そんなに回さないでも音が前に出てくる。続いて内蔵エフェクトをテスト。最近多いミキサー内蔵のお手軽エフェクトとは一線を画す上品な音だ。リバーブ系のプリセットが多いのもありがたく、ツマミでディケイなどが調整できるので簡単なライブならこれだけでも大丈夫だろう。MGシリーズの3世代目ということで、優秀に進化していると感じた。中でも音質面はダントツで、可変幅の広い入力ゲインも相まってコンパクト・ミキサー=廉価機種というイメージを払しょくしている。ラインナップも充実しているので、ステ
ージ上のキュー・ミキサーから小さなライブ・ハウスのFOHまで多様な現場で活躍しそうだ。