APHEXMicrophone X

約40年の歴史があるアメリカのメーカーAPHEXが、初めてUSBコンデンサー・マイクをリリースしました。他メーカーからもUSBマイクは多数発売されていますが、さすがは放送業界に精通しているAPHEX。誰もが手軽にネット放送を世界中に共有することができるこの時代に求められる“あったらいいな”を取りそろえた、現代的かつ素晴らしいアイディアに満ちた製品に仕上がっています。
多数のツマミ/スイッチを装備
歴史あるサウンドを手軽に使用可能
手に取ると、ごく一般的なマイクには見受けられないツマミやスイッチが多数付いているのが分かります。フロントには入力ボリュームとヘッドフォン出力端子(ステレオ・ミニ)とそのボリューム。リアにはなんと“オプティカル・コンプレッサー”と“エキサイター/ビッグボトム”のスイッチとコントロールが備えられているのです(写真①)。

扱いやすいリッチなサウンド
多彩な機能で幅広い音作りを実現
本機は単一指向性です。まずマイク自体の性能を量るため、コンプレッサーやエキサイターをオフの状態でボーカルに使用。見た目とは良い意味で裏腹な非常に温かみのあるリッチなサウンドに驚きました。高域は少し抑えめですが、こもって聴こえるわけではなく、扱いやすい良い音だと思います。アコギに関しても同じ印象で、温かみあふれるビンテージ感のある素敵な音でした。次にオプティカル・コンプレッサーをオンにした状態で使用してみました。パッと聴いた感じあまり変化は無かったのですが、ギターのフル・ストロークなど過大入力があったときにソフトに効き、アナログならではのとても自然なコンプでした。これは常時オンでも邪魔にならないほど優秀です。そしてエキサイター/ビッグボトムをオンにしてみます。オン/オフは1つのスイッチで行い、それぞれ専用のツマミで設定します。まずエキサイターですが、調整範囲はかなり幅広く、最大値まで上げていくとシャリっとした音の仕上がりに。楽器や声、環境に合わせて、トラックに埋もれないハッキリとした主張のある音作りが可能です。ビッグボトムも同様に調整範囲が広く、最大値にすると驚くほど低音が出てきます。ボイス・パーカッション初心者でも、ドスの効いたキックの音が簡単に出せそうです。これらの機能を効果的に組み合わせ、温かいビンテージ・テイストの音から、現代的なハイファイ・サウンド、さらに太さを追求した骨太サウンドまで幅広い音作りができました。もちろん声に対しては、歌に限らずスピーチなどにも有効です。ネット配信などでラジオ風にBGMを流しながら話す際に、曲に埋もれない声色作りがこのマイク一つで簡単にできてしまいます。今回のサウンド・チェックは、マイク内蔵のヘッドフォン・アウトと、外部オーディオ・インターフェースのアウトの両方で聴いてみましたが、マイクの方も非常にローノイズでクリアな音でした。自宅用途に限らず、リハーサル・スタジオでの仮歌録り、旅先でノート・パソコンを使用してのフィールド・レコーディングなど、コンパクトで高音質な録音環境を簡単に整えることができます。プロフェッショナルな方にももちろん、“断捨離”という言葉が流行する昨今、機材が多くなり、配線が絡まる部屋にいら立ちを覚えてしまう人もいるでしょう。でもレコーディングしたい! 配信がしたいんだ!という現代のわがままでクールな草食系のあなたにもピッタリなこの“一石五鳥”以上の便利なUSBコンデンサー・マイク、Microphone X。1本持っていて損の無い製品だと思います。 (サウンド&レコーディング・マガジン 2014年1月号より)
APHEX
Microphone X
オープン・プライス (市場予想価格:39,900円前後)
▪形式:USBコンデンサー
▪指向性:単一
▪周波数特性:20Hz〜20kHz
▪感度:4.5mv/pa
▪最大SPL:120dB
▪外形寸法:50(φ)×180(H)mm(凸部除く)
▪重量:440g
【REQUIREMENTS】
▪Mac:Mac OS X 10.5以降、INTEL製CPU
▪Windows:Windows XP SP3(32ビット)/Vista SP2(32/64ビット)/7 SP1(32/64ビット)