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「JZ MICROPHONES J1」製品レビュー:自宅録音をターゲットにした低価格シリーズのコンデンサー・マイク

JZ MICROPHONESJ1
個性的なルックスと、それに見劣りしないポテンシャルを持ったマイクを作り続けているJZ MICROPHONES。本誌でも何度も紹介されているだけに、その認知度もかなり上がってきているのではないだろうか。そんな同社がこの度、“J Series”という自宅録音向けの低価格ラインナップを打ち出し、コンデンサー・マイクJ1を発売した。読者の多くの方がターゲットとなる本製品、どのようなものだろうか?

Vintage Series直系の独特なフォルム
特殊技術のダイアフラムを採用


JZ MICROPHONESのラインナップの一つに“Vintage Series”があり、筆者も以前その中のV47&V67をレビューさせていただいた。その後、過去のビンテージ・マイクの良いとこ取りをした上で現代テイストを盛込み、価格も抑えたV11が高い評価を獲得。この実績が今回のJ Series開発につながったようだ。その生い立ち通り、外見はV11のそれに近い。特徴的な平たい楕円形フォルムは反射音を極力抑え、後方からのサウンド流入を防ぐ役割を持つという。ほんのりと青みがかったグレーの本体真ん中に大きく“J”のエッチングがあるだけのシンプルなたたずまいは、Vintage Seriesほどレトロで重厚な感じは無く、よりカジュアルでライトな印象だ。なお、V11にも採用されているネジ2点止めショックマウントが付属する。低価格帯とはいえ手抜きは無い。指向性は単一で、心臓部である21mmのダイアフラムには同社の代名詞とも言えるGolden Drop Technology(スパッタリングと呼ばれる薄膜を形成する特殊な技術を使って、金のドット・パターンをダイアフラム上に正確に形成する)を用いることで、レスポンス良くクリアで脚色の少ない素直な音色が得られるとのこと。周波数特性、SN比、最大入力音圧レベルなど各種スペックの数値も優秀で、カタログ・データを見る限り上位クラスの製品に見劣りする部分は見受けられない。 

収まりが良く伸びやかなサウンド
ピーキーな中域の音も上手にまとめる


では音色チェックに移ろう。アコースティック・ギターにJ1を立て、API 512Cのマイクプリに接続。ゲインはやや低めで、S/Nは悪くなくカタログ値通りといったところだ。音が出た瞬間“まとまりがよく伸びやかでサラッとしている”というのが第一印象で、細かく分析すると低域は175Hz辺りに若干の膨らみを持ちつつ250Hz辺りが程良く整理されているのでスッキリ聴こえる。ローエンドもややローカットされているが40Hz辺りの豊かさは感じられるので物足りなさは無い。中域は1.2kHz辺りが少し引っ込み、2.5kHzの芯の部分はあるものの、4〜5kHzのギラつく部分もおとなしめなので、全体的に控えめな印象。高域も11kHz辺りにほんのりと張り出しを感じる程度のサラサラした明るさが特徴的だ。また音の立ち上がりも機敏過ぎず、強弱を付けたストロークにもしなやかな反応を見せる。まとまりが良いという印象だ。次に男性ボーカルでチェック。アコギと同様、中域が張り出し過ぎないので詰まること無く伸びやかな音像が得られる。低域の整理のされ方もボーカル録りにはちょうど良く、あまりEQせずともそれなりにまとまったサウンドで録音できる。この低域および中域の特性のおかげで、多重コーラスなど声を重ねていっても音像がダンゴになりにくく、女性ボーカルの中域に寄ったピーキーな声質なども上手に収めてくれるだろう。逆にガッツのある音色が欲しい場合は、EQで2〜4kHz辺りを持ち上げてあげると良い。これら中域の特性はミックスの段階においても効果的で、J1で録音したパートの中から前に出したいものだけ中域を補正するなどの工夫により、アマチュアのミックスにありがちな中域飽和状態の緩和に役立つのではないだろうか。 プロにとって“良いマイク”とは、リアルかつ明確なキャラクターを持ち、こちらの要求する音像を確実にとらえてくれるというものだ。しかし、音源に対するマイクの選択、録り方、後処理などをしっかり行わないと能力を引き出しきれないことが多い。しかしこのJ1であれば、難しいテクニックを使わずともまとまりの良い音像が手軽に得られるだろう。自宅録音に向けて作られたというだけあって、使われる場所や使う人のスキルなどがしっかり考慮された“良いマイク”だと感じた。   (サウンド&レコーディング・マガジン 2013年12月号より)
JZ MICROPHONES
J1
オープン・プライス (市場予想価格:35,280円前後)
▪形式:コンデンサー ▪指向性:単一 ▪周波数特性:20Hz〜20kHz ▪感度(1kHz/1kΩロード):22mV/Pa ▪最大SPL(0.5% THD/1kΩロード):134dB ▪外形寸法:64(W)×150(H)×32(D)mm(実測値) ▪重量:272g(実測値)