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「FXPANSION BFD3」製品レビュー:収録音を一新しさらにリアルな演奏表現が可能になったドラム音源

FXPANSIONBFD3
大容量ドラム音源の先駆けであり、代表的ソフトのBFDが待望のアップデートを果たし、BFD3としてリリースされました。数あるドラム音源ソフトの中でも、とても生々しいリアルなサウンドのBFD。期待していた通り正統派ドラム・シミュレーターとして素晴らしい進化を遂げていました。早速レビューしていきます。

155GB相当のプリセットを搭載
過去のライブラリーも読み込み可能


まずはGUIが大胆に変更されてとても使いやすくなりました。メイン画面は大きく3ブロックに分かれており、左側でドラム・セットのプリセットや単体のキットを呼び出し、真ん中でミキサーとドラム・キット全体を表示、右側でキット・ピースの詳細情報を表示します。今回のプリセットは、155GB相当のロスレス・サンプルのライブラリーが付属(占有ディスク容量はMac約59GB、Win約56GB)しており、音源はLAのオーシャン・スタジオとメリーランドのオメガ・レコーディング・スタジオでBFD3専用に収録されたそうです。最初にそのプリセットを読み込んで鳴らしてみると、明らかに質感が良くなっています。音の密度、レンジ感が素晴らしいですね。BFD2では、個人的にキックのローエンド不足や全体的に若干細めな音に少し不満がありましたが、BFD3になってこの問題は解消されていて安心しました。ハイハットのアーティキュレーションもかなり向上していて非常に驚きました(後述)。付属のキットは10個から7個に減っていますが、キット・ピースの数は90から119と増えており、一つ一つの音をしっかりと収録したのでしょう。BFD3は過去のライブラリーも読み込んで使うことができます。LibraryメニューからBFD1〜3や拡張ライブラリーのみを表示することもできるので、パーツ選びも楽です。また、パーツの追加も非常に簡単で、Drumsタブを押し“Kick“や“Snr”などの好きなパーツのボタンを押せば、左段にずらっと一覧表示され、それを真ん中のドラム・セット画面にドラック&ドロップすれば完了です。ツーバスやサブスネア、タムやシンバルも好きなだけ簡単に増やせます。 

アンビエンス・マイクが増量
合計33種類のエフェクトを内蔵


BFDは、さまざまなマイキングで音作りできるのも特徴的です。BFD3では、キック・マイクに、“Kick sub”というマイクが追加されました。筆者も実際のドラム録音でほぼ毎回使っているキック用マイクがモデルとなっており、スピーカーのウーファーで低音を集音する特殊な方法ですね。スネアに関してはトップ、ボトムのほかに、リム・マイクが追加されています。これも実際のレコーディングでよく使われる、スネアの横から狙ったマイキング。マイクそれぞれの音量バランスは、ミキサーで自由に変えられます。ミキサー画面の初期表示は、キックやスネアに複数のマイクを使っていても1チャンネルのみが立ち上がっているように見えますが、実はここに見えているのはバスでまとめたフェーダーで、ミキサーのパンの下辺りにある三角のボタンをクリックすることでマイクそれぞれのフェーダーが表れます(画面①)。最初からバスでまとめてくれているのは何気に親切でうれしいです。ミックス・バランスを調整するときにキックやスネアは一本のフェーダーでまとまっていた方がいろいろと便利ですからね。
▲画面① BFD3のミキサーは、パン、ミュート、ソロなど、チャンネル・ストリップの基本機能はもちろん、8つのステレオ・バス、4系統のAUXセンド、各チャンネルに6つのエフェクト・インサートを持つ。画面では、キックとスネアはそれぞれ使用しているマイクが展開された状態で表示されているが、初期設定はそれらをBusでまとめた1チャンネル分のみが表示される ▲画面① BFD3のミキサーは、パン、ミュート、ソロなど、チャンネル・ストリップの基本機能はもちろん、8つのステレオ・バス、4系統のAUXセンド、各チャンネルに6つのエフェクト・インサートを持つ。画面では、キックとスネアはそれぞれ使用しているマイクが展開された状態で表示されているが、初期設定はそれらをBusでまとめた1チャンネル分のみが表示される
さらにアンビエンス・マイクに関しては至れり尽くせりといった感じで、数がかなり増えました。今まであったオーバーヘッド、ルーム、アンビエンス・マイクのほかに、異なる3つのモノラル・アンビエンス・マイク、あらかじめコンプレッション処理された2種類のアンビエンス・マイクも収録されています。こちらもミキサーでは最初“AmbMix”としてまとめられていますが、三角のボタンをクリックすれば、それぞれのマイクのフェーダーが表示され、個々のバランスを決められます。アンビ・マイクの距離の調整も非常に簡単。ミキサー画面上部のTweaksタブをクリックすると、Distance(ドラムとアンビ・マイクの距離)、Width(ステレオ・マイクの広がり幅)を調整できます。Tweaks画面ではドラム・キットのTrimやTune、Damp(減衰量)も変更可能です。また、ミキサー画面のEffectsタブでは、各チャンネル6つまでのインサート・エフェクトを設定できます。ドラム録りやミックスでは必ずと言っていいほど使われる、FETコンプレッサーやディストーション、EQ、リバーブ、ディレイ、フランジャーなどの空間系からビット・クラッシャー、面白いものではFFTメーターなど、合計33種類も搭載されています(画面②)。リバーブに関しては筆者もよく使用するOVERLOUD Breverbが搭載されているのがうれしいですね。 
▲画面② 1チャンネルにつき最大6つまでインサートできるエフェクトは、コンプ、EQ、リバーブのほか、ビット・クラッシャー、リング・モジュレーターなど計33種類を内蔵する ▲画面② 1チャンネルにつき最大6つまでインサートできるエフェクトは、コンプ、EQ、リバーブのほか、ビット・クラッシャー、リング・モジュレーターなど計33種類を内蔵する
大容量サンプルを搭載していることもあってか動作が重い印象のあったBFDですが、今回から使用パソコンの環境に最適化させるオプションが備わりました。画面上部ToolsメニューのShow Preferencesで初期設定を呼び出し、最下部にあるProfileをクリックすると、エコノミー設定や搭載RAMの量に合った設定にすることが可能で、快適に作業できます。作業時はエコノミーで、最終的な書き出し時はメモリーをフルに使って、といった使い方が可能ですね。 

タムやシンバルなどの
アーティキュレーションを再現可能


生ドラムの録音は、さまざまなアーティキュレーションまで録ることができ、またそれぞれのパーツの音の共振をコントロールしながら音作りをする必要があります。例えばキックを鳴らしたときにタムがボワーンと共振したりするわけですが、BFD3ではその共振をはじめ、シンバルやスネアなどのアーティキュレーションまでシミュレートする機能が搭載されました。右側のウィンドウ上部にあるModelをクリックすると設定画面が表示されます。タムの共振の設定は、その中のTom Resonanceで調整できます。大げさに設定してみるとタムのボワーンという音がしっかり確認できると思います。同じ画面のArticulationsでは、強くたたいたときのピッチ変化まで再現できます(画面③)。
▲画面③ 上部のリストからタム、シンバル、スネアなどのパーツを選び、その下の各項目で細かなニュアンス、演奏表現などの設定が可能 ▲画面③ 上部のリストからタム、シンバル、スネアなどのパーツを選び、その下の各項目で細かなニュアンス、演奏表現などの設定が可能
シンバルのアーティキュレーションは、同じ画面のCymbal Swellで設定できます。これは、シンバルの“ジャンジャンジャン”という連打を打ち込むと毎回聴こえるアタック音を、実際の生ドラムと同様滑らかに鳴らす機能です。Cymbal Swellスイッチを入れツマミを調整してシンバルを連打してみるとよく分かると思います。Tom Resonance、Cymbal Swellともに演算にてシミュレートしているということですので、過去のライブラリーや拡張ライブラリーに対しても有効なのがうれしいですね。 

細かいドラム演奏まで再現可能な
Variableモード


ここからは筆者が実際に使ってみて便利だと思った機能を紹介しましょう。これは好みの問題ですが、ドラムの場合、タムやハイハットなどのパーツの並びで、演奏者側からのセッティングなのか、お客さんから見たセッティングなのかでパンニングの設定が変わってきます。BFD3はドラムのグラフィックが表示されている上部に、AudienceとDrummerというボタンがあり、このボタンで一発変更可能です。ドラムのグラフィックも上下入れ替わってちょっと楽しいです(笑)。次に、ほかの人とやり取りしたり、データを書き出す場合、それぞれ単体の音でファイルを作る必要がありますが、その場合、アウト・アサインを毎回設定しなくてはならず、非常に面倒くさい作業の1つでした。今回はアウト・アサインもプリセットで簡単に呼び出せます。やり方は、ミキサー画面で右クリック(Control+クリック)>Auto-assign。そこでDirectを選択すれば、DAW側にパラアウトで出力させることができるのです。最後にVariableモードを紹介します。かなり細かい奏法まで作り込めるBFD3ですが、例えばハイハットで、クローズから徐々にオープンになるような演奏をするとき、ノートを1つ1つアサインしなくてはいけなくて少し面倒ですね。そんな場合Variableモードを使うととても直感的に演奏再現できます。中央画面上部のKey Mapタブをクリックすると、右ウィンドウにKey Mapアサインの画面が表示されます。そこでハイハットのグラフィックかミキサーでハイハットを選択し、Key Mapの中からVariable Tip(面の部分をたたく奏法)を選択します。このときデフォルトでKeyアサインされていませんので、どこか空いている鍵盤にハイハットをアサインします。LearnSingleを押し、アサインしたい鍵盤を押してください。次にモジュレーション・ホイールによってクローズ〜オープンになるように設定してみましょう。右画面の一番下のHiHatというところをクリックし、Learnボタンをクリックしてからモジューレーション・ホイールを動かせば設定完了です。これでモジュレーション・ホイールを動かしながら先ほど設定した鍵盤を押さえてみると、クローズ〜オープンに段階的に変化するようになります(画面④)。Variable Shank(角の部分をたたく奏法)の方も同じように設定すればTipとShankの2種類とホイールによる演奏だけでかなりのバリエーションが作れると思います。さらにAuto pedal eventにチェックを入れておけば、ホイールを動かすだけでpedalを踏んだハイハットの音も鳴らすことができます。これも便利ですね。 駆け足でBFD3を紹介しましたが、GUIも素晴らしく多くの機能に簡単にアクセスできて、さらに使いやすいソフトに進化していました。プロのドラマーによるさまざまなパターンの内蔵やそれを使ったグルーブ・エディターの搭載など、初心者でも扱いやすく音色も素晴らしいのでぜひ一度試してほしいと思います。   (サウンド&レコーディング・マガジン 2013年12月号より)
FXPANSION
BFD3
35,800円
▪Mac:Mac OS X 10.6.8以降、Audio Units/VS T2.4/RTAS、AAX 64ビット/スタンドアローン対応、59GB以上のハード・ディスク空き容量 ▪Windows:Windows7以降、VST2.4/RTAS/AA X 64ビット/スタンドアローン対応、56GB以上のハード・ディスク空き容量、 ▪共通項目:INTEL製Core 2 Duo以上のCPU、2GB以上のRAM、7,200回転以上のハード・ディスクまたは高速なSSD、インターネット環境、USB2.0ポート(USB版インストール時)