サンプリング音源の老舗中の老舗、ZERO-Gから届いた『CYBERSTORM』は、映像作品のSEや音響効果に特化したサンプル・ライブラリー。AIFF、WAV、Apple Loopsといったオーディオ・ファイルはもちろん、EXS24、Halion、Kontakt、NN-XTといった各種ソフトウェア・サンプラー用のファイルも収録されている。一聴すればその世界観は明らかで、映画『ターミネーター』や『トランスフォーマー』といった近未来での戦闘シーンなどを重点的に狙った効果音が約1,300サンプル、総計4.36GB収録されている。特筆すべきはその圧倒的なサウンド・クオリティなのだが、金属的や電子的な音素材をダイレクトに収録したものをそのままパッケージしているわけではない。素材の録音から編集・加工まで一貫した哲学に基づき、高いクオリティで制作されたのもので、即使えるものばかり。各種映像作品以外にも、歌モノ音楽制作の現場、例えばダブ／ブロステップなどのEDMのアクセントとしても非常に利用価値は高いと思う。収録ファイルは、“Drones”“Explosions”“Voices”といったカテゴリーに分けられており、イメージもしやすく、特に“Weapons”や“Impacts”のカテゴリー内にはキレのあるパーカッシブな音色が数多く収録されていて、リズム音源としても使い勝手が良いと思った。ほかにも個人的に気に入ったのは“SoundScape”というカテゴリーに収録されている兵器工場を吹き抜ける風音や重金属がゆっくりと変容していくような部屋の空気感などを想像させるサンプルの数々。これらを、ほかのシンセ・パッドやアトモスフィア系の音源と組み合わせただけで、存在感と個性のある音が無数に制作できた。素材の録音の良さと使いやすい編集と処理が施されたこのライブラリーは、SEのみならずさまざまな音楽制作の現場でも活躍するだろう。
