「KEITH MCMILLEN INSTRUMENTS QuNexus」製品レビュー:パソコン/iOS機に対応&CVコンバーター内蔵のMIDIキーボード

KEITH MCMILLEN INSTRUMENTSQuNexus
ノート・パソコンやタブレット用に開発されたUSB MIDIキーボードは海外でも賑わいを見せていますが、今回のQuNexusはまさにその先端を行く製品。早速レポートします。

13インチ・ノート幅に合う小型設計
鍵盤は指圧と傾きセンサーを搭載


本体はマットな感触で、13インチのAPPLE MacBook Proの手前に置くと横幅がピッタリ。フルサイズの25鍵でさえ大きく感じるこのご時世、小型でうれしいデザインです。Mac/WindowsのほかiOSデバイス(別途APPLE iPad Camera Connection Kitが必要)でもドライバー不要で使えます。USBバス・パワーに対応し、電源が入った瞬間、シュッ!と鍵盤のバックライトが点灯し、ステージ映えもしそうです。その上、QuNexusは見た目以上に多様な機能を持っており、細かい設定は基本的に専用ソフトのQuNexus Editor(Mac/Windows/画面①)から行えるようになっています。

▲画面① QuNexus Editorでアサイン作業などが一括して行える。設定項目が意外なほど多く、プロ目線な仕様 ▲画面① QuNexus Editorでアサイン作業などが一括して行える。設定項目が意外なほど多く、プロ目線な仕様
鍵盤は手触りの良いゴム製で、各キーには感圧センサーが仕込まれているため、指の押し込み具合(=pressure)で指定のMIDI信号を送信できるほか、キーの上下の傾き(=tilt)によっても任意のMIDI信号をはき出すことができます。この機能を使えばピッチ・ベンドやビブラートの強さ、フィルターの開閉などを指圧で操作できるようになります。また、そもそもMIDIはキーごとに独立したピッチ・ベンド信号などをはき出させる仕様ではありませんが、QuNexusではこれを可能にするためにRotate機能というものも搭載しています。これは1音ごとにMIDIチャンネルを切り替えるモードで、信号を受ける側でMIDIチャンネルを無視するモードにしておけば、キーごとに独立したコントロール信号を受けられるようになります。tiltでピッチ・ベンドできるように設定して和音を鳴らしながら、それぞれの指をぐりぐり動かすとかなり楽しい効果が得られます。また一般的なDAWソフトやソフト・シンセで当たり前のように付いているコントロール・チェンジを使ったマッピングにも対応し、そのアサインに便利なCoMAモードも用意されています。 

DAWのMIDI信号をCV/Gateに変換可
外部機器のCV入力にも対応する


ここまでの機能で満足してはいけません。QuNexusが他製品と全く違うところはCV/GateとMIDIのコンバーターにもなるということです。つまりアナログ・シンセのコントローラーとして利用できます。MIDIを持たない新製品も出るなど近年のシンセ市場はアナログ回帰が盛んですが、本機はそこにも対応できるというわけです。まず出力に関してですが、本体左の2つのステレオ・ミニがGate×1種類、CV×3種類に対応し、リアルタイムに弾いた演奏+入力されたMIDI信号が変換されて出てきます。Gate/Trigの極性とCVの種類もQuNexus Editorで切り替えができるので、古いKORGのシンセなども含めてほとんどのシンセをちゃんと動かせますし、キャリブレーションもソフト上で数値を入力して調整可能です。ノートだけではなくpressureやtiltもリアルタイムにCVに反映されますし、センサーの感度もキーごとに調整できます。入力にGateは無く、2つのCVに加えてエクスプレッション・ペダルが接続できます(本体右側)。本体に入力されたCVをMIDI信号に変換してUSBやMIDI Expander(後述)へ送ることが可能ですが、CV入力には“TRRS”タイプという小型のビデオ・カメラなどに使用される特殊なミニ・プラグを別途用意する必要があります。またパネル右側には前述のMIDI Expanderポートがあり、ここに別売オプションのMIDI Expanderをつなぐことで、DIN5ピン端子でのMIDI入出力が行えるようになります。つまり、パソコン/iOSデバイス、MIDI機器、CV/Gate機をつなぐ中継地点になれるというわけです。 以上、機能が多過ぎて詳細を紹介できなかったのは残念ですが、CVの質も良い本機。アナログ・シンセ・マニアにも納得の逸品でした。 
▲左のサイド・パネルにはパソコンやiOS機と接続するためのUSB、CV/Gate(1系統)とCV出力(2系統)をステレオ・ミニで用意。逆側には別売のMIDI Expander接続端子とCV(2系統)+エクスプレッション入力をTRRSミニで備える ▲左のサイド・パネルにはパソコンやiOS機と接続するためのUSB、CV/Gate(1系統)とCV出力(2系統)をステレオ・ミニで用意。逆側には別売のMIDI Expander接続端子とCV(2系統)+エクスプレッション入力をTRRSミニで備える
  (サウンド&レコーディング・マガジン 2013年11月号より)
KEITH MCMILLEN INSTRUMENTS
QuNexus
オープン・プライス (市場予想価格:19,800円前後)
▪鍵盤:25(ベロシティ対応、傾き感知) ▪電源:USBバス(Mac/Windows/iOSデバイス) ▪外形寸法:約325(W)×11(H)×84(D)mm ▪重量:345g 【REQUIREMENTS】▪対応OS/クラス・コンプライアント・デバイスとしてiOS、Android、Mac OS X、Windows、Linuxマシンにドライバー無しで使用可能