
しっかりとした容量ながら軽量設計
TREBLEとBASSのEQを搭載
Kinetic 15Aは、15インチのウーファーと1インチのコンプレッション・ドライバーが入っているだけあり、しっかりした容量のスピーカー・ボックスを持つが、箱から出すときにまず“軽いっ!”と感じた。実際の重さは18.7kgということだが、数値以上の軽さを実感した。Kinetic 12MAも13.7kgとこちらも非常に軽量だ。消費電力はKinetic 15Aが45W、Kinetic 12MAが80Wとなっており、優秀かつ手軽に使いやすいと思う。続いてリア・パネルを見てみると、2系統の入力がそれぞれXLRとフォーン・コネクターで搭載されており、chAはマイク/ラインの切り替えが可能。それぞれにボリューム・コントロールのツマミが付いているほか、最終段でTREBLEとBASSのシェルビングEQをかけることもできる。なお、XLRアウトも搭載されており、上記2系統のミックス・アウト(Mix)または、chBのダイレクト・アウト(Loop)を選択可能。Loopは、パワード・スピーカーを増設する際に役立つだろう。また電源スイッチの隣にはPOWERとLIMITのインジケーターが付いているのでスピーカーの状態をすぐに把握できる。Kinetic 12MAのリア・パネルも、ほとんどKinetic 15Aと一緒だが、EQが7バンドのグラフィック・タイプになっているのと、内蔵アンプからのスピーカー・パラアウトを搭載している。Kinetic 15Aはバイアンプとなっており、高域は70W/140W(連続/ピーク)、低域は220W/350W(連続/ピーク)。内蔵クロスオーバーは2.7kHzとちょっと高めだ。ちなみにKinetic 12MAはシングル・アンプ駆動で、単体(8Ω)の場合は200W/400W(連続/ピーク)で、パラ(4Ω)では400W/700W (連続/ピーク)となる。なお内蔵パッシブ・クロスオーバーは2.8kHzだ。
低域のピークが本機の特徴
100人くらいのイベントも余裕で対応
では実際に使用してみての所感だが、まずKinetic 15Aをスタンドに立て、ミキサーのアウトを本製品に接続し打ち込み系やロック、ワールド・ミュージックなどのCDを再生してみた。15インチの割には低域の量感がタイトな印象だ。低域は80〜110Hzくらいに若干のピークがあり、逆にこのポイントが本機の特徴となるので、なるべく切らずに有効活用したい。80Hz以下はロールオフしたかのように控えめだ。中域は320〜400Hzにピークがあり、160〜250Hz辺りは若干少ない感じもした。ボーカルを聴かせたい場合などはこもる帯域でもあるので、シチュエーションに合わせてチューニングすると良いだろう。高域は4〜10kHzと幅があるピークとなっており、この辺はオペレーターによってはカットすることもあると思う。しかし100人くらいのイベントなら余裕で対応すると感じた。Kinetic 12MAは中域のピークとディップがKinetic 15Aと共通している印象だったが、こちらの場合は500Hz近辺にもピークがあった。低域のピークは120Hz前後で、高域はKinetic 15Aより控えめになっているので、ウェッジでの使用に合わせてチューニングしているのだろう。なお、両モデル共に若干LIMITインジケーターの点灯が速いので気をつけて使いたいが、多少付く程度では音の崩れもない印象だ。個人的にはBASSツマミを2時くらいに上げるといい感じの低音が出てくると感じた。本国のWebサイトにはKinetic Activeシリーズの18インチ・アクティブ・サブウーファーが出ており、こちらと組み合わせて使うとよりパワーを有効活用できると思うので、国内での発売が待ち遠しい。 何と言ってもこの安さ。そして軽さ。特にウェッジは“アンプが入ってるの?”というくらいだ。筆者はWHARFEDALE PROを、DJユースに強いメーカーと感じていたが、このシリーズのスピーカーも同じ印象で、個人的にはバンド・サウンドより打ち込みに合うと思った。特に音作りがソリッドなテクノやミニマルなど、DJパーティをやろうぜという人にはオススメ。DJモニターとしてもぴったりという印象だった。

